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2018年5月13日 (日)

大河ドラマ西郷どん・(18)流人菊池源吾 ~未知なる南の島へ~

もうすぐお前の夫がやってくる
海の向こうから

私の夫が……?
しかし、災いも連れて来る──。

災い……。


幕府に追い詰められた西郷吉之助は
薩摩藩からも見放され、
ついに月照とともに錦江湾に身を投げますが、
海から救い出された吉之助は奇跡的に蘇生しました。

共に身を投げた月照が落命したと大久保正助に聞き
吉之助は声を絞り出します。
「ないごて助けた……ないごて死なせてくれんやった」

幕府の目を欺くため、菊池源吾と名を変えて
薩摩から遠く離れた大島(奄美大島)へ
幽閉されることになりました。

エメラルド色の海の向こうから
一艘の小舟がゆっくりと進んできます。


奄美大島は、もともと琉球に属していた島ですが
徳川家康が幕府を開いた頃、薩摩が制圧し
それ以来、薩摩藩の支配下に置かれていたのです。

島に住む人々“シマンチュ”は、砂糖を年貢として
薩摩に納めることが課せられていました。

砂糖は、刈り取ったサトウキビを絞り
その汁を煮詰めて作りますが、そうしてできる砂糖の量は
元のサトウキビのわずか100分の1であり、島の人々は
薩摩から要求される重たい年貢に苦しんでいました。

流されて来た吉之助は、
龍家当主・龍 佐民の屋敷近くにある離れを
住処として与えられていました。

吉之助は精神的にも不調を来たし
雄叫びを上げて森の中をさまよいます。
その様子を目撃したとぅまは、この男こそが
将来の自分の夫と分かっていますが、内心複雑です。

とぅまは、“アンゴ”を差し出すのかを
兄・富堅に聞きますが
うん、と表情を暗くしてつぶやきます。

アンゴとは、薩摩の侍が大島にいる間だけ
妻になる女性のことであり、
今までにも吉之助にアンゴを送って来たわけですが
吉之助はことごとく断り、誰も近寄らなくなっていました。

佐民の妻・石千代金が、
それでも誰かが行かねばと女性たちをせっつきますが、
みんな気色悪がって、誰も名乗りを上げません。
もしも島で死なせでもしたら、お咎めを受けるのは彼らです。

自分が行く、ととぅまはすたすた歩いていきますが
それはあくまで“食事を届ける”というだけで、
アンゴにはならないし、指一本触れさせないという
強い決意があってのことです。

とぅまは吉之助が過ごす離れに行って食事を作りますが
魔除けのための入れ墨で作った食事など取りたくないと
器を払いのけて出て行きます。

イライラしたとぅまは大島の浜辺に向かい
神様に向かって叫びます。
「神様! あの男に災いを与えてくださーい!!」


薩摩から、砂糖舟が到着しました。

しかし決められている納入量には足らず
役人の田中雄之介はそれを責めるわけですが、
こぼれた砂糖を島の子どもが拾って舐めたのを見とがめ
母子ともども処罰せよ、と命じるわけです。

そこに無言で現れたのが吉之助でありまして、
殴り掛かろうとする役人たちを殴り、
指揮した田中も締め上げようとします。

佐民は、田中にもしものことがあれば
島の者たちが罰を受けることになる、と
吉之助をやんわりと諭し
吉之助もそれ以上の攻撃はしないのですが、

その後ろ姿を見ても、吉之助のことは理解できません。


助けてくれた礼を言いにとぅまは吉之助の家を訪ねますが
大島のことは何も知らないし知っても仕方ないという吉之助に
とぅまは大島のことを知って欲しいと言います。

薩摩が、殿様が、金を湯水のように使うから
大島の畑はきび畑に変えさせられたわけで、
それだけ大島の農民は餓えに苦しんでいるわけです。
島津斉彬が死んだときは、これで楽になると島民みんなで喜んだと。

斉彬がどれだけ国を思い、民を思って精力的に動いてきたか
吉之助は声を荒げて反論するのですが、
とぅまは目いっぱいに涙を浮かべて去って行きます。
「私らは……民のうちに入っとらんかったんじゃ……」

浜辺には、またも神様に向かって叫ぶとぅまの姿がw


大嵐の夜、吉之助の世話役もやる木場伝内が
薩摩から正助の書状を持参しました。

吉之助が大島に流された後、大老・井伊直弼によって
将軍徳川家茂の擁立に反対した者たちの多くが捕らえられ
厳しいお咎めを受けていることが記されていました。

橋本左内は最期まで、幕府に
毅然と憂国の念を訴え続け、処刑されました。
「殺せ……殺せ、おいを殺さんか!」
狂ったように叫び続けます。


翌朝、倒れたままの吉之助を発見したとぅま。
ひどい発熱があります。

来た道を引き返し、佐民と富堅に救助を頼みます。

ユタの診立てでは、大島の蚊が悪さをしたようで
このまま熱が下がらなかったら
助からないだろう、とのことでした。

とぅまは、昨日あんなひどいことを言ったし
神様に災いを与えてくれなんてお願いしたからだと
自分を責め、つきっきりで看病します。

「来るぞ」
ユタが言うとすぐに、吉之助の体全体に痙攣が走り
とぅまや佐民たちは、懸命に吉之助の身体を抑えて
布団を被せて魂が抜けるのを防ぎます。

どうか……どうかこん人を助けてくりしょり!
戻って来い! 戻って来い!!
どうか……どうかこん人を助けてくりしょり!!
生きろ!


吉之助は、ようやく意識を取り戻します。

佐民は、とぅまがつくったかゆをよそい
吉之助に手渡します。

とぅまの父親は、大島の代官の不正を訴えに
薩摩に向かったものの、戻っては来ませんでした。
それだけに、富堅もとぅまもヤマトンチュを憎んでいます。

そのとぅまが、吉之助の首にしがみついて祈り続けました。

その気持ちが、吉之助に届いたのでしょう。
今まで誰の食事にも手を付けなかった吉之助ですが
ようやく、かゆを口に運びます。

快方に向かった吉之助は、とぅまに礼を言い
砂糖のおかげで薩摩が大半と言われるようになれた
そのきっかけの大島のことを教えて欲しいと頭を下げます。

ついといで、ととぅまは吉之助の手を引いて
走って行きます。


安政6(1859)年10月7日、
将軍継嗣問題に介入したことを問われ
橋本左内が伝馬町牢屋敷で斬首される。

明治10(1877)年9月24日、
西南戦争で西郷隆盛が討ち死にするまで


あと18年10ヶ月──。

(大河ドラマ『翔ぶが如く』では第13回「正助の布石」付近)
(大河ドラマ『篤姫』では第31回「さらば幾島」付近)


原作:林 真理子
脚本:中園 ミホ
脚本協力:三谷 昌登・小林 ミカ
音楽:富貴 晴美
タイトル映像・題字:L.S.W.F
語り:西田 敏行
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[出演]
鈴木 亮平 (西郷吉之助)
瑛太 (大久保正助)
二階堂 ふみ (とぅま)
風間 俊介 (橋本左内)
桜庭 ななみ (市来 琴)
北村 有起哉 (大山格之助)
高橋 光臣 (有村俊斎)
──────────
渡部 豪太 (西郷吉二郎)
堀井 新太 (村田新八)
塚地 武雅 (熊吉)
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高橋 努 (富堅)
谷田 歩 (木場伝内)
近藤 芳正 (田中雄之介)
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秋山 菜津子 (ユタ)
木内 みどり (石千代金)
柄本 明 (龍 佐民)
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制作統括:櫻井 賢
    :櫻井 壮一
プロデューサー:藤原 敬久
演出:盆子原 誠


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『西郷どん』
第19回「愛加那」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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