大河ドラマ西郷どん・(31)龍馬との約束 〜倒幕の切り札は長州!〜
討幕を実現するため、西郷吉之助は
敵対する長州と手を組むことを考え始めていました。
そんな吉之助に、坂本龍馬が会いに来ました。
師匠の勝 安房守は江戸で謹慎しておりまして
龍馬が学んでいた海軍操練所はお取り潰しとなり、
土佐藩を脱藩した龍馬は土佐にも戻れないわけです。
「買うてくれんかよ、このわしを」
「おかえりやったもんせ、旦那さあ」
吉之助にとって、糸と結婚して初めての帰郷です。
しかし身一つの帰郷ではなく、
行く当てのない龍馬を連れての帰郷であります。
せっかく龍馬が来ているのに、二人で雨漏りの修理です。
吉之助は、我が家の雨漏り修理もですが
日本の雨漏りも何とかしなければならないと考えます。
一方で龍馬は、こんな日本から飛び出して
世界を相手に商売をしたいと考えているようです。
船を使って、食べ物、銃、大砲、軍艦……。
一橋慶喜は京・二条城で諸大名を集め
今度は将軍徳川家茂が江戸から上ってくると伝えます。
幕府の意に従わない長州に再び鉄槌を振り下ろすべく
その詔を孝明天皇からいただくため、であります。
吉之助は、薩摩藩としては幕府に従わない方がと勧めると
幕府を見限ることにした、と島津久光は得意顔です。
「錆び付いた輿をかつぐのはもうやめじゃ」
久光に説得するのがどれぐらい大変だろうか、と考えていた
吉之助でしたが、意外な展開にきつねにつままれた思いです。
実は先に薩摩に戻っていた大久保一蔵が、念入りに説得を重ね
根回ししてくれていたのです。
その上で吉之助は、島津茂久と久光に龍馬を対面させます。
薩摩の船を貸してくれたら、長崎で武器をどんどん仕入れてくる。
幕府に見つかっても、龍馬は脱藩浪士なので所属先がありません。
それを薩摩が買ってくれたら、薩摩は幕府に目を付けられることなく
大量の武器を仕入れることができる──。
対面が終わり、根回しをしてくれた一蔵に吉之助は頭を下げます。
しかし幕府に従わないということは、本当に長州が幕府に潰されたら
その次の矛先は必ず薩摩に向くということです。
そうならないために、薩摩は長州と手を組むことが大事なわけですが、
長州を説得するのは久光を説得するよりも格段に難しいわけです。
薩摩から手を差し伸べても、長州からお願いされるように仕向けても
結局は長州は薩摩に対して刃を向けて来るでしょう。
吉之助は龍馬に頭を下げ、長州との仲介役を依頼します。
夜明け前、龍馬は西郷家を後にします。
一蔵は長州征伐を止めるべく、動き出します。
岩倉具視の屋敷を訪れた一蔵は
岩倉がしたためた、近衛、二条、九条という
有力公家に宛てた書状を受け取ります。
孝明天皇と慶喜を早く引き離さなければいかんという内容です。
このまま幕府の言いなりになって
長州征伐の戦をさせたらいけない、と。
ただ岩倉は、天皇の許しを得たとはいえ
その前までは没落公家の一途をたどっておりまして
この書状で公家たちが動くかどうかは不鮮明だとつぶやきますが
早よ持っていけ、と追い出されます。
「中川宮には気ぃつけよ」
岩倉にそう言われて訪問した中川宮ですが、
力になります、と二つ返事です。
意外な言葉に歓喜する一蔵です。
薩摩と長州が同盟を結ぶ、そのカギを握っていたのは
桂 小五郎でした。
禁門の変以降、逃亡生活を続けていた桂でしたが
長州藩から呼び戻されていたのです。
下関・白石正一郎邸を訪れた桂を待っていたのは
龍馬でした。
「桂さん、銃や大砲、軍艦はいりませんかえ」
長州征伐を前に、幕府は長崎の商人に対して
長州にだけは売ってはいけないという厳しいおふれを出しているので
長州藩にとって、武器は喉から手が出るほど欲しがっていたのです。
いる! と膝を進めた桂に、龍馬は種明かしをします。
長崎で龍馬が買い付けた武器を、いったん薩摩藩が買い上げる。
それを長州藩に横流しする、というわけです。
薩摩だけは許せん! と不満そうに立ち上がる桂を、
龍馬は見据えます。
「薩摩を憎むがは勝手じゃけんど、西郷さんまで憎んだらつまらんぜよ」
薩摩に戻って、自宅の修繕に汗を流していた吉之助。
しかしそろそろ出立しなければならなくなるようです。
糸は、吉之助が家の一つひとつを直して回る背中を見て
この家や自分たちに別れを告げているような寂しい気分になりますが
吉之助はにっこり微笑んで糸を見つめます。
そんな時、土佐藩の中岡慎太郎という男が
龍馬の使いでやってきました。
すぐに長州に来てくれれば桂と引き合わせる、という
龍馬からの書状を受け取った吉之助は、出かける準備に入ります。
夜明け前、西郷家を出ようというまさにその時、
一蔵からの火急の知らせが入ります。
将軍家茂が上洛し、諸藩を集めて軍議が開かれれば
明日にも長州征伐の勅命が下されてしまう。
そこで吉之助にはすぐに京に来て力を貸して欲しい、という。
さすがに下関に寄って京に向かうわけにも行かず
吉之助は鶴丸城に入って、名代として
海江田武次に下関に向かうように頼みます。
将軍家茂の下で会議が開かれます。
慶喜は、長州征伐についてどうするかを
それぞれが持ち帰り話し合ってこい、という課題を出します。
長州征伐の勅命はひとまずは食い止められたのです。
しかし、一蔵の前に立ちはだかった慶喜は
一蔵の働きはよく聞いておる、と言った上で
その目の前に書状を投げます。
それは、中川宮に宛てた岩倉からの書状でした。
「お前らの動きは、筒抜けじゃ」
定宿である鍵屋に戻った吉之助を待っていたのは
龍馬でした。
急なことで下関に行けなくなったことを詫びようとした吉之助ですが
その言葉を遮るように、龍馬は睨みつけてつぶやきます。
「わしはおまんを見誤っちょったようじゃの」
吉之助は海江田に詫びの文を託して下関に向かせたはずですが
下関にやって来たのは中岡のみでした。
仮に文が届いたにせよ、西郷を待つと決めて下関にいた
桂の気持ちを考えると、察するに余りあります。
「おまんは信用も義理も人情も何もかも失うたぜよ」
その言葉に、なす術もなく涙を浮かべる吉之助です。
慶応元(1865)年閏5月21日、
薩摩を出た西郷吉之助と豊後佐賀関で別れた
中岡慎太郎がひとり下関入りする。
明治10(1877)年9月24日、
西南戦争で西郷隆盛が討ち死にするまで
あと12年4ヶ月──。
(大河ドラマ『翔ぶが如く』では第24回「新たな契り」付近)
(大河ドラマ『篤姫』では第41回「薩長同盟」付近)
原作:林 真理子
脚本:中園 ミホ
脚本協力:三谷 昌登・小林 ミカ
音楽:富貴 晴美
タイトル映像・題字:L.S.W.F
語り:西田 敏行
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[出演]
鈴木 亮平 (西郷吉之助)
瑛太 (大久保一蔵)
黒木 華 (岩山 糸)
桜庭 ななみ (市来 琴)
北村 有起哉 (大山格之助)
高橋 光臣 (海江田武次)
渡部 豪太 (西郷吉二郎)
柏木 由紀 (西郷 園)
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町田 啓太 (小松帯刀)
井戸田 潤 (桂 久武)
泉澤 祐希 (川路利良)
大野 拓朗 (中村半次郎)
塚地 武雅 (熊吉)
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松田 翔太 (一橋慶喜)
近藤 春菜 (虎)
山口 翔悟 (中岡慎太郎)
青木 崇高 (島津久光)
玉山 鉄二 (桂 小五郎)
小栗 旬 (坂本龍馬)
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笑福亭 鶴瓶 (岩倉具視)
石橋 蓮司 (川口雪篷)
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制作統括:櫻井 賢
:櫻井 壮一
プロデューサー:小西 千栄子
演出:岡田 健
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『西郷どん』
第32回「薩長同盟」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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