大河ドラマ西郷どん・(28)勝と龍馬 〜慶喜との決別〜
禁門の変──。
戦いは幕府軍の圧倒的な勝利に終わりましたが、
しかし戦火は京全体に広がっていたのです。
薩摩軍は、敗走した長州軍が残した兵糧米を
焼け出された京の人々に分け与えました。
さらに、西郷吉之助の指示に基づいて
負傷した長州兵を薩摩藩邸に保護し治療を施したのです。
京の火災が収まったのは、3日3晩経ったころでした。
足を負傷して、弟の西郷信吾の肩を借りて焼け跡を視察する吉之助ですが、
焼け出された子どもが父母を探して泣き叫ぶ姿や
夫の遺体を発見して絶叫する妻の姿を見て
弱者たる民衆に対する戦の罪深さを痛感します。
「ただちに長州征伐にかかる!」
徳川慶喜は諸大名に号令します。
この王城の地を土足で踏みにじり、天皇に筒先を向けたことは
到底許されることではなく、今こそ潰す絶好の好機なのです。
この号令が発せられたのは、長州が京を去ってすぐです。
愕然とした吉之助は、慶喜を止めに邸宅に向かいますが、
邸宅には先客がおりました。
海舟 勝 安房守です。
勝は、吉之助の身なりを見て「西郷どんかい?」と声をかけますが
挨拶程度に去って、吉之助の印象を濃くしています。
そして吉之助は慶喜と対面。
慶喜の話によると、京から逃げ帰った長州に、イギリス、フランス、
オランダ、アメリカの4ヶ国軍艦17隻が襲いかかったらしく
その戦いで疲れ切っている長州を攻めるのは今だ、というらしいのです。
慶喜は吉之助に、戦をしたくないと主張して手を焼く勝に会って
勝が司る海軍の出動を説得させます。
最近の勝は、いろいろな考えを持つ者たちから命を狙われているとかで
お付きの者が護衛しているわけですが、
その護衛している者のてっぺんに、土佐藩を脱藩した坂本龍馬がおりまして
当然ながら“ニセモノか?”とあらぬ疑いをかけられる吉之助でした。
しかし、フラリと散歩に出かけて帰ってきた勝が部屋に招き入れたので
事なきを得たのですが、のちに日本を動かすふたりの出会いです。
吉之助と対面した勝ですが、吉之助の、
そして慶喜の主張は聞かなくとも分かっております。
池に落ちた犬を寄ってたかってまだ叩きのめそうという考えは
残念ながら勝には持ち合わせておりません。
吉之助は、勝が慶喜の命に背いたとしたら
勝がせっかく作り上げた海軍操練所も潰されてしまうとし、
そうなれば最も悲惨な目に遭うのは罪なき民衆たちだ、と言います。
「なるほどな……もう幕府なんざ、見限るこった」
吉之助は、頭を銃で射抜かれるほどの衝撃を味わいます。
慶喜は、勝に宛てた書状を勝が燃やしてしまったことに立腹し
長州の前に勝を攻め滅ぼすかのような口ぶりですが、
吉之助は、海軍の軍艦を持つ勝が江戸城に筒先を向けたらどうなるかと
その怒りの矛先を別に向けさせます。
長州征伐の総大将を誰もやりたがらないとため息まじりの慶喜は
総大将など誰でもいいのだ、と采配を吉之助に一任します。
2ヶ月後、慶喜は長州征伐に向けて兵を大坂へ向けさせます。
お飾りの総大将を引き受けさせられたのは、
尾張藩前藩主の徳川義勝でした。
義勝に裁断を仰いでも、なかなか決断できない男です。
吉之助は、中村半次郎と川路利良に
長州征伐軍よりも先に長州入りさせて密偵として潜入させます。
その間に幕府軍は広島まで西進。
潜伏させておいた半次郎たちが帰還しました。
調べでは、長州藩の中でも降伏止むなしと主張する一派が
徐々に藩内で力を持ち始めているようです。
吉之助は、それを利用して
戦わずして戦を終わらせるために長州に向かいます。
「岩国」は、長州の入口にある戦略上の重要拠点です。
敵兵が居並ぶ岩国に、吉之助は
幕府軍からの申し条を携えて単身乗り込みます。
禁門の変を引き起こした3家老の切腹、
長州藩主の謹慎など、それをもって
幕府への恭順の意志を示せ、というのが申し条です。
さらに吉之助は、禁門の変で傷つき
薩摩藩邸で養生させていた長州兵を無事に返します。
吉之助と対峙した吉川監物は、そんな西郷の恩情に感服し
吉之助の思いを長州藩の家中に伝えることを約束します。
ほどなく、すべて長州征伐軍の申し条に従うという
長州藩主よりの書状が、総大将徳川義勝の元に届けられます。
しかし。
「お前には失望した」
呼び出しを受けた吉之助に、慶喜はつぶやきます。
慶喜に言わせれば、吉之助がやったことは
一から十まで幕府への裏切り行為であるわけです。
しかし吉之助から見れば
これまで日本は幕府が守ってきたわけですが
その幕府を守るためだけの腐った政治を
慶喜はしようとしているとしか思えません。
たとえ日本中が火の海になっても
徳川の家だけが残ればいいと思っている。
「昔の縁は断ち切りもした。我らもはや、ここまででございもす」
吉之助は、慶喜と決別します。
元治元(1864)年7月23日、
朝廷は幕府に対して長州追討の勅命を発し、
幕府は11月18日に攻撃を開始すると決定する。
明治10(1877)年9月24日、
西南戦争で西郷隆盛が討ち死にするまで
あと13年──。
(大河ドラマ『翔ぶが如く』では第23回「竜馬と海舟」付近)
(大河ドラマ『篤姫』では第40回「息子の出陣」〜第41回「薩長同盟」付近)
原作:林 真理子
脚本:中園 ミホ
脚本協力:三谷 昌登・小林 ミカ
音楽:富貴 晴美
タイトル映像・題字:L.S.W.F
語り:西田 敏行
──────────
[出演]
鈴木 亮平 (西郷吉之助)
錦戸 亮 (西郷信吾)
堀井 新太 (村田新八)
町田 啓太 (小松帯刀)
泉澤 祐希 (川路利良)
大野 拓朗 (中村半次郎)
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松田 翔太 (一橋慶喜)
高梨 臨 (ふき)
近藤 春菜 (虎)
小宮 孝泰 (徳川義勝)
柏原 収史 (松平容保)
津田 寛治 (松平春嶽)
小栗 旬 (坂本龍馬)
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遠藤 憲一 (勝 安房(海舟))
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制作統括:櫻井 賢
:櫻井 壮一
プロデューサー:藤原 敬久
演出:岡田 健
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『西郷どん』
第29回「三度目の結婚」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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