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2018年5月 5日 (土)

プレイバック山河燃ゆ・(34)東京大空襲

1945(昭和20)年3月9日。

サイパンから飛び立つB29長距離爆撃機が
東京の町に爆弾を無数に落とすシーンを
天羽賢治たちは複雑な表情で見ています。

アメリカ軍が焦土作戦に切り替えたことで
軍隊とは関わりない日本国民の被害が増える懸念がありますが

日系人の中にも、たとえ10万の日本人の犠牲があったとしても
戦争が早く終われば、100万の日本人の命を助けられるから
仕方がないことなんじゃないか、という声があって
賢治はひどくショックを受けます。


東京では、喫茶リラのマスター・白浜が
客のいない店内に海外のレコードを流していますが、
自警団に見つかってしまい、野放しにしていると疑われるからと
レコードは激しく割られてしまいます。

白浜も張 美齢もなすすべもなく立ち尽くすのみです。

そこに入ってきた楠田 武は、
自警団が敵国のレコードを割ったと知って
激しく詰め寄ります。
「どうしてこれが敵性レコードなんだ!? ドイツのものじゃないか!」

自警団はきまりが悪く、謝罪もそこそこに出て行きます。

それよりも武は南方方面に出征しているはずですが
肩を負傷して横須賀の病院に入っていたのだそうです。
それが再び戦闘機に乗ることになって、休暇をもらったので
喫茶リラを訪れてみた、というわけです。

「お別れに来ました。今までお世話になりました」
頭を下げる武に、白浜はシャンソンの音楽をかけて
コーヒーを入れてあげます。

そこに流れた、空襲警報──。

白浜は武に、美齢のことを託し
自身はリラに残ることにします。
「僕はここに残るよ。早く行きなさい」

防空壕に避難した武と美齢。
美齢は武が神風特攻隊であることは
うすうす感づいています。

死なないでね、と言葉をかけますが
それは一時しのぎの言葉でしかないことも
理解しているつもりですが、言葉とは裏腹に
大粒の涙が流れ落ちます。


ルソン島では、投降ビラを持って名乗り出た
鹿児島第71連隊の兵士たちの身柄を
アメリカ軍が預かります。

賢治は駆けつけ、面接を行いますが
幼なじみの伊佐新吉の姿があることに気づきます。
賢治は目に涙を浮かべながら語りかけます。
「新吉くん。忠も、一緒だったんだね」

忠どんは、お国のために戦っておられもす──。
伊佐は涙を流して、これだけを賢治に伝えます。


賢治に息子・アーサーが生まれて
天羽エミーの父母・畑中万作と定代が面倒を見ています。

リトルトーキョーの住民たちがマンザナール収容所に
送致されて以降、リトルトーキョーは浮浪者のたまり場となり
治安は一気に悪くなっています。

エミーは賢治に出す手紙を持って郵便局に向かいますが
その浮浪者のひとりに襲われます。

>私は、私の夫がアメリカ軍の少尉でいることを
>何よりも誇りに思っているわ。

>アーサーが大きくなったら、こう言ってやるの。
>あなたのパパはアーサーたち3世が
>立派なアメリカ人になれるよう命を懸けて戦ったのよ、
>男らしく勇敢に戦って国を守ったのよって
>誇らしげに語って聞かせてあげるわ。

その手紙は、エミーの側にぐしゃぐしゃに破れていました。


山中をさまよい、ようやく本隊に復帰できた
落野中将、鬼頭軍曹、天羽 忠の3名ですが
復帰を喜んでくれると思いきや
逃亡しただけではないか、と責められる有り様。

何が正しくて何が間違っているのか。
戦争とは何か、軍隊とは何か。
懸命に務めを果たして来た忠は、
よく分からなくなってきました。

忠を目の敵にしていた鬼頭軍曹は
星空を見上げていた忠に近づくと
表情も変えずにぽつりと呟きます。
「俺たちの死に場所が決まった……斬り込み」

はい、と忠も小さな声で返事します。


昭和20(1945)年3月10日、
最大規模の東京大空襲。被災者は100万人を超す。

昭和20(1945)年8月15日、
日本がポツダム宣言を受諾し第二次世界大戦が終結する。


あと5ヶ月──。


山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一・香取 俊介
音楽:林 光
──────────
[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)

多岐川 裕美 (天羽エミー)
手塚 理美 (マリー田宮)
アグネス・チャン (張 美齢)
渡辺 謙 (楠田 武)
村野 武範 (落野中将)
矢崎 滋 (伊佐新吉)
──────────
柳生 博 (白浜)
綿引 勝彦 (鬼頭軍曹)
塩沢 とき (畑中定代)
山田 吾一 (畑中万作)
津島 恵子 (天羽テル)

三船 敏郎 (天羽乙七)

西田 敏行 (天羽 忠)
──────────
制作:近藤 晋
演出:村上 佑二

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