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2018年11月20日 (火)

プレイバックいのち・(39)花嫁衣装

岩田未希の新病院の建設は順調に進み
翌年(昭和40(1965)年)の秋、
内科・外科・産婦人科・整形外科・小児科を専門に
入院患者59名の収容能力を有する総合病院としてスタート。

莫大な借金を背負っての出発で
周囲の人たちは、未希の夢を無謀だと案じたものの
近代的な設備と、医師や従業員たちの誠実さが住民の信頼を得て
いつも患者は待合室にあふれ、入院ベッドは満床でした。

昭和44(1969)年、未希44歳。
院長として信望も集め、
脂の乗り切ったときを迎えていた未希だったのです。


未希の意見で、腎透析の機械を
3,000万で導入することになったのですが、
それだけの高額な機械の導入を、
もし借金が返せなかったらと大場が心配し、反対します。

一方で、看護婦の増員を事務局長に申請した外科からは
看護婦ひとりすら増やさないのに
3,000万の機械は導入するのかと皮肉られ、
未希は事務局と医局の板挟みになっています。

そんな中、村中ハルからの電話が入ります。
ハルが預かり、慈しみ育てて来た津田征子が
ついに国家試験に合格して医師になりました。


岩田剛造が津軽から東京へ出てきました。

竜夫に津軽へ戻る気持ちがないことを確かめた上で
竜夫を見据えて言います。
「せば、典子に婿を取る」

岩田テルが最近、剛造の跡継ぎのことについて
あれこれと言い出したようで、このようになったそうです。
典子は、信吉の次男・豊となら、と承諾しているようで
あとは未希と竜夫が賛成してくれたら、話が前に進むのです。

とはいえ、典子が婿を取ったら
竜夫の津軽の帰る場所はなくなります。
よく考えて、と未希は諭しますが
オレは津軽を捨てたんだ、と竜夫は頑になります。

未希は、典子に母親らしいことは何一つしてあげられなかったと
その償いの気持ちから、典子に花嫁衣装を作って送ることにします。


典子と豊の結婚式は、その年の秋と決まりました。
未希は村中ハルに婚礼衣装を手配し、それも出来上がりました。

10月の大安吉日の結婚式の日に合わせて
未希は竜夫とともに青森へ帰郷しますが、
どうしても目の離せない入院患者がいて
青森到着が婚礼の日当日になってしまっていました。

未希は、典子の花嫁衣装を見たくて大急ぎで家に上がりますが
そこに座っていたのは、未希が送った花嫁衣装ではなく
かつて典子の実母・初子が着た留袖だったのです。

竜夫は未希を思って典子の勝手を咎めますが
勝手に家を出て行って東京で好き勝手やっている
未希や竜夫とは違い、自分は剛造やテルの後を継いで
青森でずっとりんごを作っていく、という決意の表れなのです。

典子の前では気丈に振る舞っていた未希でしたが、
のんちゃんに恨まれても仕方のないことをしたんだ、と
工藤イネに着付けてもらっている間、
大粒の涙をぽろぽろこぼして泣きじゃくります。

初子の墓前に結婚の報告をし、結婚式を無事に終えました。


その間、人影に隠れてサングラスをかけた男が
ずっと様子を窺っているのを、剛造は見逃しませんでした。
剛造は信吉をとっ捕まえて、豊の結婚式を見てやれと勧めますが
信吉にも意地があり、そう簡単に家の敷居をまたげないわけです。

それよりも、りんご畑を見に行った信吉は
荒れ果てている畑も多い中、きれいに整っている畑を見て
自分はこの家には必要ないんだ、という気持ちになったようで
それが家に戻るのを躊躇させているのです。

おらのことは忘れてけろ、と言う信吉をひっぱたいた剛造は
妻や子どもたちが誰のために必死に畑を守ってきたと
思っているのかと声を荒げます。

「津軽はまた、日本一のりんごの産地になる」
剛造は信吉を励まし、一緒にりんご作りをやろうと誘います。


そもそもは、蒸発してしまった信吉のこともあり
お互いの家が親戚になる顔合わせに
こじんまりとお祝いの会を開く予定でしたが、
剛造は信吉が帰って来てくれたこともあり、
盛大に開くことにします。

「あンた!」「父っちゃん!」
「似合いの夫婦だど……母ちゃん、堪忍してけろ」
家族の、感動の再会です。


披露宴には戻って来ることを約して
中川邦之と、今は正看護婦の刺客を取得した佐智は
往診に出かけます。

ああいう生き方もあったんだ、と
未希はなぜか心を打たれながら
ふと自分が間違った道を歩んでいるのではないか
という思いがよぎっていました。

しかし今は後ろを振り返ることも許されませんでした。
典子たちの披露宴が終わると、未希は
自分の心を見つめる暇もない修羅場へと再び戻っていきます。

未希を待っていたのは、
高原医院で腎透析を受けていた患者と家族が
治療費に家も土地もつぎ込んで支払う金がなくなり
一家心中をした、という知らせでした。

青ざめる未希です。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
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[出演]
三田 佳子 (岩田未希)
岸本 加世子 (津田征子)
渡辺 徹 (中川邦之)
石野 真子 (中川佐智)
新藤 栄作 (岩田竜夫)
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大坂 志郎 (工藤清吉)
赤木 春恵 (工藤イネ)
菅井 きん (岩田テル)
柳生 博 (大場甚一郎)
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伊武 雅刀 (岩田剛造)
野際 陽子 (坂口美代)
泉 ピン子 (村中ハル)
宇津井 健 (坂口一成)
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制作:澁谷 康生
演出:伊豫田 静弘

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