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2018年8月10日 (金)

プレイバックいのち・(10)ひとすじの道

昭和23(1948)年 春、中川邦之が旧制高等学校を卒業し
この年に新設された弘前医科大学の1期生として合格。

終戦の帰郷列車に乗り合わせた、高原未希・佐智姉妹、
村中ハル、邦之、浜村直彦の若者5人は
終戦後3年を経て、敗戦の痛みから立ち上がり
自分の道を見つけてたくましく歩き始めていました。

邦之の合格祝いをしようと呼びかけ、5人が高倉家に集まり
工藤清吉・イネ夫婦も準備に大忙し。
そして邦之は、実家のお酒をお祝い用に持ってきています。
自分のお祝いなんですけどね(笑)。

そしてスペシャルゲストとして、
東京から坂口一成も駆けつけてくれました。
弘前に陸軍病院があったとき、坂口が下宿していたのが
邦之の実家・中川酒造だったんですね。

坂口は、アメリカへ2年間
テスト生という名目で医学留学に行くことになり
そのお祝いも兼ねることになりました。


そして6人で未希・佐智の母、高原千恵のお墓参りに。

途中、岩田剛造のりんご園を通るのですが、
母の岩田テル、そして子どもを産んだばかりの妻・岩田初子も
りんごの収穫に追われています。

楽しそうに談笑する6人を見て、初子は
いくら農地改革で土地を失ったとは言っても
さすがは大地主の娘、遊んで暮らせるとは
自分たちと違っていいご身分だ、と毒を吐きます。


直彦が高原家を訪れてから、2人の仲はいっそう深くなり
夏休みは帰郷せず、教授の研究室を手伝ったり
図書館に行って勉学に励んだりして過ごします。
ハルも今まで以上に商売に明け暮れ、

それぞれが充実した生活を送った昭和24(1949)年4月、
未希と直彦は無事に3年生に進級し
ハルも24歳の女としては考えられない200万円もの大金を手にし
昭和24年分のりんごの買い付けを始めようとしていました。

ただ、これからはGHQによるデフレ政策が行われ
世の中にお金が出回らなくなると物価が下がり安定しますが
日本政府の緊縮財政によりお金が回らなくなると
庶民にもお金が回って来なくなる恐れがあります。

りんごを大量に買い付けをしたところで
高いりんごが大量に売れ残ってしまったら大損です。
そして内金で一部を支払い、残りを後で、となったら
その分を支払ってもらえなくなる可能性も考えなければなりません。

ハルは今年1年、我慢して時が過ぎるのを待つことにします。


直彦の学校で、遺体解剖が行われるとかで
未希は直彦の学校に行って解剖を見学することにします。
津軽に戻ったハルは、未希は解剖も頑張って
立派な医者の卵だと報告しますが、その実態は……?

せっかくのチャンスなのだから、と
威勢良く出かけて行った未希ですが
いざ解剖が始まると、大量の血と見たことのない人間の臓器で
未希は気を失ってしまいます。

そしてこの1年、不景気が来て
先物買いすると大損すると八木金太に忠告に来たハルですが
時すでに遅く、すでに買ってしまったと……。

ハルはすぐにでも解約して来いと言うし
清吉にも、あくまで現金と引き換えで取引を、と念押ししますが
金太も清吉も、どうしてハルが急にそんなことを言い出したのか
イマイチ納得できていません。


昭和25(1950)年3月、直彦が旧制大学医学部4年を卒業し
医師免許を取るための1年間のインターンを
弘前の大学病院で実施することになりました。

同時に入学した未希は、5年制の女子医専だったので
直彦は1年早く津軽に帰ることになったわけです。
ハルの提案で、未希は春休みを利用して、
帰郷する直彦を津軽まで送ることにします。

弘前で出迎えた金太は、りんごで大損して
代金を支払えず、馬車を差し押さえられているようです。
せっかくのハルの忠告が無駄になってしまいまして
言うことを聞かなかったバチが当たったんだ、としょげています。

ただ、金太のようなりんごの仲買人がお金を得られなかったら
結局はりんご生産農家もお金がもらえないわけで、
一番苦しむのは生産農家であるわけです。


平吉が農薬を大量に飲みました。

妻が慌てて高原家に駆け込み、電話で医者を呼ぼうとしますが
農薬を飲んだのなら、医者を待っていたら手遅れになります。
未希は自転車の空気入れの管を切り取り、
イネが用意してくれたじょうごを持って平吉の家に向かいます。

未希はりんご箱を並べた上に平吉を寝かせ
空気入れの管を食道に挿管、
ついてきた清吉に大量の水を用意させて
管につないだじょうごに水を入れさせて農薬を吐き出させます。

気を取り戻した平吉は、農地委員会で
高原家に不在地主の引導を渡したこと、
鬱憤を清吉にぶつけて大ゲンカしたことがありながら
自分のいのちを助けてくれた未希に言葉もありません。

未希は、農地改革のことは平吉ひとりが悪いわけではないと言って
りんごは今年ダメでも来年がある、と励まします。


余計なことを耳に入れて心配かけたくないんだけど、
と言いつつ佐智が未希にこっそりと教えてくれました。
今度のデフレで清吉もかなり大損をしているようです。

未希は、大丈夫と佐智に明るく振る舞いますが、
デフレでアルバイトが見つかるわけもなく
学費は何とか捻出できても旅費はおろか
日用品が買えない状況に、未希は途方に暮れていました。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
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[出演]
三田 佳子 (高原未希)
石野 真子 (高原佐智)
役所 広司 (浜村直彦)
渡辺 徹 (中川邦之)
山咲 千里 (岩田初子)
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大坂 志郎 (工藤清吉)
赤木 春恵 (工藤イネ)
菅井 きん (岩田テル)
野際 陽子 (坂口美代)
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伊武 雅刀 (岩田剛造)
吉 幾三 (八木金太)
泉 ピン子 (村中ハル)
宇津井 健 (坂口一成)
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制作:澁谷 康生
演出:金沢 宏次

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