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2018年5月29日 (火)

プレイバック山河燃ゆ・(41)凱旋

1946(昭和21)年7月・ロサンゼルス。

アメリカに戻ってきた天羽賢治は
真っ先に父母が暮らす家に向かいますが
あいにく外出しているようで、留守です。

賢治はしばらく待ってみますが、帰ってこないようなので
街中をいろいろと歩いてみます。
見つけたのは「加州新報」、
賢治がしばらく勤めていた新聞社です。

記者の顔ぶれはまったく変わってしまいましたが、
賢治の主義主張によって捕らえられていた
編集長の松井竹虎は復帰して元気そうです。

松井編集長は、アメリカの新聞にはドイツ裁判は載るのに
東京裁判のことだけはなかなか載らないということで
日本の指導者たちがどういう罪名でどういうふうに裁判されるのか
それを知るためにも記事を送って欲しいと依頼しますが、

裁判関係者は、記録に残っている内容以外については
誰かに話したり記事にしたりができない規定になっています。

後日談として、「モニターから見た東京裁判」というような
手記をだすやり方であれば協力できるかもしれない、と
賢治は二つ返事です。

まもなく放送が始まります、という記者の声に促されて
松井編集長と賢治はラジオの前に立ちます。

日系二世たちで編成された442部隊が
ヨーロッパ戦線から凱旋し、パレードが行われました。
その様子についてのラジオ放送です。
442部隊といえば、弟の勇が編入している部隊です。


──1944年10月、フランス ボージュ戦線で
  敵中に孤立した師団を決死の突撃で救出
  数々の戦果に輝く442部隊の凱旋です
  首都は日系部隊歓迎の声に沸き返っています

  欧州戦線の殊勲部隊の堂々たる行進
  軍楽隊の吹奏と歓呼の中を進みます
  ホワイトハウスの式典には大統領も参列
  勇士の栄誉をたたえました──

天羽家に誰もいなかったのは、
442部隊の勇を出迎えに行っていたからです。

その帰還パーティがささやかに行われていた時
賢治が帰ってきました。

賢治は勇の無事を大喜びしますが、
こちらの言葉が勇には伝わっていません。
突撃の最中の爆風で両耳をやられた勇には、
賢治や家族の声は入ってきません。


パーティも終わり、話は天羽 忠のことになりました。
鹿児島蒲生の伯母・しまの家で会ったこと、
今は東京で仕事をしていることを伝えます。

賢治は忠もフィリピンに遠征に来ていた話をすると、
春子が純粋な表情で聞いてきます。
「会わなかった?」

あ、あ、会わなかったよ、と言うのが精一杯で
賢治は動揺を隠し切れません。

そして賢治はエミーと家に戻ったのですが
夜遅く、電話がかかってきました。
ふたりの息子が戻ってきたからか、
乙七が胸を押さえて倒れたのだそうです。

賢治が乙七を説得して、病院に連れていきます。
診断は、軽い狭心症です。


今回大事には至りませんでしたが、乙七が倒れたことで
天羽ランドリーのことも考えなければならなくなりました。

勇は、父の後を継ぐ決心を固めます。

どうせ3日も続かんぞ、と言いつつ
内心はとても喜んでいる乙七。
耳は聞こえませんが、彼女のマリアンが勇の耳になってくれます。

そこに現れたのは、マリアンの父母です。
勇にはハンデがあり、きつい仕事ではありますが
勇とならどんな苦労も苦労と思わない、と説得します。

賢治も、勇が高校時代、足をケガして
ドクターストップがかけられてもなお
試合に出場したエピソードを話し、
逆境こそエネルギーが沸く、と説得。

母親は未だに承服していませんが、
父親は何かを感じ取ったのでしょうか。
立ち上がり、乙七に握手を求めます。
「娘を……よろしくお願いします」


乙七は、翌朝日本に帰る賢治に渡したいものがある、と
かつて住んでいた家に向かい、
土の中に埋めておいた日本刀を掘り起こします。
土を払い、日本にもってゆけ、と賢治に渡します。

脇差しは忠が持っていて、
血を分けた兄弟、仲良く……と言われた時に
賢治は涙を流し、
弟を撃ってケガを負わせたことを告白します。

「それが、お前たち二世の運命だったんじゃ」
賢治や勇は今やアメリカ人で誇りに思うし、
日本のために戦った忠を不憫に思っている。

忠には立派な日本人になってもらいたい。
賢治には立派なアメリカ人になってもらいたい。
ただし、お前たちは同じ血が流れている兄弟だ。

今夜のことは、賢治にとって
忘れられない日になりました。


山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一・香取 俊介
音楽:林 光
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[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)

多岐川 裕美 (天羽エミー)

堤 大二郎 (天羽 勇)
柏原 芳恵 (天羽春子)
ヒロコ・グレース (マリアン)
──────────
内藤 武敏 (松井竹虎)
津島 恵子 (天羽テル)

西田 敏行 (天羽 忠)

三船 敏郎 (天羽乙七)
──────────
制作:近藤 晋
演出:松平 保久

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