大河ドラマ西郷どん・(38)傷だらけの維新 〜明治前夜の叫び〜
新政府に不満を持つ武士たちが集まってできた彰義隊を
たった半日で壊滅させるため、長州藩士の大村益次郎が派遣され
西郷吉之助たちは大村の指示に従って攻撃を開始します。
吉之助は、先の見えない戦に閉口しますが
彰義隊は、おびただしい数の死体を残して
わずか半日で壊滅したのです。
吉之助の心には、やるせなさだけが残ります。
彰義隊が倒れても反乱の火は収まらず
会津ほか東北・北陸の諸藩が決死の抵抗を始めていました。
兵の数も金も武器も何もかも足りない、とつぶやく大村は
吉之助に、暗に薩摩から出させよと言っているわけです。
吉之助は援軍を編成するため、急いで薩摩に戻ります。
吉之助の活躍は薩摩でもとどろいているようで、
吉之助の親戚だ、やれ友人だと西郷家を訪問して
金を無心する人たちは後を絶たず。
家の留守を預かる西郷吉二郎は、できるだけのことはしなければと
西郷家も厳しい財政状況の中、金を渡しているようです。
これでもし無心を断って、吉之助の名に傷をいれてしまってはいかんと
心根の優しい吉二郎なりの気持ちです。
8歳になる吉之助の長男、奄美大島の菊次郎のことを
吉二郎や糸は気にかけておりまして、
着物や食糧はたびたび大島に送りつつ
学問をしたがっているらしい吉二郎に、書物も揃えて送ります。
いずれは薩摩に迎え入れてやりたい、と吉二郎は考えているようで
もちろん糸も賛成します。
吉之助は、ふたりに感謝しかありません。
鶴丸城に上がった吉之助は、
兵と武器の貸し出しを島津久光に申し出、認可されます。
そして薩摩兵たちに叱咤する吉之助を見た吉二郎は
自分も薩摩のために戦いたい、という気持ちになっていました。
夜明け前、畑仕事の鍬を持って出かけるところを
西郷信吾に見つかりますが、もう一方の手には木刀が握られていました。
信吾は吉二郎の気持ちを察して、似合わないことはするなと忠告しますが
信吾には自分の気持ちなんか分かるはずがない、と感情むき出しです。
ただ、信吾は首元に受けた傷を見せ、
片耳が聞こえなくなっても、それでも戦に出たいか、と迫ります。
「戦場なんて、好き好んで行くところじゃなか!」
市来家に嫁に行ったすぐ下の妹・琴は
吉之助の活躍の影でずっと我慢を強いられている家族に
感謝の気持ちを形に表せとお説教します。
吉之助は吉二郎に欲しいものを尋ねますが、新しい農具も袴もいりません。
その代わりに、自分も戦働きをしたいと言い出します。
吉之助の弟として、信吾や西郷小兵衛たちと
戦場を走り回りたいのだそうです。
「こん戦は、おはんが思っちょっような侍の合戦とはまるで違う」
西洋の銃や大砲は、一気に大勢の兵の命を奪います。
それでも、行きたい──。
吉之助は、吉二郎の同行を認めます。
それから間もなく、吉二郎、信吾、小兵衛の3人は
越後へ出発することになりました。
越後長岡藩で、ガトリング砲という何丁もの銃を束ねて
回転させながら途切れることなく撃ってくるという
新兵器が導入されていることを、吉之助は数日後に知ります。
越後でもたついている場合ではありません。
薩摩軍は防衛一方で、もたつけばもたつくほど
味方の士気は下がり、欧州諸藩が勢いづいてしまいます。
村田新八は、吉之助の陣頭指揮を求めます。
吉之助と新八は、軍艦春日丸で越後へ向かいます。
しかし越後に到着すると、吉之助には会津に、とか
吉之助にはぜひ庄内を、と取り合いになってしまい
収拾がつかなくなってしまいます。
そんな時、軍議の最中ながら信吾が割り込んできます。
「吉二郎兄さぁが……撃たれた」
信吾は、生死の境をさまよう吉二郎に
吉之助の顔を見せれば、勇気が沸くと連れていこうとしますが
吉之助は動きません。
自分の弟であろうが誰であろうが、兵の命は等しく同じであります。
今、この時も命を懸けて戦っている者がいる以上
ひとりの兵士にかまっている場合ではありません。
北越戦争は、双方の死傷者がおよそ1,500人という激戦の末
新政府軍の勝利で終わります。
そして、吉二郎も戦の傷が元で吉之助の胸の中で落命します。
この後も、会津、庄内、そして箱館と戊辰戦争は続きます。
そんな中、日本は命じへと新しく生まれ変わり
大久保一蔵をはじめ岩倉具視や桂 小五郎、
そして吉之助といった面々による
明治政府が動き出そうとしていました。
明治元(1868)年10月、東京城。
江戸は東京と改められ、
京を離れた明治天皇の新しい住まいとなります。
「おいを薩摩に帰らせてもらいたか」
一蔵を新政府に呼び出した吉之助は笑顔から急に真顔になります。
戦が一段落ついて、自分の役割は終えたと認識しているのです。
一蔵は必死に引き止めますが、
軍事のトップとして戦をし続け、数多くの兵士たちの命を奪った
その責任は取らなければなりません。
吉之助は一礼し、新政府を去ります。
薩摩に帰った吉之助の最初の仕事は、
吉二郎の妻・園に、吉二郎の死を伝えることでした。
その死に伴い、糸は吉二郎が貯め込んだ銭を吉之助に見せます。
吉之助がいつ何を思いつくか分からないから
そんな働きの邪魔をしてはならない、と貯金をしていたのです。
そして、吉之助には絶対に知られてはならないと念押ししていました。
実際、この貯金と家計簿の存在を知らなかったのは
吉之助だけです。
吉之助は、声を上げて男泣きします。
慶応4(1868)年8月14日、
戊辰戦争中、越後国五十嵐川での戦の傷が元で戦死する。
明治10(1877)年9月24日、
西南戦争で西郷隆盛が討ち死にするまで
あと9年1ヶ月──。
(大河ドラマ『翔ぶが如く』では第29回「維新成る」付近)
(大河ドラマ『篤姫』では第49回「明治前夜の再会」付近)
原作:林 真理子
脚本:中園 ミホ
脚本協力:三谷 昌登・小林 ミカ
音楽:富貴 晴美
タイトル映像・題字:L.S.W.F
語り:西田 敏行
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[出演]
鈴木 亮平 (西郷吉之助)
瑛太 (大久保一蔵)
黒木 華 (西郷 糸)
錦戸 亮 (西郷信吾)
桜庭 ななみ (市来 琴)
渡部 豪太 (西郷吉二郎)
柏木 由紀 (西郷 園)
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堀井 新太 (村田新八)
塚地 武雅 (熊吉)
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林家 正蔵 (大村益次郎)
野村 万之丞 (明治天皇)
遠藤 憲一 (勝 海舟(回想))
青木 崇高 (島津久光)
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石橋 蓮司 (川口雪篷)
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制作統括:櫻井 賢
:櫻井 壮一
プロデューサー:藤原 敬久
演出:野田 雄介
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『西郷どん』
第39回「父、西郷隆盛」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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