大河ドラマ西郷どん・(42)両雄激突 〜譲れぬ理想 深まる溝〜
外国への留学を決めた西郷菊次郎は
父・西郷隆盛とともに東京に向かいます。
隆盛と熊吉が住む長屋に身を寄せつつ、
同じく留学する予定の
市来宗介(いとこ=隆盛の妹・市来 琴の子)に
英会話を習っています。
そして横浜からアメリカへ出発していきます。
欧米を洋行中の大久保利通から
手紙と1枚の写真が送られてきました。
利通がひげをたっぷりと蓄えた写真に
「ヒゲw 似合っちょらんどw」と苦笑する隆盛です。
日本を出て1年が過ぎ、
アメリカからイギリスに渡った岩倉使節団はロンドン滞在中です。
不平等条約を改めさせようと躍起になっていたアメリカでは全く相手にされず
欧米の近代化は予想をはるかに上回る速度で進んでいました。
当初10ヶ月の予定で渡航した使節団ですが
1年が過ぎても帰国できずにいたのです。
政府内の不正は山県有朋のみならず
長州の井上 馨が秋田の銅山を不正に差し押さえ
巨万の富を得ようとしていたことが明らかになりました。
山県のように井上までもクビにしてしまっては
長州勢がいなくなってしまう、と三条実美が震えますが、
1年以上も留守にしている政府が何もするなというのは
民に対する裏切りだ、と隆盛は人事改正を断行。
後藤象二郎、江藤新平、大木喬任を新たに参議として加え
薩長主導に不満を持っていた土佐と肥前をまとめあげる形で
新しい留守政府を動かし始めたのです。
徴兵令、学校教育制度、地租改正、鉄道や製糸場の開業、
太陽暦の採用、裁判所の設置など、隆盛率いる留守政府は、
後の世につながる数々の成果を上げて行ったのです。
休みなく働き続けた隆盛が、突如として倒れ
2日間も意識不明が続き、政府を欠席している間も
留守政府の他の面々は仕事に勤しみ、改革を進めていました。
利通が、使節団より一足早く帰国し、新政府に復帰……しようとしたのですが
後藤や江藤らが、今は利通の土産話をじっくりと聞く暇がない、と言って
利通を追い出す格好になってしまっています。
それに従うしかない利通は、すごい形相で江藤らを睨みつけます。
そのまま長屋の西郷家に向かった利通は
新たに任命した参議3名を辞めさせることを提案しますが、
これには隆盛が激しく反発します。
彼らが留守政府をしっかりと守ってきているからです。
隆盛は、帰国した使節団の面々がそのまま
今の政府に復帰すればいいと考えていますが、
それでは船頭が多すぎる、と利通ははねつけます。
挙げ句、隆盛が優しすぎて江藤らがつけあがっているとさえ。
「じゃったら政府におらんでよか! 薩摩に帰ったらよか」
隆盛の言葉に、あきれ顔の利通です。
数日後の明治6(1873)年6月。
病も癒え、政府に復帰した隆盛の前に新たな問題が起きます。
日本は無法の国、西洋の真似事ばかりする夷狄(いてき)とののしった
朝鮮国が日本との外交を閉ざし立ち入りも禁止すると布告したのです。
兵を派遣して……と板垣退助は主張するのですが
そうなってはすでに朝鮮国に居留する日本人たちが人質になってしまい
脅しが逆に脅される立場になってしまいかねません。
まずは朝鮮国を重んじ、全権大使を派遣して
話し合いによる接近を計るしかないわけですが、
その大使に隆盛は立候補します。
場合によっては人質に、あるいは殺害することもあり得る。
しかし新政府の柱たる隆盛を派遣するのには賛成できない。
やはり岩倉たちが戻ってくるのを待つべきだ、というのが
大方の意見です。
隆盛は机を叩き、国家の大事を何も決められないのなら
何のための政府か、と声を荒げます。
2ヶ月間、議論を尽くした結果、
隆盛を全権大使として朝鮮へ派遣ということで決定し
天皇に上奏した上で実行に移されることになりました。
9月13日、予定よりも1年遅れて使節団が帰国──。
真っ先に天皇に帰国の挨拶に立つ岩倉ですが
何の成果も上げられなかったことを詫びると
天皇からの叱責が飛びます。
「岩倉……民は失意しておるぞ」
あまりに厳しいお言葉に、岩倉は膝から崩れ落ちて
土下座して詫びます。
そんな失意の岩倉を、伊藤博文は料亭に誘います。
その席には、木戸孝允、山県有朋、そして井上もいました。
いわゆる、長州勢です。
新政府から長州勢が干されてしまっている今、
何としても権力回復を狙いたいところなのですが、
全ては山県や井上が欲に目をくらませたことが原因であり
「そらそうやな、自業自得や」と岩倉は鼻で笑います。
ただ、先に帰国した利通さえも萱の外に置かれ
利通は政府からいなくなるとさえ言われている状況で
岩倉は、西郷と大久保の間に何かあったのか? と
面白がっています。
10月14日、帰国した岩倉たちを交えた閣議が
ようやく開かれます。
隆盛は、自分が大使として朝鮮へ派遣されることに決まったと
岩倉に承服してもらうために説明すると、
利通が立ち上がり、隆盛を見据えて発言します。
「私は断固、承服しかねます」
利通の目は、これまでのような
友の目ではありませんでした。
明治6(1873)年10月14日、
西郷隆盛を朝鮮に派遣するという政府の閣議決定に対して
岩倉具視、木戸孝允、大久保利通らが時期尚早として反対する。
明治10(1877)年9月24日、
西南戦争で西郷隆盛が討ち死にするまで
あと3年11ヶ月──。
(大河ドラマ『翔ぶが如く』では第37回「遺韓大使志願」〜第39回「両雄対決」付近)
原作:林 真理子
脚本:中園 ミホ
脚本協力:三谷 昌登・小林 ミカ
音楽:富貴 晴美
タイトル映像・題字:L.S.W.F
語り(西郷菊次郎):西田 敏行
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[出演]
鈴木 亮平 (西郷隆盛)
黒木 華 (西郷 糸)
錦戸 亮 (西郷従道)
桜庭 ななみ (市来 琴)
柏木 由紀 (西郷 園)
大野 拓朗 (桐野利秋)
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塚地 武雅 (熊吉)
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迫田 孝也 (江藤新平)
浜野 謙太 (伊藤博文)
村上 新悟 (山県有朋)
野村 万之丞 (明治天皇)
野村 万蔵 (三条実美)
玉山 鉄二 (木戸孝允)
内田 有紀 (ゆう)
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笑福亭 鶴瓶 (岩倉具視)
石橋 蓮司 (川口雪篷)
瑛太 (大久保利通)
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制作統括:櫻井 賢
:櫻井 壮一
プロデューサー:藤原 敬久
演出:野田 雄介
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『西郷どん』
第43回「さらば、東京」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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