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2018年8月 3日 (金)

プレイバックいのち・(08)姉妹(あねいもうと)

昭和22(1947)年3月、高原家は不在地主と認定され
財産税として物納した残りの農地も結局国に買い上げられ
現在交錯している小作たちに払い下げられることになりました。

少しでも残るなら、という高原未希の願いは叶わず
高原家を預かってきた工藤清吉は、
責任を感じて自殺まで思い詰めていました。

やがて津軽にも春が訪れますが、
未希には厳しい季節が続いていました。


看護婦養成学校の面接がある、と
高原佐智は弘前に行くことになりました。

もちろん、佐智が表に出て働かなくても
その分の食い扶持ぐらいは稼げるんだし
恥をかかせて佐智を傷つけたくない未希は
養成学校進学には大反対ですが、

佐智には佐智なりの考えがあるようで
特に気持ちはとても強いようです。
自分の力で独り立ちしたい佐智に
未希は根負けし、笑顔で送り出します。


分家である叔父や叔母たちが高原本家に集まり
農地委員会の決定を取り消させよだの
落ちぶれた本家の面倒を見るのだけはごめんだだの
相変わらず好き勝手に言いたい放題です。

そして高原家を不在地主と認定した農地委員会の一員
岩田剛造も、反対を唱え続けるも結局は言い含められてしまい
己への怒りで機嫌が相当悪いです。


佐智が飼っている子犬の鳴き声で、
佐智が面接から帰ってきたことを察知した未希と村中ハルは
笑顔で出迎えますが、佐智は暗い表情のまま家に入っていきます。

送りにきた中川邦之によると、
足が不自由だととても看護婦になんてなれない、と
看護婦養成学校は不合格になったそうなのです。

邦之は、未希からおせっかいをしないでと言われていたのに
独り立ちを応援したばっかりにこんな形で傷つけられ
責任を感じて未希に頭を下げますが、
未希はそれには答えず、佐智を追いかけて家の中へ。

脱ぎ捨てられたパンプスに、今の佐智の精神状態を見た未希は
パンプスを整え、佐智の部屋に入っていきます。

「私には私の生き方があったのよ……」
佐智は涙をポロポロ流しています。
姉妹は、想像以上に生きにくいこの時代に
お互いを庇い合うように抱きしめ合います。

その日から、佐智はまた編み物ばかりして閉じこもる
寡黙な少女に逆戻りしてしまいました。
とはいえ、高原家を支えるため、妹を支えるため
未希は医師になる夢を諦めるわけにはいかなかったのです。


編み物をしていた佐智は、外から赤ん坊の泣き声が聞こえてきて
子どもたちのところに近づいていってみます。
どうやら大人たちは田植えで不在で、幼い子どもたちが
さらに幼い子どもたちの面倒を見ているようでした。

しかし、3歳ぐらいの征子が一人いなくなった、と聞いた佐智は
子どもたちに高原の家に行っておばさん(工藤イネ)に
泥だらけの身体を拭いてもらって、と誘導して
佐智は征子を探しに歩き回ります。

征子は川の中洲にいて、泣いていました。

佐智は足を引きずりながらどうにか川に降り
征子をいたわり、抱き上げて連れて帰ります。

田植えの時期は忙しいんだから
子どもたちだけであっても仕方ないもの、と
イネはブツブツと文句を言い、
帰った帰った、と清吉は追い出そうとしますが

いいじゃないの、と佐智とハルは
子どもたちの相手をすることにします。

「その子、どこの子か知っておいでか? 平吉の娘です」
平吉は農地委員会で高原家に不在地主の引導を渡した
高原家の小作です。

恩をアダで返すような男の子どもにしてやることは何もない、と
清吉もイネも苦々しい顔ですが、
子どもには関係ない。征子は何も知らないんだもん、と
佐智は気持ちいいほどに清々しい表情です。

「まさかこの家が託児所になるとは」
清吉も苦笑いです。

戦後、暗い状況が続いていた高原家にとって、
佐智が立ち直ろうとしている姿は、清吉やイネにとっても
東京で勉学に励む未希にとっても嬉しいことでした。

これで父・高原正道が帰って来てくれれば
こんなに嬉しいことはないのですが、
父の消息は、未だに分かりませんでした。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
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[出演]
三田 佳子 (高原未希)
石野 真子 (高原佐智)
役所 広司 (浜村直彦)
渡辺 徹 (中川邦之)
──────────
大坂 志郎 (工藤清吉)
赤木 春恵 (工藤イネ)
菅井 きん (岩田テル)
山咲 千里 (岩田初子)
──────────
伊武 雅刀 (岩田剛造)
吉 幾三 (八木金太)
野際 陽子 (坂口美代)
泉 ピン子 (村中ハル)
宇津井 健 (坂口一成)
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制作:澁谷 康生
演出:伊豫田 静弘

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