プレイバックいのち・(17)わかれ道
岩田剛造の妻・初子の病気を
当時の農民に多かった脳浮腫と診断した高原未希でしたが、
大学病院での精密検査により、慢性の腎臓炎であると判明。
未希の初歩的な見落としが明らかとなりました。
1日でいいから帰らせて欲しい、と
台風の嵐に無理に帰宅したのですが、
岩田テルは、この台風でできるだけのりんごを収穫し
また落下しても損傷ないように木の下に藁をしいています。
初子は、今日から入院しなければ衰弱している身体ですが
テルがそんな苦労をしていて自分だけ休むわけにはいかないと
嵐の中を飛び出していきます。
剛造はそれを止めませんが、正直猫の手も借りたいのです。
「じゃああたしが代わりにやればいいんでしょ!」
未希は初子を引き止めに飛び出して行きます。
台風一過、初子はまたりんごを拾いにいって
高熱を出し、倒れてしまいます。
剛造に呼ばれて往診に向かう未希は、胸に聴診器を当て
初子が肺炎を起こしていることに気づきます。
「大丈夫、きっと大丈夫」
初子や剛造を勇気づけ、そして自分自身も励まします。
しかし、治療の甲斐なく
剛造、テル、そして子どもの竜夫と典子に見守られて
初子は息を引き取ります。
剛造のところに嫁に来て8年、
働き詰めで燃え尽きた29歳の初子の死でした。
もっと早くに気づいていたなら助かっていたかもしれない、と
未希は自責の念に駆られます。
初子の葬儀が無事に終わった翌朝、
未希は工藤清吉とイネに置き手紙を残して
高原病院からいなくなってしまいました。
未希は東京の坂口一成の家に向かっていました。
事情を知った坂口は、医師というものはその時その時に
最善の策を見つけながら治療を続けていくもので、
とかく人間の身体はまだ不明な点が多いとしたうえで、
誤診は故意でやったものではなく
どんな医者にだってつきものだ、と諭します。
それよりも、これが原因で医者を辞めるなどと言い出したら
それこそ死んだ患者が浮かばれない、と強く言います。
気持ちの整理がつくまでは、
しばらくこちらでゆっくりと、と坂口は休養を勧めます。
「笑顔で津軽に帰れるように。笑顔で」
村中ハルは、ビジネスパートナーの花田健作に頼んで
未希と山奥の温泉宿に連れて来てもらいます。
健作はそこで、ハルに250万円の小切手を渡します。
ハルから借り受けた120万円に、借り受けた当時より
価値が2倍になっているので240万円、
それに今月の配当10万円を加えての250万円です。
そして健作には、援助してくれる男性がおりまして、
学習参考書の出版を勧めてくれた人なのですが、
健作は、そのお世話になった男性の娘と
そろそろ結婚を考えているらしく。
未希はハルの気持ちを踏みにじるようなことをして! と
健作に噛みつきますが、
ハルはこのまま小切手を受け取って引き下がるつもりです。
健作が帰った後、ハルは
帰ってくる当てがなかったお金が返って来たのだから
そのお金の半分を使えば、アメリカに渡って
浜村直彦と一緒に勉強できるだろうと未希に提案します。
お互いに失意の気持ちを抱えたまま
未希とハルは3日あまりを温泉宿で過ごし
今までよりももっと深い友情を温め合っていました。
しかし未希が冗談だと取り合わなかったアメリカ留学の話を
ハルは真剣に考えていたのです。
作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
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[出演]
三田 佳子 (高原未希)
石野 真子 (中川佐智)
渡辺 徹 (中川邦之)
藤堂 新二 (花田健作)
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大坂 志郎 (工藤清吉)
赤木 春恵 (工藤イネ)
菅井 きん (岩田テル)
山咲 千里 (岩田初子)
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伊武 雅刀 (岩田剛造)
野際 陽子 (坂口美代)
泉 ピン子 (村中ハル)
宇津井 健 (坂口一成)
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制作:澁谷 康生
演出:富沢 正幸
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