« 大河ドラマ西郷どん・(10)篤姫はどこへ 〜二人だけの秘め事〜 | トップページ | バス停について本気出して考えてみた(223) »

2018年3月13日 (火)

プレイバック山河燃ゆ・(19)日本刀を埋めた日

1941(昭和16)年12月・
アメリカ リトル・トーキョー。

外出は控えるように、などとアメリカ在住の日本人向けに
注意喚起しているラジオを聞きながら、
天羽乙七は日本刀を光にかざしてまじまじと眺めています。

日本刀を眺めていると、だんだんと心が落ち着いて来る。
そんな心の拠り所でもある日本刀を乙七は庭に埋めてしまいます。
故郷・鹿児島の天羽しまにもらった家宝を
アメリカに取り上げられてしまっては顔向けできないからです。

妻の天羽テルは、日本が本当にアメリカと
戦争を始めたのかと未だに信じられません。
自分は敵国人扱いされても仕方ありませんが、
長男の天羽賢治がFBIに逮捕されたことが理解できません。


その賢治ですが、1209という番号を与えられ
FBI監獄から移民局へ身柄を移されていました。
監獄はスパイ容疑のかかる日本人で満員なのです。

日本語学校で日本語を教えたことが反米として逮捕されたり
花屋がバラの写真を撮影しようとカメラを持っただけで
逮捕されたり、話を聞けばむちゃくちゃです。


竜田丸に乗船していた天羽 忠と三島典子ですが、
日本政府の命令によりアメリカゆきから反転し
日本に戻って来てしまいます。

その出迎えに島木文弥がやって来ますが、
とうとう君にも来たよ、と島木が令状を差し出します。
鹿児島にある西部第18部隊に
昭和17年1月10日に入営せよ、という入営の命令書です。

島木邸に入ったふたりですが、島木と忠が話し合った結果、
忠とともに典子には鹿児島に移ってもらい
叔母の家でしばらく過ごしてもらおう、ということに。
そして戦争が終わったら、改めてアメリカへ渡ればいい、と。

典子は忠に、もうひとつの祖国であるアメリカと
日本兵として戦う事が出来ますか?
アメリカにいるお兄さんを討てますか? と訊ねます。

相手の出方次第、と忠は返事を濁しますが
そんなことになると考えてもいないでしょうし
考えたくもない、というのが正直なところでしょうか。

翌日、典子は兄の三島啓介のところに相談に行ってみます。
そのほうがいいだろう、と啓介も言ってくれます。


鹿児島に向かった忠と典子。

叔母のしまから、鳳の石打の矢を渡された典子。
賢治と出会った証のようなものです。
典子は鳳の矢を胸に抱いて大喜びします。

渡米するために忠と偽装結婚したままの典子ですが、
しまから、しばらくは入籍したままで、と言われます。
入籍してわずか1ヶ月で籍を抜いたらみんな不審がりますし、
いちいち真実を説明するのも埒があきません。

年が明けて昭和17(1942)年1月。
西部第18部隊に入隊する忠と、同郷の伊佐新吉です。


ロサンゼルス・KLBC放送局──。

マリー田宮がチャーリー田宮を訪ねてきます。
チャーリーのコネを使って、賢治を釈放させろというわけですが
今は平時ではなく、アメリカと日本が戦争に突入している時なので
チャーリーは無理だとにべもありません。

自宅にいた田宮梛子ですが、ペンのインクがなくなったため
夫・チャーリーからペンを借りようと机の引き出しを空けると
300ドルが無造作に入れられていることに気づきます。

こんな大金どこから……と疑問に思っているところで、
チャーリーが帰宅します。
チャーリーは、帰宅して誰々は怪しい、誰々は無害だと
誰かに報告を入れているようで、梛子はますます分かりません。

「300ドル? FBIの調査費用だ」
チャーリーが行っているのは、純粋な日本人の調査でして
チャーリーたち日系二世とは法的にも違うのです。

チャーリーがやっているのは、母国アメリカのために
忠誠を誓ってやっているのです。
梛子がFBIと手を切ってくれと懇願しても
チャーリーにはそのつもりはありません。


尋問を受ける賢治は、与えられた質問に正直に答えていきます。
カリフォルニアの日系人を対象に15,000部を発行する新聞社の記者で
実家はアメリカ人がよく利用するクリーニング屋、
4人兄弟のうち次男だけが日本にいる、と。

次男が日本軍人になる可能性はあるのかと問われ
しばらく考えた賢治は「あります」とつぶやきます。
その弟と直接対決になった時、撃てるのかと問われ
撃てません、と答える兄。

賢治は、自分の祖国はアメリカだと言って
アメリカに対して忠誠を誓います。
だからこそ、この尋問がとても悲しいことも伝えます。

チャーリーからの情報で、
移民局からさらに身柄を遠くに移されるらしい賢治に
父母が面会できるように根回しをする梛子。
乙七が面会にやってきました。

賢治は、アメリカに忠誠を誓ったことを乙七に伝えます。
そいでよか、と言いながらも、乙七はショックを受けます。


日本で日本軍人として訓練を受ける忠、
移民局から身柄を移される、アメリカに忠誠を誓った賢治。
いつものように日本人街でクリーニングの仕事をこなす乙七。

家族が、運命によってバラバラにさせられつつあります。


山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一・香取 俊介
音楽:林 光
──────────
[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)

大原 麗子 (三島典子)

多岐川 裕美 (畑中エミー)
手塚 理美 (マリー田宮)
矢崎 滋 (伊佐新吉)
篠田 三郎 (三島啓介)
──────────
沢田 研二 (チャーリー田宮)

島田 陽子 (田宮梛子)
──────────
津島 恵子 (天羽テル)
丹阿弥 谷津子 (天羽しま)
児玉 清 (島木文弥)

三船 敏郎 (天羽乙七)

西田 敏行 (天羽 忠)
──────────
制作:近藤 晋
演出:伊豫田 静弘

|

« 大河ドラマ西郷どん・(10)篤姫はどこへ 〜二人だけの秘め事〜 | トップページ | バス停について本気出して考えてみた(223) »

NHK大河1984・山河燃ゆ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 大河ドラマ西郷どん・(10)篤姫はどこへ 〜二人だけの秘め事〜 | トップページ | バス停について本気出して考えてみた(223) »