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2017年12月15日 (金)

プレイバック葵 -徳川三代-・(48)さらば秀忠

関ヶ原の合戦からほぼ30年の歳月が流れ
将軍世襲による徳川体制は揺るがぬものとなった。

そして寛永8(1631)年、二代将軍秀忠は重病の床につき
年末には明日をも知れぬ容体に陥った。
よってここに秀忠の業績を総括したい。

忘れてならないのは江戸の町の基礎を固めたこと。
道路を築き溝を掘り、
武家屋敷の縄張りから庶民の住居に至るまで
後の世の大東京は秀忠の設計に端を発するものであった。

秀忠の治世の根本は、神君家康が決めた諸法度を守り
法の名の下に確固たる支配体系を強化したこと。
すなわち「法を以て利を守る」も「利を以て法を守らざれ」。
法的秩序を何よりも重んじたのである──。


兄・徳川家光に無礼の罪を謝し
秀忠の見舞いに江戸へ訪れたいという
甲州の徳川忠長から重病の床につく徳川秀忠に宛てた
弁明の書状が何通も届きます。

家光は、もし恩情によってここで忠長を許せば
同様に松平忠輝や松平忠直の罪も許さなければならないと言い
忠長ひとりを許すわけにはいかない、という立場ですが、
法的秩序を貫いた秀忠は、それでよい、とつぶやきます。


寛永9(1632)年正月の
江戸城西の丸への年賀拝礼は差し止めとなりました。

九男尾張義直、十男紀伊頼宣、十一男水戸頼房が見舞いに訪れ
紀州みかんが美味しかったからさらに届けましょう、とか
春になったら御気分も晴れましょう、とか
将軍には若君が生まれましょう、とか言って秀忠を励ましますが

秀忠には、それに応えるだけの気力がありません。
秀忠は、この世を去るにあたり遺言を3人に伝えます。

徳川家康の偉業は天下に比類なく、
今日あるのは家康のおかげではあるが
家康は朝廷を力づくで抑えようとした。

後陽成天皇、後水尾天皇もこれに反発した。
諸大名の中にはこれに異を唱える者たちもいた。
武を持って文を冒すはおよそ国のためならず。

公家衆の怠慢と不行状は厳しく咎めねばならないが
古来より続く王朝の雅は、学問とともに尊ぶべきである。
これを守り抜くことこそ武家の使命ではないだろうか。

朝廷には朝廷のしきたりがあり、
武家には武家の面目がある。
それぞれの分をわきまえて、必要ない争いは起こらぬよう
家光とともに力を注いで欲しい……。


1月23日、家光を呼び出した秀忠は形見を分け
自らの葬儀について細かく命じておきます。
家光には、民衆を大切にするように説き
民衆は質素倹約を旨とするように命じます。

家光は、家康が神として日光山に鎮座することを伝えると
秀忠は、神は一門に一人でよい、と
自分は通常通り仏としてほしいと意思を伝えます。

「そちの子を……見て死にたかった」
秀忠は家光の手を固く握ります。


夜。

暗い廊下を、明かりも持たずに
土井利勝がゆっくりと歩いてきます。

家光の前に参上した利勝は、手をついて報告します。
「西の丸にて、大御所様薨去あそばしました」

1月24日亥の刻(午後10時)、
前征夷大将軍、太政大臣従一位、徳川秀忠
江戸城西の丸にて薨去、享年54。

甲州で蟄居中の忠長に訃報が届いたのは
2日後の1月26日でした。

翌27日、秀忠の亡きがらは
お江が眠る増上寺に移されます。


その夜、在府の諸大名が続々と弔問に訪れます。

家光は諸大名に、
これから後、天下の主は自分一人であると宣言。
「家光は、父秀忠とは異なり、生まれながらの将軍である!」

2月9日、幕府は朝廷に秀忠のおくり名を奏上して
後水尾上皇から「台徳院殿」を賜ることになりました。


そして家光に待望の男子が産まれますが、
産後まもなく、亡くなってしまいます。


作:ジェームス 三木
音楽:岩代 太郎
題字:ジェームス 三木
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[出演]
西田 敏行 (徳川秀忠)
尾上 辰之助 (徳川家光)
酒井 美紀 (中宮和子(回想))
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津川 雅彦 (徳川家康(回想))

神山 繁 (本多正信(回想))
三林 京子 (阿茶局(回想))
石田 太郎 (大久保忠隣(回想))
清水 綋治 (榊原康政(回想))
石倉 三郎 (青山忠俊(回想))
渡辺 いっけい (本多正純(回想))
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中村 梅雀 (語り・水戸光圀)
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すま けい (伊達政宗)
金田 龍之介 (天海大僧正)
林 隆三 (土井利勝)
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制作統括:川合 淳志
演出:重光 亨彦

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