プレイバックいのち・(42)嫁のつとめ
岩田竜夫と征子の結婚式に、すでにその兆しがあった
姑・岩田テルの認知症(※放送では「老人性痴呆症」)が
思いのほか進行していたのです。
今までテルの世話をして来た娘の典子は
男の子を出産したばかりでテルの世話をできる状態になく
岩田未希はテルを東京に引き取ることにします。
テルを入院患者として引き取るのではなく
家族としてお世話をしていくと決めた以上、
岩田家の居住空間で過ごしてもらうのが最善ですが、
誰かがついていないと危険だ、ということで
未希は津軽出身でテルの顔なじみの看護師・絹子を
テルの世話役に任命しようとします。
オイルショックで物資がなく、人手も足りないときに
そんなことは事務局としては認められない、と
竜夫は怒って出て行ってしまいます。
いざ、テルの介護が始まると
昼間は絹子が、夜間は未希がつきっきりで面倒を見ても
ご飯を食べさせたばかりなのに、
何も食べさせてもらえないと言っては食器を投げつけて暴れたり、
夜間には家中を徘徊していたりと、大変なことばかりです。
征子は未希を気遣って、介護を手伝ってくれますが
未希は、なるだけ征子の負担にならないように
嫁のつとめとして自分の力で果たそうとします。
しかしそれも限度があるわけです。
竜夫は、家中を引っ掻き回されるのは御免だし
絹子の特命の給料だってバカにはならないと
テルをいっそ入院させたら、と投げやりです。
「何の役にも立たない人間にはもったいないよ!」
思わず竜夫を平手打ちする未希。
未希はテルを何の役にも立たないなんて考えたこともないし
入院させれば自分が楽できる、と竜夫に気遣ってもらうのが
悲しくなってきました。
未希が過労で倒れてしまいます。
大場甚一郎は未希の身体をえらく心配しますが、
少し休めば大丈夫、と忠告を聞き入れません。
だから言わんこっちゃない、と竜夫に鼻で笑われます。
坂口一成に聞いたハルが教えてくれたのですが
浜村直彦が手術専門の脳外科病院を退職したそうで
現在は就職浪人中です。
食道がんの患者がいまして、狭心症もわずらっていました。
コレステロールにより心臓の血管の流れが悪くなっていたので
通常ならバイパス手術を行うところなのですが、
恒例になると血管の壁がもろくなるのでやらないことも多く、
しかし直彦は、そこを手術に踏み切ったようで、
患者が亡くなり、相当叩かれて
心臓外科医の資格はないと退職してしまったのだそうです。
直彦に勤務医として来てもらうかを事務局と話し合っているとき、
おばあちゃんがいない、と絹子が会議室に飛び込んできました。
絹子は自分の責任だと、退職の意思を示しますが、
まずはテルの捜索が先決です。
号泣する絹子の背中を見ながら、
未希は相当な責任を絹子に押し付けていたのだと痛感します。
町中に出たテルは、赤信号を認識できずに渡っていたところ
バイクにはねられそうになって転倒して足をケガしてしまいます。
「初めから入院させておけばよかったんだ」
竜夫はブツクサ文句を言いながら病室を空け、
入院の段取りを取ります。
これなら看護師が交代で見てくれるのです。
ただ、家族でテルの介護をすると決めたのに
思うようにできなかった未希の非力さがとても悲しく
しかし地獄の日日でも、あれ以上何ができただろうか、と
未希は初めて、老人問題と切実に向かい合っていたのです。
作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
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[出演]
三田 佳子 (岩田未希)
岸本 加世子 (岩田征子)
役所 広司 (浜村直彦)
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菅井 きん (岩田テル)
新藤 栄作 (岩田竜夫)
柳生 博 (大場甚一郎)
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伊武 雅刀 (岩田剛造)
吉 幾三 (八木金太)
泉 ピン子 (村中ハル)
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制作:澁谷 康生
演出:金沢 宏次
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