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2018年8月21日 (火)

プレイバックいのち・(13)希望

昭和27(1952)年7月、医師国家試験に合格した高原未希は
母校の坂口一成教授から勧められて
一度は弘前の病院に勤めるつもりにまでなりましたが、

偶然、村で急患のいのちを救ったことがきっかけで
再び未希に、今まで無医村だった故郷の村に
医者として残ることを決意させていました。

しかし、いざ開業するとなると
自宅の改造費や設備費など莫大な金銭が必要となり
今度はそれが未希の悩みの種となります。

空襲で焼け、そのままになっていた東京の土地は
妹・高原佐智のためにとっておいた未希ですが、
佐智の後押しもあり、
東京の村中ハルに相談してみることにします。


ハルとしては、抵当なしで15万円ぐらいは
ポーンと貸してあげたいのはやまやまなのですが、
出版の仕事をやっている今はお金が最もない時期でして
友だちとして役立つことはしてあげられません。

代わりに坂口が、息子さんが結婚するために
東京で土地を探している人を知っているので
紹介してやってもいい、と言うので
未希は土地の権利書を坂口に預けます。

結果、150坪30万という値で
人手に渡ることになりました。


10月、岩田剛造、津田平吉、信吉といった
もと小作たちが自ら名乗り出て手伝い、
未希の診療所は
一応の体裁を整えて開業にこぎつけます。

開業後すぐに患者が並ぶことは考えにくいので
最初の仕事として、栄養指導をすることにした未希は
剛造、平吉たちの妻にも
診療所に来るように伝えてもらいます。

しかし剛造がそれを伝えると、岩田テルは
「金出して診療所に行くことはねえ」と眉間にしわ寄せます。
未希の医院開業、佐智の保育は、言ってみれば
落ちぶれた地主の金儲けだと批判しているわけです。

後日、岩田初子が「来れない」と詫びに来た際、
村人が何と言っているかをこっそり教えてくれたらしく、
金儲けの餌食にされるぐらいなら病気なんて
一生治らなくてもいい、と考えているようです。


一番目の患者は子どもで、しっかり栄養取らせるように
母親を説得して帰したわけですが、
「後で払います」と言って診療代はもらえませんでした。

清吉に聞いてみると、この村では1年に1回
かかった金額を一括で支払うようで
都会とは違って現金がなくても暮らしていける、と
笑っていますが、未希はふと心配になっています。

その数日後、母親が暗い顔で病院に再び来ました。
栄養指導にいらしてねって言ったのに、と未希は笑いますが
その子どもは今朝亡くなったのだそうです。

夫が、病院に見せるぐらいなら神頼みの方がよっぽど、と
病院に行かさなかったからとか。
「死亡診断書……書いていただきたくて」


雪深い日、弘前から浜村直彦がやってきます。

結核患者に使っていたストレプトマイシンですが、
瓶の底に溜まっていた残りをためてためて
瓶1本分になったので、未希に持って来たのです。

そんな時、岩田久子(剛造の妹)が血を吐いて倒れたと
初子が未希を呼びに来ました。
未希は直彦に、ゆっくりしていって、と言い残して
とりあえずは岩田家へ向かいます。

久子は肺結核で、肺切除の手術が必要です。
弘前の病院で手術すれば、
成功率も高いので治る確率も高いわけですが、
それなりに費用がかかるのがネックです。

国民健康保険に入っていれば
そのストレプトマイシンが配給されるのですが
この村は無保険なので、手術費、入院費、薬代等計算して……。
「6万!?」

そんな重病人に大金をかけたって
どぶに捨てるようなもんだ、と
テルは大声を上げて怒って出て行ってしまいます。


帰宅した未希を追いかけて、剛造がやってきました。
家を継いだ者の責任として、妹を何とかしてやりたい。
借金してでも、元気になってもらいたい。
その思いを未希にぶつけ、久子を預けることにします。

弘前に戻る直彦に、
ベッドが空いたらすぐに教えてほしいと伝え
いざ空いたら、すぐに入院・手術させるべく
大雪の中を弘前へ付き添う未希。

直彦が初めて執刀した手術では見事に成功し
桜の咲く頃に久子は無事に退院します。
出迎えたテルは、久子が顔色よくふっくらして
元気そうな姿に大喜びです。

一時期は未希に対して手痛いほどの愚痴を言っていたテルが
この日以来、未希にいのちを助けていただいたと方々で触れ回り
少しずつ、未希に対して信頼の輪ができてきました。


医師として評判高い直彦ですが、
地域診療するにしても、研究し続けるにしても
アメリカの医療を見た方がいいのでは、という思いが募り、
アメリカ留学の奨学金試験を受けることにします。

「行ってらっしゃいよ」
未希は直彦の背中を押します。
直彦の留学経験が、いずれは自分たちの糧になり
そして弘前の病院にとっても箔がつく、というものです。


農村の病院をやっていると、
農作業に忙しい期間は夜間診療が非常に忙しいわけですが
12月という時期に入ると、昼に診療できることもあって
夜間の診療はほとんど患者がおりません。

そろそろ閉めようかと思っていたとき
ガラガラ、と玄関を開ける音が聞こえてきます。

入ってらっしゃい、どこが悪いの? と
優しく声をかける未希ですが、
暗闇から現れたのは、父・高原正道でした。
「父さん……」

ソ連に8年も抑留されていた父の、突然の帰国。

父の無事を喜びながらも、
告げなければならない数々の不幸を思うと
未希はただ言葉もなく立ち尽くしているだけでした。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
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[出演]
三田 佳子 (高原未希)
丹波 哲郎 (高原正道)

石野 真子 (高原佐智)
役所 広司 (浜村直彦)
渡辺 徹 (中川邦之)
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大坂 志郎 (工藤清吉)
赤木 春恵 (工藤イネ)
菅井 きん (岩田テル)
山咲 千里 (岩田初子)
藤堂 新二 (花田健作)
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伊武 雅刀 (岩田剛造)
吉 幾三 (八木金太)
野際 陽子 (坂口美代)
泉 ピン子 (村中ハル)
宇津井 健 (坂口一成)
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制作:澁谷 康生
演出:金沢 宏次

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