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2018年6月 5日 (火)

プレイバック山河燃ゆ・(43)古都憂愁

昭和21(1946)年8月27日、国際局等軍事裁判所。
満州国の元皇帝・溥儀の尋問は無事に終了しました。

その日の夜、井本梛子の妹・広子の歓迎パーティが行われました。
梛子や父・井本虎造らがアメリカから日本の広島に帰国する中
ひとりアメリカに残って看護師を続けていまして、
その広子が今回日本に渡って来たのです。

原爆に関する病院が広島にできると聞いた広子は
日本で看護師をするならそこで、と決意しての帰国だったようです。

そして天羽賢治は、そこに天羽 忠も呼んでいるわけですが、
忠は薄汚れた服だったのに、急に羽振りが良くなったかスーツ姿です。

賢治は内容は全く聞かされていないようで
医薬品を扱う商売を始めた、というところまでは聞き出せたのですが
問いつめてもまともに相手をしてくれません。
忠は、チャーリーを連れて出て行ってしまいました。


歓迎会が終わり、土砂降りの中
賢治は梛子を送って行きますが
梛子はふっとよろめいて倒れてしまいます。

賢治は梛子をかかえて家に連れていき
水を飲ませて落ち着かせます。

「ねえケン、忠と何があったの」
昔はとても仲のいい兄弟だったのに
今はよそよそしさしか感じない忠に、
梛子は、兄に撃たれたことにこだわっているのかと考えます。

ルソン島で投降させたことが果たして正解だったのかどうか
賢治は今になると、少し深く考えてしまいます。
そんな後ろ向きな賢治に、あなたらしくない、と言葉をかけます。
「自分自身に忠実に生きている人が好き。あなたみたいに」


忠は警察に捕まっていました。

刑事の追及にも黙秘を貫きますが、
刑事も忠についてあらかた調査は済んでいるらしく
忠が二世であることもすでにバレています。

米軍憲兵隊から回ってきた調書では
忠は米兵をそそのかして
米軍倉庫からペニシリンの箱を盗み取ったとあります。

本格的な追及が始まろうとした時、忠は
警察の隣のGHQの6階に、チャーリーがいるから
身柄を引き取りに来い、と伝達してもらいます。


「天羽 忠? まったく知らないね、そんな男は」
GHQの中に二世の男がいる、と新聞に載ってからというもの
友人だ、と語る人が多くて困っている、と激怒してみせます。

新任の警視総監が挨拶に
マッカーサー元帥を訪問する予定を引き合いに出し
この警察の体たらくを言い添えておく、と脅すと
刑事はあわてて、もう一度調べ直します、と電話を切ります。

チャーリーはすぐに賢治に電話し、
身元を引き受けてこい、と伝えます。
場所から言えばチャーリーの方か近いのですが
中尉であるチャーリーがのこのこ行ける場所ではありません。


忠の身柄を預かった賢治は
恥ずかしくないのかと弟を問いつめますが、
忠はやはりふてくされて、兄に反抗しています。
たまらず、忠を殴る賢治。

「清く正しく頑張れよな」
弟は、精一杯の皮肉で別れを告げます。


賢治がかつて記者として勤めていた加州新報に、
賢治の活躍が大々的に掲載されています。

それを読んで、天羽乙七もテルも
賢治が日本でどんなことをやっているのかが分かり
息子を誇らしく思っています。

そこに珍しく天羽エミーが訪問するのですが
イマイチ父母とエミーの会話がかみ合っていません。
乙七には、賢治からの手紙と送金が頻繁に届きますが
エミーにはあまり書いていないようです。

エミーは、自分には送らないのに父親には手紙を送っていたこと
自分に内緒で父親に送金していたことを初めて知りショックを受けますが
テルはテルで、エミーが軍のお金で賢治の元に行ったとしても
うまくやっていけるかどうか不安がっています。


広島に赴任する広子とともに
父母のお墓参りを済ませた梛子は
帰り道に京都に寄って、西芳寺(苔寺)の景色を楽しみます。

そこに、賢治が合流。
東京であった広子の歓迎会のとき、賢治も参加している
米軍軍人たちの京都慰安旅行に予定を合わせて
梛子が誘っていたのです。

ふたりだけの観光を楽しみながら
今まで押し殺していた感情がふつふつと沸き上がり
一夜を共にします。


ふたりとも東京に戻り、賢治は今まで以上に忙しく働きます。

梛子はGHQに立ち寄り、賢治を待っていますが
そこにチャーリーが通りかかって、
こんどエミーが日本に来るというニュースを知ります。


ある男に声をかけられ、賢治は
代々木初台にある今井ハウスに連れて来られます。
そこで待っていた人物は、検察側証人として
証言台に立った元陸軍少尉の田中隆吉です。

田中は女中にラジオを持って来させ
ドイツ・ニュールンベルグの軍事裁判判決の放送を
ふたりで聞くことにします。

──ニュースです
  10月1日 ニュールンベルグ軍事裁判所は
  判決を宣告
  22被告のうち12名を絞首刑
  7名を禁固10年から終身刑 3名を無罪としました

  ゲーリング元空相 絞首刑
  ナチス政権で軍事外交を担当
  ヒットラーに次ぐ戦争指導者です

  ヘス元副総統 終身刑
  オーストリア・チェコ・ポーランド侵略に加担
  当時 精神異常は認められません

  リッベントロップ元外相 絞首刑
  戦争犯罪と5領国での反人道的犯罪で有罪です

  カイテル元幕僚長 絞首刑
  ソ連侵略に軍事的理由と協約違反で反対したと主張
  残虐行為で有罪です……──

ただひたすらに、表情を変えずに判決を聞く賢治です。


同じラジオを聞いていた梛子は、原子爆弾のような
強い光を再び浴びたかのようなショックで倒れます。
意識を取り戻した梛子は、近くに落ちていた
苔寺の絵はがきを見て、賢治のことを思い出しています。


山崎豊子 作『二つの祖国』より
脚本:市川 森一・香取 俊介
音楽:林 光
──────────
[出演]
松本 幸四郎 (天羽賢治)

島田 陽子 (井本梛子)

矢崎 滋 (伊佐新吉)
かとう かずこ (井本広子)
──────────
沢田 研二 (チャーリー田宮)

多岐川 裕美 (天羽エミー)
──────────
佐藤 慶 (田中隆吉)
津島 恵子 (天羽テル)

三船 敏郎 (天羽乙七)

西田 敏行 (天羽 忠)
──────────
制作:近藤 晋
演出:小林 武

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