« プレイバック山河燃ゆ・(40)変身 | トップページ | プレイバック山河燃ゆ・(41)凱旋 »

2018年5月27日 (日)

大河ドラマ西郷どん・(20)正助の黒い石 〜薩摩動かす大久保の野心・桜田門外の変〜

とぅまどん、おいの妻になってくいやんせ──。

西郷吉之助は、菊池源吾として
愛加那とともに奄美大島で生きていく決意をしました。
大島の女性は、結婚をすると左手にハジキを入れます。
夫や、新しい家族の魔除けのためです。

吉之助は、海の向こうの薩摩で何が起こっているのか
何が起きようとしているのか全く知りませんでした。


話は一年前に遡り──。

安政6(1859)年、吉之助が奄美大島に送られた後。

大久保正助家では、娘たちをみんな嫁にやったという達成感からか
父の次右衛門と福が川上町に移り、のんびり暮らすことになりました。
このままの薩摩ではいかん、自分が間違いを正す、と正助は厳しい表情ですが
次右衛門は、正助の好きなように生きろ、と背中を押します。

島津斉彬亡き後の薩摩を意のままに動かしていたのは
実父島津斉興でありまして、斉彬が進めてきた政策を全否定し
江戸幕府の大老井伊直弼にひたすら恭順を示したのです。

吉之助を大島から薩摩に戻すためには、
斉興を斬るしかない! と息巻く有馬新七や有村俊斎たちですが、
正助は、斉興を斬るのは愚策だ、と鼻で笑います。
「吉之助さぁに切腹を命じず生かしたとは、ご隠居さまじゃ」


実は正助は、斉興の下で働いておりまして
若き二才(にせ)たちの不平不満を吸い上げて
斉興に伝える役目を負っています。
そんな斉興が島津久光に正助を会わせたのです。

「大久保はなかなか使える男じゃ」
碁をたしなむので一局打ってはどうかと勧め、笑顔で出て行きます。

父が勧めるまま、正助と碁を打つ久光ですが
初めこそ、無礼なヤツ、と拒絶する久光ですが
正助は、斉興亡き後の、薩摩藩主の父 つまり国父としての
活躍に期待しているようです。

そういうふうにおだてられたら、久光も悪い気はしません。
「……ほう、気に入った。大久保」

それから間もなく、斉興が重い病に倒れます。

見舞いにきた久光に、斉興は病床から
新しい世を作ろうと思うな、古きよき薩摩を守れ、と言葉を残します。
「君主は超然としてひとり国の礎たれ!」

ほどなくして斉興はこの世を去り、
正助が久光に言った“しかるべき時”がやって来たのです。
この時から久光は、藩主後見の座に就き
“国父”と呼ばれるようになりました。


ある日、側室お由羅が大久保家にやって来て
イヌを引き取りにきました。

突然の訪問に驚く正助は
イヌと言われても何のことかさっぱりなのですが、
実は斉興の生前、お由羅が主催して花見の宴が開かれまして
お誘いを受けた正助の妻・大久保満寿がお由羅に気に入られて
しばらくの間の子犬の世話を頼まれたのでした。

お由羅のお誘いを受けたのは仕方ないにせよ、
今後はその誘いは断るように言われた満寿は
お由羅から預かった子犬のことを言いそびれ
仕方なく西郷家の熊吉に預けておいたのでした。

それを聞いた正助は、余計なことはするなと激怒するのですが
満寿は正助が何を考えているのかを教えて欲しい、
何を悩んでいるのかを知りたいと引き下がりません。

大久保家に、彦熊が生まれて間もないというのに
珍しく夫婦喧嘩です。


俊斎の弟である有村雄助、有村次左衛門たちは
薩摩を脱藩し、江戸に潜伏していまして
そんな彼らから手紙が届きました。

それを読んだ薩摩の若者たちは、
橋本左内や吉田松陰を死罪にする苛烈な処分は許せない、と
井伊直弼の暗殺を企てる雄助たちに加担しようとします。

まだ早か、と正助は冷静に判断しますが
それを聞いた新七たちには、
逆に火に油を注ぐ結果となってしまいます。


一部の二才たちが暴走してしまいかねない状況は
さすがの久光でも“まずい”と判断がつくようで、
久光は、新七たちが鍛錬する吉祥院に赴き
藩主茂久の直々の諭し書きを読み上げます。

志ある者たちへ、
いずれ時が来たら亡き斉彬公の遺志を継ぎ、
薩摩は今の乱れた世に必ずそのつとめを果たす。
そのことを忘れず、それまでは藩の名を汚さず忠義を尽くせ──。

誠忠組の面々に宛てたその諭し書きは
茂久のものとして披露されましたが、
実は正助がその文案を示したものでありまして、
新七や大山格之助たちにはお見通しであります(笑)。

正助を裏切り者呼ばわりし、さんざんにコケにしていますが、
その机の下から、吉之助呼び戻しの嘆願書を見つけた村田新八。
正助が出世してきたのも、すべては吉之助呼び戻しの書状を
届けられる立場になりたいという正助の熱い気持ちからだったのです。

正助の本意を知った一同は、黙ってしまいます。
そしてこれまで以上に気持ちを結束します。
しかし新七は、そんな正助のやり方にも
誠忠組の考えにも嫌悪感を示し、独自の道を模索します。


正助が、彼になりたいと強く願う吉之助は、そのころ
大島で愛加那との日日を楽しんでいました。
そこに、正助からの書状を木場伝内が運んできました。
「江戸で御大老の井伊さまが斬られもした」

万延元(1860)年3月3日、雪降る朝のこと
大老井伊直弼が水戸藩士と薩摩藩士・有村次左衛門に暗殺。

こののち、次左衛門は井伊家の彦根藩に斬られ
薩摩に戻った兄の雄助は切腹の沙汰。
介錯人は長兄の俊斎でした。

これで亀裂は決定的となり
新七や俊斎たちは脱藩突出のチャンスを狙います。

「菊池殿、いよいよでごわすな」
日本が変わり、吉之助が薩摩に戻る日も近い、と
木場は頭を下げて去って行きます。

吉之助の目は、海の向こうを見つめていました。


安政7(1860)年3月3日、
江戸城桜田門外において、水戸藩と薩摩藩の脱藩浪士が
彦根藩の行列を襲撃して、大老・井伊直弼を暗殺する。

明治10(1877)年9月24日、
西南戦争で西郷隆盛が討ち死にするまで


あと17年6ヶ月──

(大河ドラマ『翔ぶが如く』では第14回「桜田門外の変」付近)
(大河ドラマ『篤姫』では第32回「桜田門外の変」付近)


原作:林 真理子
脚本:中園 ミホ
脚本協力:三谷 昌登・小林 ミカ
音楽:富貴 晴美
タイトル映像・題字:L.S.W.F
語り:西田 敏行
──────────
[出演]
鈴木 亮平 (西郷吉之助)
瑛太 (大久保正助)
二階堂 ふみ (愛加那)
北村 有起哉 (大山格之助)
高橋 光臣 (有村俊斎)
渡部 豪太 (西郷吉二郎)
──────────
堀井 新太 (村田新八)
塚地 武雅 (熊吉)
──────────
美村 里枝 (大久保満寿)
藤 真利子 (大久保 福)
谷田 歩 (木場伝内)
青木 崇高 (島津久光)
小柳 ルミ子 (由羅)
──────────
鹿賀 丈史 (島津斉興)
平田 満 (大久保次右衛門)
秋山 菜津子 (ユタ)
佐野 史郎 (井伊直弼)
──────────
制作統括:櫻井 賢
    :櫻井 壮一
プロデューサー:藤原 敬久
演出:野田 雄介


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『西郷どん』
第21回「別れの唄」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

|

« プレイバック山河燃ゆ・(40)変身 | トップページ | プレイバック山河燃ゆ・(41)凱旋 »

NHK大河2018・西郷どん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« プレイバック山河燃ゆ・(40)変身 | トップページ | プレイバック山河燃ゆ・(41)凱旋 »