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2018年1月27日 (土)

プレイバック山河燃ゆ・(06)リトル・トーキョー

昭和11(1936)年・初夏──。

リトル・トーキョーの田宮家では
殺害された田宮平九郎の通夜が
しめやかに執り行われていました。

犯人はまだ捕まっておらず、通り魔という話もありますが
気が強い人だったし、ブラックペッパーの売買で
激しくやりあったという話もあり、
人の恨みを買っていたのかもしれません。

借金の肩代わりに家を差し押さえると、通夜の最中でありながら
田宮家に押し入って来る債権者・ウェスト商会もいて
代わりに対応した井本梛子が懸命に追い払います。


天羽クリーニング店では、ホテル業を営む
畑中万作(畑中エミーの父)が店にお邪魔して
通夜の田宮家に債権者が押し入り火事場泥棒みたいだったとか
商売は地道にやらなきゃいかんとか
いろいろと言いたい放題ですが、

天羽テルこそ頷く程度には反応するのですが、
天羽乙七は万作の話をほぼ聞き流し、
無言のまま何も答えません。

ただ、万作の目的は平九郎のことではなくて
娘のエミーと天羽賢治の婚約を乙七に急かしに来たのです。
就職はまだだし、と難色を示す乙七ですが、
賢治ほどの優秀さがあればホテル業は大丈夫と太鼓判です。


チャーリーの母・田宮カヨが日本に帰りたいと言い出しました。
あんな事件があって、しかも債権者は初七日が終わらぬうちに
自宅の差し押さえに押しかける始末で、
つくづくこの国がいやになったようです。

チャーリーは、日本を捨ててアメリカに渡ったのに
今さら日本に帰れるのか穏やかに問いかけます。
日本に帰るという選択肢は、少なくとも平九郎は喜ばないから
ここに居残って立ち直っていくしかない、と励まします。


そんなチャーリーですが
父の死後から賭け事にハマり出していまして、
心配したマリー田宮から相談を受けた賢治は
チャーリーを賭場から連れ帰ります。

聞けば、母と妹は日本に帰る決断をしたそうですが、
チャーリーはアメリカに残り、日本国籍を抜くつもりです。
自分自身を日本に帰れなくするために、
大金を賭け事にすべてはたいたようです。


賢治から日本の天羽 忠の元に手紙が届きます。

アメリカという国における
日本人の生活の厳しさは想像以上で、
やはりアメリカ側の誤解が大きいという気がする、と。

それを聞いた三島啓介は、
最近の満州情勢は憂慮すべき状態だし、
日米関係は悪くなっているから、このまま行ったら
国益がぶつかって戦争になりかねない、とため息をつきます。


賢治が採用試験を受けに企業に向かっている途中、
アメリカ人にその会社までの道を尋ねても、
「中国人か?」「いや日本人だ」という会話を交わせば
たちまちそっぽを向かれてしまうし、

喫茶店に入ればウェイターは注文を取りに来ないし
呼んでも完全にシカトされてしまいます。
マスターに文句を言ったら、首根っこ掴まれて
1枚の張り紙の前に連れていかれます。

「NO JAPS WANTED」(日本人お断り)

自分はアメリカ国籍を持っていると主張しても
聞いてもらえず、
土砂降りの中、外に放り出されてしまいます。

泥まみれのまま面接に行って、出直して来いと言われ
どんなに経理が得意だと身振り手振りで説明しても
全く聞き入れてもらえません。


失意のまま家に帰り、
乙七に転んだと顔を引きつらせて説明する賢治ですが、
乙七はあえて何があったかは聞きません。

テルは、賢治が帰ってきたことで
ランドリーの仕事を賢治が継いでほしいと思い始めました。

もともと後継者には忠を考えていましたが、忠は
日本に永住したいとさっさと親元を離れてしまうし、
早く孫の顔を見たいし、というのが母の気持ちです。

そんな母の気持ちをくみ、
乙七にこの仕事を手伝ってもいいと伝える賢治ですが、
ランドリーの仕事を継ぐために大学に行ったのではないのなら
余計なことは考えなくていい、と言われてしまいます。

「お前は日本に帰れ。日本に帰って大和魂を鍛え直して来い!」
息子からの言葉をキッパリと断る乙七です。


ちょうど、二・二六事件の時にお世話になった
UAP通信社のジェームズ・トムソン東京支局長から
新聞社の仕事を手伝わないか、と誘いが来ていて
日本に帰っても、当てがあるといえば当てがあります。

ただ、チャーリーのように日本国籍もアメリカ国籍も捨てず
日本とアメリカの架け橋のような仕事をやりたいと
思うようになっていました。

出発の前夜、賢治は始めて乙七と将棋をします。
お互いが遠慮なく攻めていく中で、
お互いの本音を出さないまま、進んでいきます。


山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一・香取 俊介
音楽:林 光
──────────
[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)

島田 陽子 (井本梛子)

堤 大二郎 (天羽 勇)
柏原 芳恵 (天羽春子)
手塚 理美 (マリー田宮)
篠田 三郎 (三島啓介)
──────────
沢田 研二 (チャーリー田宮)
──────────
津島 恵子 (天羽テル)
アグネス・チャン (張 美齢)
大木 実 (井本虎造)
柳生 博 (白浜)

三船 敏郎 (天羽乙七)

西田 敏行 (天羽 忠)
──────────
制作:近藤 晋
演出:佐藤 幹夫

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