大河ドラマ西郷どん・[新] (01)薩摩のやっせんぼ 〜初回拡大60分! 薩摩から激動の生涯が始まる!〜
東京・上野──。
有名な上野の西郷さんの銅像が建てられたのは、
今からちょうど120年前の明治31(1898)年12月18日。
西郷隆盛が西南の役で戦死して20年も経てからのことでした。
その除幕式に招待されたのは
隆盛の弟・西郷従道と、従道の娘・桜子、
そして隆盛の妻・西郷 糸。
従道に促され、幕の頂点から伸びる紅白の縄を
思いきり引っ張る桜子。
バサッと音を立てて幕が除かれ、銅像が露になります。
無数の拍手に包まれる西郷さんの銅像。
その銅像を仰ぎ見て、糸は何かに取り憑かれたようにつぶやきます。
従道が止めるのも聞かず、つぶやき続けます。
「ちごっ。うちの旦那さぁはこげな人じゃなか」
西郷隆盛の3人目の妻・糸は
なぜそんなことを言ったのか。
この西郷さんの何が違うのか
今となっては本当のことはわかりません。
ただ一つ確かなのは、この男は
女にも男にもめっぽうモテたということ。
そしてもう一つ確かなのは、この男がいなかったら
新しい日本は生まれませんでした。
深い敬愛の念と親しみを込めて、みな彼をこう呼んだ──。
“西郷(せご)どん!”
原作:林 真理子
脚本:中園 ミホ
音楽:富貴 晴美
テーマ音楽演奏:NHK交響楽団
テーマ音楽指揮:下野 竜也
歌:里 アンナ
タイトル映像・題字:L.S.W.F
時代考証:原口 泉
:磯田 道史
建築考証:平井 聖
衣装デザイン:黒澤 和子
殺陣武術指導:車 邦秀
所作指導:西川 箕乃助
馬術指導:田中 光法
砲術指導:佐山 二郎
薩摩ことば指導:迫田 孝也
:田上 晃吉
薬丸自顕流指導:薬丸 康夫
医事指導:酒井 シヅ
裁縫指導:小林 操子
脚本協力:小林 ミカ
:三谷 昌登
資料協力:鹿児島県歴史資料センター黎明館
:尚古集成館
:日本カメラ博物館
:東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫
撮影協力:鹿児島県
:鹿児島県鹿児島市
: 霧島市
: 始良市
: 南九州市
: 南さつま市
: 志布志市
: 日置市
: 南大隅町
: 垂水市
: 奄美市
: 龍郷町
: 大和村
撮影協力:熊本県天草市
:茨城県常陸太田市
: 牛久市
: 古河市
:千葉県君津市
: 匝瑳市
:台東区フィルム・コミッション
:南房総ロケーションサービス
:仙巌園
語り:西田 敏行
──────────
[出演]
鈴木 亮平 (西郷隆盛)
黒木 華 (西郷 糸)
錦戸 亮 (西郷従道)
渡邉 蒼 (西郷小吉)
石川 樹 (大久保正助)
渡邉 このみ (岩山 糸)
栗本 有規 (西郷 琴)
荒井 雄斗 (西郷吉二郎)
石井 心咲 (西郷 鷹)
犬飼 直紀 (大山格之助)
池田 優斗 (有村俊斎)
加藤 憲史郎 (村田新八)
伊澤 柾樹 (有馬新七)
西郷 真悠子 (西郷桜子)
山下 洋輔 (医者)
重田 千穂子 (洗濯の女中)
塚地 武雅 (熊吉)
水野 久美 (西郷きみ)
大村 崑 (西郷龍右衛門)
中野 魁星 (尾田栄作)
─────
まいど 豊
今井 稜久
ボブ 鈴木
龍坐
高浜 海斗
鈴木 宏昌
神原 哲
江崎 政博
丸山 大虎
原田 暖之介
樫山 太一
佐鳥 由依
鳥木 元博
やまむら いさと
沢村 一樹 (赤山靭負)
青木 崇高 (島津久光)
小柳 ルミ子 (由羅)
劇団東俳
劇団ひまわり
テアトルアカデミー
エンゼルプロダクション
宝映テレビプロダクション
クロキプロ
麗タレントプロモーション
セントラル
NHK東京児童劇団
グループエコー
ZOO動物プロ
湘南動物プロ
グローバルアニマルアクト
バーデン
シャングリラ
鹿児島県のみなさん
つくばみらい市のみなさん
──────────
鹿賀 丈史 (島津斉興)
平田 満 (大久保次右衛門)
風間 杜夫 (西郷吉兵衛)
松坂 慶子 (西郷満佐)
渡辺 謙 (島津斉彬)
──────────
制作統括:櫻井 賢
:櫻井 壮一
プロデューサー:小西 千栄子
美術:岡島 太郎
技術:森田 栄
音響効果:佐々木 敦生
撮影:清水 昇一郎
照明:久慈 和好
音声:和田 厚
映像技術:倉又 信久
VFX:佐藤 渉
記録:加賀見 佳子
編集:佐藤 秀城
美術進行:萩原 春樹
演出:野田 雄介
時はさかのぼり、今から180年ほど前。
日本人がまだ、鎖国の深い眠りの中にいたころ。
天保11(1840)年・薩摩──。
「おばちゃんおはよう」「早かねぇ」などと
朝早くから、こどもたちの元気な挨拶に包まれる郷。
「おはようございもす! 今日もきばいもんそ!」
その子どもたちが集まる西郷家では
少年が子どもたちを取りまとめています。
この少年こそ、後の西郷隆盛となる小吉。
薩摩では町を区割りした「郷中」ごとの教育が行われています。
今でいう町内会のようなもので、号中の年長者が年少者を
文武にわたって厳しく指導しました。
号中の教育は男子に限り受けることが出来たのです。
薩摩の男子が目指すのは、強く立派な侍になること。
徳川太平の世の中でも、ここだけは今でも
戦国と代わらぬ荒ぶる風が吹いています。
西郷や大久保正助(後の大久保利通)らが属する下加治屋町郷中は
大山格之助や有村俊斎らが属する高麗町郷中と競い合っておりまして
ある時は力の競い合い、またある時は鰻取りを繰り広げていました。
そんな様子を眺めている、岩山 糸。
後の西郷隆盛の妻となる女の子です。
こんがり焼いた鰻で「うまかぁ」と満足していた小吉らですが、
俊斎は、茶坊主として薩摩藩別邸に上がったときに見られる
甘くて上手い菓子を知っているんだぞ、と自慢げです。
というわけで今度は、その御殿に忍び込んで
菓子争奪戦を行うことになりました。
そこに、少年のなりをした糸が加わりますが、
小吉たちは男としか認知しておりません。
警護の網をかいくぐり、上手く忍び込んだものの
村田新八が橋から池に転落し、
その音で警護の者に見つかってしまいます。
慌てて逃げる少年たち。
その少年たちが逃げた先では、
不気味な男による砲術実権が行われていました。
その不気味な男に見つかった小吉たちは
そこからも逃げ出そうとしますが、
大砲の爆発で倒れて来た木に裾が挟まっており
新八は逃げ出すことが出来ません。
仲間たちがその男に土下座して許しを請う中
覚悟ならできちょっ、と小吉は男を見つめて言います。
しかし男は大笑いして、キッと睨みつけます。
「お前は一番幼い仲間を見捨てて逃げた。
弱い者の身になれんやつはな、弱い者以下のクズだ!」
やっせんぼ、と言われて、小吉はとても悔しがります。
男は、異国の天狗と戦うための算段をしておりまして
もちろん強くなければ立ち向かうことすら出来ないわけです。
解放する代わりに、ここで見たことは誰にも言うなと口止めします。
「小僧、持ってけ。口止め料だ」
帰り道、男がくれた包まれたものを開いてみるとカステラです。
子どもたちが争奪戦になっている中、
小吉は布に縫われた刺繍に目を奪われます。
“Cangoxina”とあります。
一方、その不気味な男は殿様に呼びつけられていました。
不気味な男とは、薩摩藩主・島津斉興の嫡男、島津斉彬のことです。
斉興は、自分の許しなく江戸から
勝手に薩摩に入国したことを咎めているわけです。
藩の嫡男は江戸住まいを命じられており、これに違反すれば
幕府への反逆か!? とお咎めを受けても文句は言えないのです。
大国・清にイギリスが攻め入ったのですが、大国とはいえ
アヘンの影響で清は負けるでしょう。
その次に薩摩へ欧米諸国が押し寄せてくることを考えれば、
新式兵器を總急に開発しなければならないわけですが、
斉興は、西洋かぶれの無駄遣いが、と苦々しい表情です。
藩を潰すつもりか、と斉彬に藩を継がせるつもりはありません。
薩摩には妙円寺詣りというものがあり、関ヶ原の戦いの終わりに
島津義弘が敵中突破をした武勇を称えた郷中の年中行事であります。
糸も、男のなりをして、鎧かぶとに身を包み、
下加治屋町郷中のひとりとして参加していました。
重い鎧かぶとに身を固めた少年たちは
ここから遥か20km先にある妙円寺を目指して突き進みます。
そしてこれは、郷中の間で一番乗りを目指して競い合うという
激しい行事でもありました。
いくら元気のいい少年たちとはいえ、4時間も経過すれば
ヘトヘトになって道ばたでひっくり返る者や休憩する者が続出します。
それでも小吉たちは仲間たちと鼓舞し合い、前へ前へ進むのですが
平之郷中という位の高い者たちがいるチームに邪魔をされます。
小吉たちは、その平之郷中の邪魔を相手している間に
糸に先を急がせまして、
結果、妙円寺には下加治屋町郷中がトップでゴールします。
一番乗りの号中には、島津家の血筋である赤山靭負(ゆきえ)から
直々にご褒美の餅がふるまわれます。
ところが、下加治屋町郷中の面々が餅をほおばっているときに
平之郷中のうちの一人が、娘が紛れ込んでいるとチクったのです。
男だと信じて疑わなかった下加治屋町郷中の面々はのけぞります。
小吉は、女が紛れ込んでいたことよりも糸の足の速さに感心しますが
女が紛れ込んだことで一位の座を奪われてしまった
平之郷中のメンツは丸つぶれです。
先ほどまで仲の良かった下加治屋町郷中の仲間からも
肩をどつかれ、裏切り者扱いです。
女はどうして郷中教育を受けられないのか。
自分だって学問や剣術、相撲がしたいと、糸の思いは切実なのです。
「男になりたか……女子になったことのなかおはんには分からん!」
小吉を突き飛ばして走り去っていきます。
「弱い者の身になれんやつはな、弱い者以下のクズだ!」
「女子になったことのなかおはんには分からん!」
ふたりの言葉が頭の中をグルグルと駆け回り、小吉は翌朝
女の身なりをして村を歩いてみました。
道の真ん中を堂々と歩けない、歩いたら突き飛ばされて怒られる。
洗濯物も、男の物と女の物は一緒に洗うことすら許されない。
手数が増えようと、昔からの決まりだから仕方がない。
「女子はつまらん。女子は損じゃ。学問も剣術も習えん」
面白か人じゃね、小吉さぁは。
その様子を遠くから見ていた糸は、ニッコリと微笑んでいます。
小吉は斉彬の元で修行できないかと考えるようになりました。
しかし父の西郷吉兵衛に相談してみると
母・満佐や祖母・きみが言う、学問二の次、まずは力強さ、よりも
一家九人を養っていくにはまずそろばんだ、と叱ります。
身の程知らずの願望は、実現するまでは胸の中に収めておく、と
それからというもの、小吉はさらに気合いが入って励みます。
しかし数日後、道を歩いていると
小吉は平之郷中の者たちに待ち伏せされ、囲まれてしまいます。
最近の鍛錬のおかげで次々と倒していく小吉でしたが、
尾田栄作が振り下げた刀の鞘が割れ、刀が露になり……。
刃先が小吉の右肩に刺さってしまいます。
流血し、うめき声を上げる小吉。
「残念じゃが、こん腕はもう、使い物にないもはん」
傷は深く、完治は出来ないと医師も匙を投げます。
あれだけ活発だった小吉の姿は郷中にはなく
ひとり林の中をさまよいます。
気合いで木刀を持って振り上げてみても
痛みが走り、握れないのです。
腕を抑え、泣き出す小吉。
そこを狩りで通りかかった斉彬。
小吉は、思いのたけを斉彬にぶつけます。
「おいはいつか斉彬様のおそばで忠義を尽くしとうございもす。
じゃっどん……こん右手で二度と刀は持てなくなりもした」
自分はもう生きていても仕方ない人間だ、と泣きじゃくります。
「めそめそするな! このやっせんぼ!!」
死んではならぬ、と斉彬は優しいまなざしを小吉に向けます。
つまり、侍が重い刀を2本も差してそっくり返る時代は終わる、と
斉彬は予見しているのです。
これからは、弱い者の声を聞き
民のために尽くせる者こそが真の強い侍となる。
お前はそういう侍となれば良い。
お前がもっと強い男になっていれば、また会おう──。
この年、島津斉彬が薩摩にいたという記録はありません。
小吉が会ったのは、天狗だったのか影武者だったのか
それとも……?
それからしばらくして、赤山靭負邸で
世界地図を見せてもらった小吉たち。
ちっぽけな日本の端に、斉彬にもらった布に刺繍してあった
“Cangoxina”と同じ文字を発見します。
「こんカニ文字は、何ち読みもすか」
「……鹿児島」
世界の中で日本はとても小さい国ですが、
鹿児島と記されている。
世界は、この鹿児島を見ている──。
初代鹿児島県令・大山綱良、宮内大丞・村田新八、
枢密顧問官・海江田信義、初代内務卿・大久保利通、
陸軍大将・西郷隆盛。
いつも腹をすかせていたこの少年たちが
いずれ徳川幕府を倒し、新しい日本を築き、動かす
中心人物になっていくとは
さすがの桜島もご存じなかったでしょうなあ。
この『西郷どん』では、
『その時歴史が動いた』風にカウントダウンしていきましょか(^ ^)
今回は、西郷隆盛が西南戦争で討ち死にをした
明治10(1877)年9月24日に「その時」を設定します。
天保11(1840)年、
友人と他の郷中の上士が喧嘩する仲裁に入った西郷小吉(のちの隆盛)が、
謝って右腕の神経を切断する大怪我を負い、刀が握れなくなる。
明治10(1877)年9月24日、
西南戦争で西郷隆盛が討ち死にするまで
あと37年──。
(大河ドラマ『翔ぶが如く』では物語前)
(大河ドラマ『篤姫』では第1回「天命の子」付近)
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『西郷どん』
第2回「立派なお侍」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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