プレイバック山河燃ゆ・(21)マンザナール収容所
1942(昭和17)年夏
ロサンゼルス ユニオン・ステーション──。
サンタアニタからマンザナールに移送される日系人たち。
病気で気を失って倒れた女性に手を貸す天羽賢治。
今すぐ手当てが必要だ、と兵士に訴える賢治ですが
そんな勝手はできない、病院ならマンザナールにもあると
突っぱねられます。
そこに現れたのは、かつての上司である
AUP通信のクレーマーでした。
クレーマーは女性を病院に診せた方が良いと兵士に言い
兵士も、AUP通信に睨まれるのが恐いのか、従います。
クレーマーは賢治とは逆で東京滞在中に開戦となりまして
逮捕されて憲兵に殴られ、厳しい取り調べを受けて
仙台に収容されていました。
第一次交換船でアメリカに無事に帰国できたわけですが
今回の大統領令9066号には、クレーマーも納得がいきません。
イタリア系アメリカ人であるクレーマーには何もないのに
どうして日系人だけがこんな目に遭わされるのか。
それよりも、賢治が頼んでいた日本人の消息について
クレーマーは調べるヒマがなかった、と言いつつ
弟の天羽 忠のことだけは分かったと教えてくれます。
鹿児島の軍隊に入ったこと、結婚したこと……。
賢治は弟の結婚を喜びますが、その相手が
三島典子であることを聞き、表情がたちまち曇ります。
そもそもアメリカに渡るために偽装結婚したふたりですが、
そんな事情は他には分かろうはずもありません。
「今は、弟も彼女も敵だ」
クレーマーの声が、賢治の脳裏をこだまします。
汽車に乗って6時間、
ローンパイン・ステーションで下車し
陸軍のトラックやバスに乗り換え、
マンザナール日系人収容所に到着しました。
荷物検査の長蛇の列に並び、
天羽家が指定された住まいに入ったのは昼過ぎ。
住まいといっても、埃にまみれた
倉庫のようなところです。
賢治は、先乗りしていたチャーリーと再会し
収容所のアメリカ人所長と対面します。
所長には賢治の人柄がすでに伝えられており
このキャンプのリーダーの一員として自治を盛り上げ
当局と日系人との橋渡しをして欲しいと言われます。
そして、働き口として マンザナールニュースという
新聞を作る新聞社もチャーリーは賢治に紹介してくれます。
当局と日系人が円満に関係を続けていくためには
アメリカに対して忠誠を誓わなければならないとしながらも
日本の教育を受けて育って来た人間にアメリカに忠誠を従わせても
それは難しいだけだと話し合われています。
夜、大切にしていた典子の写真を燃やし、
典子への思いを断ち切ります。
賢治の様子が最近変だとうすうす気づいていた母・天羽テルは
賢治から、婚約者の典子が忠と結婚したことを伝えます。
「母さん、僕は……忠を恨んでないからね」
賢治の目にはうっすらと涙が浮かんでいました。
昭和17(1942)年6月、
カリフォルニア州のマンザナールに強制収容所が開設される。
昭和20(1945)年8月15日、
日本がポツダム宣言を受諾し第二次世界大戦が終結する。
あと3年2ヶ月──。
山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一・香取 俊介
音楽:林 光
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[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)
島田 陽子 (田宮梛子)
多岐川 裕美 (畑中エミー)
堤 大二郎 (天羽 勇)
柏原 芳恵 (天羽春子)
かとう かずこ (井本広子)
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沢田 研二 (チャーリー田宮)
大原 麗子 (三島典子)
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大木 実 (井本虎造)
山田 吾一 (畑中万作)
塩沢 とき (畑中定代)
津島 恵子 (天羽テル)
三船 敏郎 (天羽乙七)
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制作:近藤 晋
演出:村上 佑二
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