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2018年12月11日 (火)

プレイバックいのち・(45)新しき家族

高原病院は、若い岩田竜夫が事務長になったのを契機に
新しい時代を乗り切るための新しい経営に切り替えられ
竜夫はその手腕を発揮し始めていました。

しかし何よりも大きな出来事は、妻・征子の懐妊でした。
竜夫と征子の間に子どもができたことは、夫婦の危機を救い
何とか岩田家の平和は保たれて
いつしか7年の歳月が流れていました。

みんなの祝福を受けて生まれ、
「真希」と名付けられた征子のひとり娘も6歳になり
おばあちゃんになった岩田未希の愛情を一身に受けて
すくすくと育っていました。


そして昭和58(1983)年の3月には
岩田家の幸せを象徴するように
6歳の真希が日本舞踊の発表会に出ることになりました。

発表会には、竜夫・征子夫妻や未希のほか
坂口一成・美代夫妻や村中ハル、浜村直彦・玲子夫妻
津軽から剛造や津田平吉・浅子夫妻もかけつけます。

いろんな夫婦のかたちを見ていると、
いいなぁ、とハルが珍しく言い出します。
そんなハルを、坂口美代が顔をのぞき込んで笑います。
「あら、今からでも遅くないわよ」

でも、男の顔色をうかがいながら暮らしていくのも
面倒くさいし、と笑ってごまかすハルです。


発表会も無事に終わり、その御礼も兼ねて
竜夫がささやかな席を設けます。

今年73歳になる坂口は、そろそろ後進に道を譲って
医師を引退しようかと考えています。

未希は、高原病院顧問である坂口に引退は早すぎると
ぜひ勤務医として、とアプローチしますが、坂口夫妻には
夫妻なりの老後の身の処し方を考えていまして、

1ヶ月ほどヨーロッパ旅行でもして妻孝行をし、
幸いにして子どももいないので、いずれは今の家を処分して
有料老人ホームにでも入ろうか、と考えているようです。

坂口家が処分されてはハルの家がなくなってしまいますが、
ハルも同じ老人ホームを買っておこうかなぁ、とつぶやきます。

ともかく、坂口夫妻には学生時代からとてもお世話になったので
未希とハルが面倒を見るつもりでいるし、
ハルの面倒は、親でないのにここまで成長させてくれた征子が
恩返しのつもりで見ていくと言って、嬉しい限りです。


高原病院では人間ドックを始めることになりまして、
一般30床、特別室は3室を新たに設置しました。

発表会の打ち上げの際に、坂口夫妻とハルに
最初のお客さまになってもらいたくて誘っておいたので、
日取りを決めて高原病院に入ってもらいます。

検査はしない、という約束で病院に入ったハルは
人間ドックで3泊4日と聞いて、
約束が違うから帰ると駄々をこねています。

未希は心電図とエコー検査だけはやっておきましょう、と
幼子を説くようにハルをなだめます。


直彦の初見では、心電図では特に異常はなさそうです。

未希は子宮や卵巣にも気を配ってエコー検査しますが、
ん? と思える影が見えて、子宮の辺りを押さえてみます。
「いっ……痛い……痛くしないって約束じゃないの!?」

ごめんごめん、と言いつつ、未希は普通を装って質問します。
どう? 食欲はある? 下腹が張るようなことは?
ひどく疲れるようなことある?

未希の判断で、看護師に念のため採血の指示と
あとハルには産婦人科で内診をすすめます。
大したことは無いだろうけれど、子宮筋腫の疑いもあります。

内診を担当する大場甚一郎には、
左の卵巣に腫瘍のようなものが……と言って
本人には子宮筋腫の検査だと偽っているので
くれぐれも……、と伝えておきます。


検査が終わり、ハルはもう二度と
産婦人科は受診しない、と言ってカンカンです。
よっぽど堪えたんだ、と征子は笑っていますが、
お世話様! とハルは怒り肩で病院を後にします。

産婦人科に戻ってきた未希に、大場はすぐの手術を勧めます。
未希の診立て通り、左の卵巣に腫瘍があります。
良性か悪性かは分かりませんが、
放っておくわけにはいきません。

ただ、ハルには卵巣の検査とは言っていませんので
子宮筋腫で、大きくなって内蔵を圧迫するから
子宮を取ってしまった方が、と話を進めるしかありません。
しかしそれでハルが手術する気になるか? が疑問です。


未希は手術を勧めにハルの結婚式場に出向き
検査結果を伝えます。

「手術しなかったら……どうなるの」
未希はハルのその問いには答えず、
私を信じて手術しなさいって言ってるの、と伝えます。

未希の予想では、ハルは手術しないと
駄々をこねると思っていましたが、
意外にあっさりと、手術が決定します。


手術当日、大場が執刀し
未希と直彦、征子がサポートに回りますが、
開腹して状態を確認すると、
その4人の医師が一様に青ざめる状態でした。

卵巣の腫瘍は悪性で、
すでに腹膜に転移していたのです。
明らかに手遅れの状態で、未希には
それが何を意味するのかよく分かっていました。

卵巣は摘出したものの、転移した腹膜には触れられず
そのまま閉じられて手術終了となりました。
医師として友人として、ハルには大きな責任がある未希でしたが
今はただ呆然として立ち尽くしているだけでした。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
──────────
[出演]
三田 佳子 (岩田未希)
岸本 加世子 (岩田征子)
役所 広司 (浜村直彦)
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柳生 博 (大場甚一郎)
新藤 栄作 (岩田竜夫)
手塚 理美 (浜村玲子)
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伊武 雅刀 (岩田剛造)
野際 陽子 (坂口美代)
泉 ピン子 (村中ハル)
宇津井 健 (坂口一成)
──────────
制作:澁谷 康生
演出:布施 実

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