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2018年1月19日 (金)

プレイバック山河燃ゆ・(04)別れの絵草紙

昭和11(1936)年3月。

もう二度と会うことはないだろう、と
お互いに覚悟していた相手と偶然にも再会できました。
天羽賢治は、三島典子が
友人・三島啓介の妹であることが未だに信じられません。

賢治は来週24日の船でアメリカへ帰国の途に着く予定です。
日本を離れる前に、会えて嬉しいふたりです。

身元保証人の島木文弥が大学の卒業祝いに
銀座にある高級紳士服で洋服を仕立ててくれていました。
それを受け取りに行ったふたりは
UAP通信社のジェームズ・トムソンを訪ねることにします。


日の丸の旗とドイツの旗が並べて掲げられている
近くのビアホールに場所を移した三人。

トムソンから現在のアメリカの不景気な状況を聞いた賢治ですが
家族が待っているから、と帰国の気持ちを変えることがありません。
さらに、外国人から見た日本の政治と軍部の関係という
日本がどの方向に向かおうとしているのかも聞かせてくれます。

ただ、UAP通信はそのような
政治的なニュースばかり届けているわけではなくて、
日本人の心の部分も取り上げているようです。

最近のテーマは、嵐山心中や天城心中といった“心中”。
自分で死ぬのはまだ分かるが、そんな自分の思いに、恋人まで
道連れにするというのは理解し難いわけです。

賢治は、恋人と心中なんて考えたことがありません。
「自殺もごめんだな。たとえどんな事情があるにせよ」

でも典子は違うようで、本当に好きな相手なら
もしかしたら心中するかもしれない、という見解です。


アメリカに住む家族への土産を買っていないという賢治に
典子はいかにも日本らしい土産ものを販売する店に案内します。
そこで絵草紙やら日傘やら千代紙やらいろいろ選んでいます。

そこには先客がおりまして、何やら買って行きましたが
ひどく典子のことを気にしている様子です。

地下鉄で帰るという典子と少し会話していると、
写真屋がパシャリと街頭写真を撮影して写真の押し売り?

お金を払えば10日ほどで出来上がる、というのですが
とてもとても間に合いません。
典子は料金も支払うしアメリカにも送ると言ってくれます。
「うふふ、下駄のお返し」


全日本柔道選手権大会をねんざで欠場した天羽 忠。

初戦で対戦する予定であった内田と改めて対戦したいと
内田が通う道場に顔を出します。
しかし内田はあいにく不在でありまして、
明らかに段位も下の者が代理で対戦することになりました。

とはいえ、対戦してみれば忠の連戦連敗。
身体中ボロボロで帰宅します。
「ちくしょう……」

座敷に行ってみると、ちょうど賢治が
仕立ててもらった洋服を着てみているところでした。
忠はその場で、兄が来た学生服を譲り受けて
大学(夜学)に通うことにしたと表明します。


寺内正毅陸軍大臣の就任祝賀パーティを
体調不良で中座した典子でしたが、
賢治と買い物をしていたので家には帰っておりません。
それを父に厳しく咎められる典子。

しかし典子は、そんなことにもめげず
結婚前に1ヶ月でも2ヶ月でも家の外に出て働いて
給料をもらってみたいと言って父を困らせます。

一方、啓介には正直な気持ちを何でも話せます。
今日一日の賢治とのデートもとても楽しげに報告していますし、
久永大尉との結婚も乗り気でないことも打ち明けます。

「私、家出しちゃおうかな」
家出するときはボクにだけは言ってくれよ、とだけ言って
妹の家出を止めない兄は、キライな人と結婚することはないと
典子のことを心から応援してくれているようです。


日本を離れるにあたり、芝離宮の道場に行って
弓の引き納めをしようと考えていた賢治。

そこに久永が現れ、
昨日デートに誘った女は私の婚約者だと言われて
私を侮辱している、と何発も殴られます。
本来であれば一刀両断に処すところ、賢治は日本人ではないので
それができずに殴られただけで済んだのが御の字です。

ただ、賢治は典子が婚約していることは知らなかったのですが
それを弁明したところで聞き入れる久永ではありません。

「見せかけだけの日本男児め」
賢治は、さんざんに久永に侮辱されてしまいます。


翌日。
船でアメリカへ帰る兄と、日本に残る弟。
兄弟はふたたび、別れ別れになります。


山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一
音楽:林 光
──────────
[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)

大原 麗子 (三島典子)

柴田 恭兵 (荒木)
渡辺 謙 (楠田 武)
篠田 三郎 (三島啓介)
──────────
川谷 拓三 (川辺庄平)
高森 和子 (ひさ)
柳生 博 (白浜)
──────────
アグネス・チャン (張 美齢)
竜崎 勝 (久永大尉)

山内 明 (三島誠之介)
児玉 清 (島木文弥)

西田 敏行 (天羽 忠)
──────────
制作:近藤 晋
演出:村上 佑二

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