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2018年12月 7日 (金)

プレイバックいのち・(44)あしたこそ

昭和51(1976)年2月、
岩田未希の姑・テルが79歳の生涯を閉じました。

晩年を、認知症(※放送では「老人性痴呆症」)に冒された
テルの面倒を見た未希は、
再び莫大な借金をして老人病棟の建設に踏み切りましたが、
その完成を目前にしての、未希には心残りのテルの死でした。


テルの葬儀は津軽で行われ、初七日も無事に済ませた日
辞表を出したまま行方が分からなくなっていた浜村直彦が
思いがけず津軽の岩田家へテルの弔問に訪れ
高原家へも久しぶりに顔を出したのでした。

中川邦之は、直彦が高原病院に勤務してくれ、しかも
心臓外科を設置できたらどんなにいいか、と目を輝かせます。
工藤イネも、ご縁があったんですねぇ、とニコニコしますが
未希は高原家に、直彦が辞表を出したことは言っていません。

そうとは知らず、イネは大歓迎で
剛造や岩田竜夫・征子夫婦、岩田典子・豊夫婦も呼んで
にぎやかにやりましょう、と
津軽の郷土料理作りに精を出します。

邦之と中川佐智は、相変わらず夫婦で問診に出かけます。
帰ったら飲みましょう、と言って出て行くのを見送った直彦は
未希に向き合います。

何を言っても弁明にしかならないけれど、と前置きし
心臓外科のハードさをこんこんと説明する直彦。
10時間を超える手術もざらにあり、
手術を終えても身体が興奮状態のまま、醒めないことも。

一方で、10人チームで一体となってタッグを組むので
人間関係もそれなりに築いていかなければなりません。
直彦はそれで疲れ果ててしまい、
アルコールに頼るようになってしまいました。

前職を辞め、期間を置いて高原病院に入ったとき、
手術としては非常に簡単な盲腸の手術でさえできなかった。
自分の技量がここまで低下していると気づいた直彦は愕然とし
そんな自分が心臓外科を作るなんて自惚れも甚だしいと感じました。

「また一から出直しです」
そう笑う直彦に、未希は
もう一度、高原病院で働きませんか、と説得します。
直彦でなければならないんです、と。


直彦が高原家にいることを知った竜夫は
直彦が急に辞表を出したことを剛造に打ち明けます。
ただそれは、直彦は心臓外科立ち上げのために来てくれたのに
未希が老人病棟建設に舵を切ったからだ、と思っています。

未希が作り上げた病院だから自分のやりたいようにやるのは勝手だが
その尻拭いは事務局の人間なのだから止めて欲しいと言う竜夫に
剛造は、竜夫の言いたいことも分からなくもないが
母ちゃんの理想を現実化するのが竜夫の仕事だ、と諭します。

そこに、工藤清吉が剛造たちを呼びに来ました。
「今夜うちで、みんなと夕食食うべってすことになって
 支度してるはで、あンたものんちゃん夫婦も来てけろ」

お言葉に甘えて、と剛造と竜夫、征子は
高原家にお邪魔することにします。


剛造は直彦に、話があると外に連れ出し
夫婦と言っても医師の妻のことは分からないので
いつまでも未希の支えになってやってほしい、と言います。

今の未希には、竜夫も征子も協力してくれています。
征子はとても素直で思いやりのある娘ですが、
竜夫は、いつか未希と対立しそうな気がするのです。
竜夫は自分の息子だからこそ、分かるのです。

もしそんな時が来たら、未希には直彦しか
相談相手がいなくなってしまうのです。
直彦は、自分にできる限りのことは
させてもらいます、と笑って頷きます。


テルが亡くなったと聞いて、
村中ハルと八木金太が慌てて津軽に帰ってきました。

どうして知らせてくれないの? 水くさい! と
ハルには憎まれ口を叩かれていますが、
結婚式場が忙しそうで、ハルがなかなか病院に顔を出さないから
迷惑かもと思って伝えなかったそうです。

そこに邦之と佐智も帰って来て
こうして昔ながらの面々が高原家に集い
昔話に花を咲かせます。

清吉は81歳、イネは71歳で高齢でありながら
いつまでも老いを見せず、高原家を守ってきてくれていることに
未希は随分と慰められ、東京に戻って行きました。


東京に戻った未希には多忙な日日が待っていて
その頃から竜夫も積極的に病院経営に関わり始めます。
ある日、高原病院にCTスキャンを入れるという提案を
竜夫がするのですが、事務長の曽我は反対します。

1.5億もの投資が必要な上に
検査料を一人5万円に設定しないと大赤字になります。
そんな検査を受ける人がいるというのは疑問だ、と言うのです。

竜夫は、患者数を増やすためにCTを導入したいわけで
そうなれば高原病院も大病院の仲間入りができるのです。
そう主張を続ける竜夫を見て、
曽我はもはや経営をやっていけない、と辞職を申し出ます。

こうして竜夫が事務局長に昇進したわけですが、
老人病棟に准看護師を2人も割り当てたまま
本院には補充がないから、絹子と昭子が
何とか看護師を確保してして欲しい、と訴えます。

絹子と昭子は竜夫の津軽からの幼なじみで
そのあたりを歯に衣着せぬ物言いでズバズバ言ってくれますが、
竜夫には非常に耳の痛い話ばかりです。

病院職員は、影で文句を言っていても
事務局長が院長の子息だからと
言いたいことも言えずに我慢に我慢を重ねて来ています。
絹子と昭子はそんな彼らの意見を代弁しているのです。


昭子は2番目の幼い子どもが発熱し、
1番目の子どもが家でおろおろしているらしく、
当直を絹子に代わってもらい、自宅に帰ります。

絹子は昨晩も当直だったのですが、こんな時は仕方ありません。
看護師の数も足りないし、急な当直要請にも答えられないからと
絹子は受けたのですが、夜遅く、患者からのナースコールを
居眠りしていて聞き逃すという失態をしてしまいます。

翌朝 竜夫は、ミスを犯した絹子と
当直を代わった昭子を辞めさせることにします。
それに驚いた征子は竜夫にかみつくのですが、
竜夫は方針を変えようとしません。

今の竜夫は、邪魔な者を排除することしか考えてないようです。
前事務局長の曽我さんを追い出し、
目の上のたんこぶである絹子と昭子も辞めさせて
そうやって今度は大場甚一郎すらも辞めさせてしまおうと……。

未希は、看護師事情は初めて話を聞いて驚き
至急の増員を竜夫に指示しますが、
竜夫が病院経営をやり易くするには、
絹子や昭子に辞めてもらった方がいい、という考えです。

絹子や昭子のキャリアなら、どの病院でもやっていけるでしょう。
そう言って笑う未希に、征子は寂しい表情を浮かべます。
「竜夫さんについていく自信がなくなったんです。
 私も、高原病院辞めさせていただきます」


一度、冷却期間を置くために
竜夫と別れた方がいいのかどうなのかも含め
征子はハルの元に帰って、じっくり見つめ直したいと考えていて、
荷物をまとめています。

「征子ちゃん……赤ちゃんができてるんじゃないの?
 まさか、人工流産の手術をするようなこと……」
征子の後を追いかけてきた未希は、ズバリ言い当て
征子はピタリと動きが止まります。

未希はそもそも剛造の後添えであり、竜夫や典子を
本当の子どもだと思いたかったから子どもを産みませんでした。
しかし女としては、お腹を痛めて
子どもを産まなかったのは、どこか寂しいものです。

征子はまだ子どもが産めますが、征子はもう35歳です。
であれば、父親の無い子にしないでほしい、というのが
未希の正直な思いです。

今の竜夫は確かに問題があるかもしれませんが、
子どもが産まれたら変わるかもしれません。

征子は、今の竜夫の子どもを産む自信もなくしていたし、
だからといって父親の無い子どもにすることもできない。
ましてや子どもを殺すことなんてできやしないわけで、
誰にも話せなかった、と涙を流します。

「竜夫さんとなんとかいい夫婦になって
 いい父親と母親になるしかないんですね」
征子は未希と固く抱きしめ合います。

この時、未希と征子は、姑と嫁というより
女同士の友情で結ばれていました。


やがて絹子と昭子が高原病院を去り、
竜夫は事務局長として高原病院で実験を握っていきました。

竜夫の経営方針がいいのか悪いのかは分からず、
すでに高度成長期が終わって
厳しい冬の時代の波に飲み込まれようとしている高原病院で、
未希と征子はひたすら医療活動に打ち込んでいたのです。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
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[出演]
三田 佳子 (岩田未希)
岸本 加世子 (岩田征子)
役所 広司 (浜村直彦)
渡辺 徹 (中川邦之)
石野 真子 (中川佐智)
──────────
大坂 志郎 (工藤清吉)
赤木 春恵 (工藤イネ)
新藤 栄作 (岩田竜夫)
高木 美保 (岩田典子)
──────────
伊武 雅刀 (岩田剛造)
吉 幾三 (八木金太)
柳生 博 (大場甚一郎)
泉 ピン子 (村中ハル)
──────────
制作:澁谷 康生
演出:富沢 正幸

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