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2018年5月25日 (金)

プレイバック山河燃ゆ・(40)変身

昭和21(1946)年7月5日、極東国際軍事裁判所には。
検察側証人として、陸軍少尉の田中隆吉が出廷しています。

満州における軍事的侵略についての検察側立証で
田中は、昭和3(1928)年の張作霖爆殺事件、
昭和6(1931)年の満州事変の首謀者のことを質問。

田中は、自分の詳細な経歴から事件概要にいたるまで
よどみなくスラスラと答えます。
それも手元に資料なく、すべて口答です。

天羽賢治は、このような立証は
FBIがギャングを捜し出すやり方だと察知します。


新橋駅前に、天羽 忠と伊佐新吉の姿がありました。
ふたりで商売を始めたのです。

同じ市場で日用品を売っていた女性の前にアメリカ軍人が現れ
「これは何?」とか「いくら? 金はあるよ」と言うのですが
女性はアメリカの言葉が話せず、手を横に振るばかりです。

そこを偶然通りかかった忠は、
アメリカ軍人に話しかけ通訳してやります。
そろばん50円を「60円」、下駄20円を「25円」と
お買い得だよ、と言いながら少し上乗せしていますが(笑)。

そんな様子を見ていた一人の男が、忠のその英語力を残念がります。
「惜しいよアンタ、それだけ英語ができるのに活用しない手ないよ」

男が言うには、PXというアメリカ産商品を扱う売店の
物資の横流しをやらないかという話なのですが、
ふたりは男が指定する『RAINBOW』という店のママを訪ねます。

ところが、男に渡された割り符のアメリカ紙幣を持って行くと
それがニセモノと分かり、殴る蹴るの暴行を受けますが、
「そのくらいにしておやり」と見下ろすママは、
なんと三島典子だったのです。


7月8日には田中に対する反対尋問が行われます。
そこに、忠の姿がありました。

市場に戻った忠を賢治は追いかけ
1週間の休暇がもらえたためにアメリカに戻ることにしたので
何か伝言はないか、と聞きに来たのです。

「フィリピン戦線で兄貴は敗残兵のオレを見事に打ち倒したことは
 是非とも親父とお袋には話して聞かせてやってくれ」
忠がそう望むのなら言おう、と賢治は答えます。

忠は、横須賀の米軍専用クラブ『RAINBOW』という店を
訪ねてみてほしい、と賢治に言います。
賢治であれば米軍軍人なのだから、
諸手を上げて歓迎してくれるよ、と伝えます。


チャーリー田宮と賢治は、PX物資の横流し事件で
その舞台となったバーの差し押さえに動こうとしますが、
バーの中から出てきたのは典子でした。

チャーリーにはうまいことを言って、
賢治はひとり『RAINBOW』に入っていきます。

両脇にホステスが座っている中、
回りをキョロキョロと見回していると
米軍軍人とダンスしている典子を見つけます。
見つめていると、典子も賢治に気づきます。

しかし二人とも名乗りはせず、
あくまでもママと客という立場で会話を交わします。

むかし恋をしていた学生さんが翻訳した
映画『ラストダンス』のセリフを今でも覚えているというママ、
銀座の絵草紙屋で、恋をしていた女性から
詩集を買ってもらったと語る賢治。

銀座7丁目に喫茶『リラ』の仲間たちの話も語り合います。
マスターの白浜は空襲で亡くなり、楠田 武は神風特攻隊で戦死、
川辺庄平は行方知れず、元気でいるのはスタッフの張 美齢と
小学校の教師をしていた三島啓介だけ──。

明日来てくださいませんか、というママに賢治は首を振ります。
NPが捕まえにくるので明日はここに居ない方がいい、
逃げてください、と賢治はつぶやきます。
「あなたを待てなかった、せめてもの償いです」


極東国際軍事裁判所では、田中への尋問が続いています。


山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一・香取 俊介
音楽:林 光
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[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)

大原 麗子 (三島典子)

矢崎 滋 (伊佐新吉)
──────────
沢田 研二 (チャーリー田宮)

鶴田 浩二 (東郷茂徳)
──────────
渥美 國泰 (東条英機)
佐藤 慶 (田中隆吉)

西田 敏行 (天羽 忠)
──────────
制作:近藤 晋
演出:伊豫田 静弘

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