大河ドラマ西郷どん・(09)江戸のヒー様 〜お庭方拝命〜
「行ってくっでーっ!!」
安政元(1854)年1月、薩摩を出発した西郷吉之助は
島津斉彬出府のおともで、初めての江戸へ。
憧れの斉彬のそばで働けるだけで、夢見心地な吉之助です。
薩摩を出発して45日、
通常よりも6日も早く一行は江戸へ到着。
江戸・芝にある薩摩藩上屋敷には
藩主斉彬とその家族を筆頭に
1,000人以上の藩士が住み込んで働いています。
吉之助は「38番」という番号で屋敷に入り
有村俊斎と同室となります。
ちなみに大山格之助は階下です。
江戸到着後、さっそく江戸城に登城した斉彬は
老中阿部正弘と対面、江戸の情勢をヒアリングします。
2月、横浜に再びペルリ率いるメリケンの黒船が現れまして
水戸藩前藩主の徳川斉昭は、打ち払いを断固として主張。
そこに、彦根藩主の井伊直弼は、
勝てる見込みがないなら開国を受け入れるしかないと
“天下万民のため”にそれしかない、と冷ややかです。
将軍の徳川家定に裁断を仰ぐも、
畳に落ちた豆を拾って口に放り込み
そのまま黙って出て行ってしまいます。
評定は開国に一気に傾きます。
斉彬としては、勝てる見込みがないからと
無策で開国するのは愚の骨頂と回答を引き延すよう進言します。
このままでは日本が、エゲレスに飲み込まれた
清国のようになってしまいかねません。
阿部と斉彬は、家定がああいう感じでは
国難を乗り越えられない、と首のすげ替えを視野に話し合います。
斉彬が考えているのは、養女として迎え入れた篤姫を
家定の妻、つまり将軍御台所として江戸城に送り込むことです。
俊斎と格之助に品川宿の磯田屋に連れて来られた吉之助。
見るからにふつうの旅籠ではなさそうなので引き返しますが、
飯食うだけじゃ、と背中を押されて、結局は連れ込まれます。
ただ、吉之助の当初の推測通り
飯盛娘がそばでお酌をすると聞いて、頑にお酒を拒否。
ふたりが引き止めるのも聞かずに退店します。
廊下で別の飯盛娘とぶつかってしまう吉之助ですが
その飯盛娘は吉之助の名前を知っていました。
「ふきです! 迫村のふきです!!」
ふきとは、吉之助が郡方書役助として藩内を検分していたときに
出会った、借金のカタとして売りに出された娘であります。
海を渡って下関へ、そして京都、ついには江戸と流れて来たわけです。
そしてさらに、およし(磯田屋での名前、ふきのこと)を指名する
“江戸のヒー様”との劇的な出会いも果たします。
劇的といっても、武士に絡まれていた飯盛娘を吉之助に託して
颯爽と船で脱出する用意周到さで、強烈な記憶として残ります。
吉之助は、当然ながら門限には間に合いませんで
翌日から屋敷内の下働きしかさせてもらえません。
金を工面してくれた大久保正助や西郷吉二郎たち家族に
申し訳ないとうなだれます。
そんな日が10日も続き──。
38番! と呼ばれた吉之助が長屋の庭に駆け出ると
薩摩でいろいろと顔を会わせた近臣の山田為久がいました。
「西郷吉之助、お庭方を命じる」
それ以降、斉彬の側近くにありながら
一度も拝顔の機会もなく、一日一日と過ぎていくわけです。
しかしある日の夕方、ようやく吉之助の前に現れた斉彬は
小石川にある水戸藩屋敷に行くように吉之助に命じます。
命を投げ出してまで自分のために働いてくれる吉之助を、
斉彬は見込んで庭方役を命じたのですが、
これから先の時代、斉彬も誰から命を狙われるか分かりません。
できることなら刀で我が身を守って欲しい……。
しかし吉之助は、小吉と名乗っていた幼い頃に
ケンカに巻き込まれて腱を切り、右手で刀を持てません。
それを正直に打ち明けると、斉彬は昔のことを思い出します。
あの時のやっせんぼが、いま目の前にいる吉之助です。
「あの時の小僧か。大きくなったなぁ!」
雨の日も雪の日もいつでもここにいること、
斉彬の手となり足となり、斉彬の代わりに用談をすることが
吉之助の庭方役としてのお役目である、と。
もし用談をして知り得た秘密を守れないときには
この脇差しを使え、と
斉彬は自らの脇差しを吉之助に与えます。
町衆に道を尋ねながら、紀尾井坂を左に曲がって
ようやく水戸藩邸江戸屋敷にたどり着きます。
斉彬の書状を徳川斉昭に手渡すと、斉昭は
書状をビリビリと破って捨ててしまいます。
殿の書状を大して読みもせずに破ってしまうなど
許されるはずもない、と吉之助は激怒。
書状に書いてあるのは、
大した意見も聴取せず和親条約を結んだ
斉彬による弱腰外交の幕府批判であり
ひいては徳川批判であるわけです。
それを徳川御三家の水戸に愚痴る、というのは
イマイチ納得できない吉之助ですが、
現在幕府を動かしている実質的藩は
「紀」州家、「尾」張家、「井」伊家でありまして
水戸はそれから外されているのです。
牽制をほしいままにしている井伊直弼に
斉昭は不満が鬱積しているのです。
斉昭と吉之助の対面の場に、慶喜が入ってきました。
「あっ……ヒー様?」と吉之助は声を上げますが
この男は人違いをしているのです、と
慶喜は涼しい顔で出て行きます。
嘉永7(1854)年3月3日、
井伊直弼らによって、日米和親条約が締結される。
明治10(1877)年9月24日、
西南戦争で西郷隆盛が討ち死にするまで
あと24年3ヶ月──。
(大河ドラマ『翔ぶが如く』では第6回「庭方役拝命」付近)
(大河ドラマ『篤姫』では第13回「江戸の母君」〜第14回「父の願い」付近)
原作:林 真理子
脚本:中園 ミホ
脚本協力:三谷 昌登・小林 ミカ
音楽:富貴 晴美
タイトル映像・題字:L.S.W.F
語り:西田 敏行
──────────
[出演]
鈴木 亮平 (西郷吉之助)
瑛 太 (大久保正助)
桜庭 ななみ (西郷 琴)
北村 有起哉 (大山格之助)
高橋 光臣 (有村俊斎)
渡部 豪太 (西郷吉二郎)
塚地 武雅 (熊吉)
水野 久美 (西郷きみ)
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北川 景子 (篤姫)
松田 翔太 (一橋慶喜)
高梨 臨 (ふき(およし))
又吉 直樹 (徳川家定)
徳井 優 (山田為久)
戸田 菜穂 (喜久)
藤木 直人 (阿部正弘)
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伊武 雅刀 (徳川斉昭)
佐野 史郎 (井伊直弼)
渡辺 謙 (島津斉彬)
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制作統括:櫻井 賢
:櫻井 壮一
プロデューサー:小西 千栄子
演出:野田 雄介
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『西郷どん』
第11回「篤姫はどこへ」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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