大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・(03)冒険世界
昭和35(1960)年・東京 日暮里──。
古今亭志ん生の自宅にあるテレビでは、
その年に開催されるローマオリンピック大会に参加する
日本選手団の結団式が映し出されていました。
母親のりんに娘の美津子、弟子の今松が集まる朝の食卓に
突然現れた「古今亭五りん」という青年が現れます。
いかにも自然に入ってきたので、ついついふつうに返したのですが
まさか彼が弟子だとは、りんも美津子も今松も思っていないわけです。
かつて弟子にしてくれと押しかけて来た、小松です。
聞いてない、と彼を追い返そうと後を追って庭に出れば、
五りんはいきなり庭で冷水を頭から被り出します。
「ああっ寒っ! すいません、あの、親父の言いつけで」
明治42(1909)年・熊本──。
ここにも同じく、頭から冷水を被る金栗四三がおりまして。
海軍兵学校の身体検査に視力で落ちてしまった韋駄天は
嘉納治五郎会いたさに、そして治五郎を追い越すべく
次の目標を東京五等師範学校に定め、見事合格。
そのころの治五郎は、フランス大使館で
当初は断るつもりでいたオリンピック参加を
土壇場でひっくり返し、独断でGOサインを出したのでした。
「ぺ!」
明治43(1910)年・春、四三は東京へ。
日本人がオリンピック出場を夢見始めたころです。
出発には、家族総出で駅まで見送りに来てくれました。
今回の東京への旅は、美川秀信も一緒です。
熊本から東京へは、各駅停車の鈍行でたっぷり二昼夜の長旅でして
『冒険世界』という雑誌で“天狗倶楽部”というスポーツ愛好会の
三島弥彦の活躍ぶりが書かれた記事を読んでは
もうだめだ……と不安に駆られる四三です。
スポーツならなんでも活躍してしまうので、たまには負けて
敗者の屈辱を味わってみたいと記者に愚痴を言う弥彦ですが、
彼の出身である三島家は、千駄ヶ谷の一等地に
7,000坪の邸宅を構えるもと薩摩士族でありまして、
父・三島通庸(みちつね)は元警視総監、
兄・三島弥太郎は横浜正金銀行の副頭取でのちの日銀総裁。
母・三島和歌子は“おんな西郷”と呼ばれるほどの女傑。
この三島家をモデルに書かれた小説が、
当時の大ベストセラーである徳富蘆花の『不如帰』ですが、
そこで底意地の悪い姑として描かれているのが和歌子なのです。
ようやく東京新橋にたどり着いた四三は
美川の提案で、市電に乗って浅草へ。
十二階というシンボルタワーを見に行くことにしましたが、
市電車中で懐中の財布をすられたとかで、
それ以降、四三はすっかり電車嫌いになったそうです。
ともかく、お茶の水の寄宿舎にたどり着いたのは夜7時すぎ。
その寄宿舎の監督係(=舎監)は、
あのスウェーデン体操の鬼教官・永井道明であります。
美川が手にしていた、四三の『冒険世界』のことで、
四三はさっそく永井から、きついおしおきを食らいます。
四三は朝6時の冷水と乾布摩擦を欠かさず、
朝飯は一口30回ずつかみ、そして多く食べ
寄宿舎を最後に出発するも、乗り換え面倒な市電組とは違って
韋駄天通学で20分走り、学校へは一番乗りです。
そんな毎日を送っていた四三ですが
やはりホームシックにかかってしまったようで、
夏休みを利用して熊本に帰省します。
そこで、憧れていた春野スヤが
女学校を卒業したら見合いをするという話を聞き
少し落ち込み、空元気を出す四三です。
春のような家族の見送りは、ありませんでした。
畑が忙しいから仕方ありません。
しかし美川に促されて外を見てみると
線路沿いを自転車に乗って追って来るスヤがいました。
スヤは、四三の乗った列車が見えなくなるまで
懸命に追い続けます。
たどり着いた新橋で、天狗倶楽部が主催する
学生限定のマラソン大会を初めて見ます。
走る、という移動手段ではなく、ただ走りたいから走っている。
四三の心に、静かにしかし確実に、小さな火が灯りました。
同じころ、美濃部孝蔵は
飲む・打つ・買うをやめ……たっていうわけではないのですが
少し控えめにして、あの名人の寄席へ通い出したのです。
橘家円喬です。
寄宿舎に戻った四三は、
校内マラソン大会が行われることを知ります。
※この物語は史実を基にしたフィクションです※
作:宮藤 官九郎
音楽:大友 良英
題字:横尾 忠則
噺(古今亭志ん生):ビート たけし
──────────
[出演]
中村 勘九郎 (金栗四三)
綾瀬 はるか (春野スヤ)
生田 斗真 (三島弥彦)
杉咲 花 (シマ)
勝地 涼 (美川秀信)
満島 真之介 (吉岡信敬)
──────────
森山 未来 (美濃部孝蔵(語り))
神木 隆之介 (五りん)
橋本 愛 (小梅)
荒川 良々 (今松)
峯田 和伸 (清さん)
松尾 スズキ (橘家円喬)
池波 志乃 (りん)
小泉 今日子 (美津子)
──────────
中村 獅童 (金栗実次)
田口 トモロヲ (金栗信彦)
宮崎 美子 (金栗シエ)
──────────
杉本 哲太 (永井道明)
小澤 征悦 (三島弥太郎)
古舘 寛治 (可児 徳)
白石 加代子 (三島和歌子)
役所 広司 (嘉納治五郎)
──────────
制作統括:訓覇 圭・清水 拓哉
プロデューサー:岡本 伸三・大越 大士
演出:西村 武五郎
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『いだてん』
第4回「小便小僧」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
BS4K:午前9時〜
| 固定リンク
「NHK大河2019・いだてん」カテゴリの記事
- 大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・総集編第二部 後編 嘉納治五郎の夢が実現! 金栗田畑涙のあの開会式 歩み見守る志ん生(2019.12.30)
- 大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・総集編第二部 前編 とてつもない困難を前に東京招致挑む男の決意! 一番おもしろいことが義務(2019.12.30)
- 大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・総集編第一部 後編 スポーツで皆笑顔になる! 五輪は平和だからこそできる運動会(2019.12.30)
- 大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・総集編第一部 前編 参加することに意義がある! 日本初五輪 参加した男! その道に加わる熱い男たち(2019.12.30)
- 大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・(47)時間よ止まれ[終] ~雲一つない青空! 1964年大会開幕! 五輪物語が今夜完結~(2019.12.15)
コメント