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2018年1月30日 (火)

プレイバック山河燃ゆ・(07)草原情歌

数ヶ月前に乗った竜田丸で
今度は逆の行程を日本に戻っていく天羽賢治。

ただ、今回はひとり旅ではなく
アメリカがつくづくイヤになって日本への帰国を望んだ
チャーリー田宮の母・田宮カヨと、
それに同行する妹・マリー田宮が一緒です。

横浜港では、天羽 忠が迎えにきてくれていました。
「マリー、お久しぶり」
そう言うと、マリーは忠の胸に飛び込んで涙を流します。

ひとまず忠が下宿している島木家へ向かう一行。
賢治にとっては久しぶりの、第二の我が家です。
何もかもお任せ下さい、という島木に
安心するカヨとマリー。

通っている大学も、夜間から昼間に移ったという忠に
成長したものだ、と賢治は目を細めますが、
忠は賢治とマリーたちがやってきたことで
島木家を出て、浪速節の百蘭の元で住み込むことになりました。


二・二六事件の判決が出て、十数名の死刑が言い渡されます。

三島誠之介は、もう少し情状酌量してもらっても……と不満顔ですが
久永大尉は「妥当な判決でしょう」と笑います。
そんな会話をしている時、三島家に川辺庄平から電話が入ります。
賢治がアメリカから戻ってきたから、その歓迎会のお誘いです。

三島典子は、賢治と撮った街頭写真を
すでにアメリカに送ってしまいましたが、
賢治が日本に戻ってきたことを兄・三島啓介に聞いて
複雑な表情を浮かべます。


『日本の軍国主義化は これによって
 いっそう拍車がかかることになるであろう』
UAP通信社のジェームズ・トムソン東京支局長は
そのようにタイプライターで打ち出しています。

そこに、仕事をしないかと誘っていた賢治がやってきます。
久々の再会です。

場所を変えて話をする中で、賢治はトムソンから
日本国の呼び方が変わったことを教えられます。
「日本国じゃだめなんですか」
「No! 大日本帝国」


啓介は、賢治の歓迎会に典子を誘ってみますが
迷った挙げ句、やめるわ、と少しだけ笑顔を見せます。

でも、本当は行きたくて行きたくて仕方ないのです。
賢治がアメリカへ旅立つ時、もらった弓矢を眺めて
賢治のことを思い出す典子です。


島木家に居候している田宮母子ですが、
カヨはマリーをそのまま残し、
単身広島へ帰ることにします。

島木家の女中をしているひさには
昭吾という元気な息子がおりますが、
カヨが、ひさに夫はどうしたかを聞いてみますと、
満州事変の時に戦死した、と話し、うつむきます。


喫茶店『リラ』。
「本日七時より貸切になります」の張り紙を見て
満面の笑みで店に入っていきますが、
賢治の予想に反し、店内は重苦しい雰囲気です。

天羽賢治だな、と言われて両腕を掴まれた賢治は
警察署に連行されてしまいます。
賢治は警察署の牢屋に入れられるのですが
そこで懐かしい顔ぶれと再会です。

なぜ警察署に連行されたかというと、
「リラの友」という冊子が検閲に引っかかったようです。

啓介は、これは外国映画鑑賞会の機関誌だ、と弁明しても
警察が聞いてもらえるわけもありません。
取り調べは、庄平も、楠田 武も、賢治も受けますが
正直に話しても突っぱねられるばかりです。

取調室の外では、特高刑事の荒木が
アメリカからわずか3ヶ月で戻ってきて
UAP通信社に紀者として就職した賢治を
今後は重点的に見張っていくことにします。


百蘭のもとで呼び込みを続ける忠。

百蘭に映画出演の話が持ち上がり、
忠を誘って大船撮影所に向かうことにします。

忠は、百蘭と会っていた軍人に襲いかかる男の役なのですが、
先に襲いかかった男たちが軍人にきれいに投げ飛ばされる中、
忠は逆に軍人を投げ飛ばしてしまい、監督にひどく怒られます。

その帰り、撮影所で合流した撮影助手の庄平は
高級そうなカメラを持って質屋へ。

なんでも喫茶店『リラ』のウェイトレス・美齢が
200円という大金がいるらしいのですが、
わけは聞かないで欲しいと武に頼み込んだのです。

武から相談を受けた庄平は、
質に入れて得たお金を武に手渡します。


武は美齢にそのお金を手渡しますが、
すぐにマスター・白浜に見つかります。
武や庄平、賢治らが問いつめても、
美齢は事情を話してくれません。

そして、お金を受け取りにきた男が店にやってきて
庄平や武は男につかみかかりますが、
中国人と名乗る男は、お金を受け取ると
急ぐから、と言ってすぐに店を出て行きます。

男が出て行くと、美齢はようやく思い口を開きます。

あの男は、美齢の父の友人なのだそうです。
父の依頼でものを日本から中国に運び出そうとした時
日本の警察にスパイと疑われて捕まってしまいます。

投獄されて5年、奥さんには逃げられ
何もかも失ってしまった男に、美齢は金銭的支援を申し出た……。
そういう話なのです。

美齢の亡き父は表向きは事故死ということになっていますが、
誰かに殺されたという話もあります。
どうしてあらかじめみんなに話し出せなかったのか?
それは、亡き父を哀れに思われたくなかったのです。

誰もが、男の身勝手に怒りたくもなりますが、
美齢は男のために必死に弁明します。

あの人は、借りたくてお金を借りているわけではない。
他の国に住んだことがなければ、私の気持ちは分からない!
「もういい……もういい……許してください」


夜、久永大尉が三島家を訪問し
典子に応対させるように父・誠之介は典子に催促しますが
一人にして欲しい、と聞きません。

夜遅く、思い詰めた典子は三島家を飛び出して家出します。


『帝国政府は 8月7日 大陸および 南方への進出と
 軍備の充実を決めた国策の基準を五相会議で決定』
賢治がタイプライターで打っています。


昭和11(1936)年7月5日、
二・二六事件の第一次判決がこの日までに言い渡される。

昭和20(1945)年8月15日、
日本がポツダム宣言を受諾し第二次世界大戦が終結する。


あと9年1ヶ月──。


山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一・香取 俊介
音楽:林 光
──────────
[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)

大原 麗子 (三島典子)

アグネス・チャン (張 美齢)
柏原 芳恵 (天羽春子)
手塚 理美 (マリー田宮)
渡辺 謙 (楠田 武)
篠田 三郎 (三島啓介)
柴田 恭兵 (荒木)
──────────
川谷 拓三 (川辺庄平)
竜崎 勝 (久永大尉)
柳生 博 (白浜)
──────────
泉 ピン子 (百蘭)
高森 和子 (ひさ)
津島 恵子 (天羽テル)
山内 明 (三島誠之介)
児玉 清 (島木文弥)

三船 敏郎 (天羽乙七)

西田 敏行 (天羽 忠)
──────────
制作:近藤 晋
演出:村上 佑二

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