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2019年1月 4日 (金)

連続テレビ小説おしん・少女篇(1)〜(6)

昭和58年、春もまだ浅いころ。
志摩半島にある田野倉家のおしんが突然家を出ました。
83歳という高齢であります。

次男・仁は、周辺に16店のスーパーを経営し
その日は17店舗目の開店するめでたい日でした。
スーパーたのくらを大きくしていけたのは、ひとえに
おしんの苦労の賜物であると言えました。

そんなおしんが、このめでたい日に失踪する……。
仁は、ひょっこり帰ってくるんじゃないかと気にも留めず
開店式典も予定通りに挙行することにします。


作:橋田 壽賀子

音楽:坂田 晃一

語り手:奈良岡 朋子

考証:小木 新造
演奏:新室内楽協会

陶芸指導:岸 円山
方言指導:大久保 正信
    :芝田 陽子

協力:山形県 尾花沢市
       中山町
       西川町
       白鷹町
       朝日町

──────────

[出演]

小林 綾子 (おしん)

泉 ピン子 (ふじ)

大路 三千緒 (なか)

高橋 悦史 (仁)

浅茅 陽子 (道子)
野村 万之丞 (希望)

吉野 佳子 (禎)
桐原 史雄 (辰則)

鈴木 美江 (あかね)
川上 麻衣子 (みどり)

仙道 敦子 (はる)
佐々木 愛 (初子)

小倉 馨 (源助)
西村 淳二 (タクシー運転手)
芝田 陽子 (宿の仲居)

宮本 宗明 (剛)
影山 真弓 (幸子)
伊藤 公子 (文子)

外野村 晋 (有力者)
村瀬 正彦 (有力者)
弥富 光央 (有力者)

長谷川 真由美 (みつ)
佐野 大輔 (庄治)
住吉 真沙樹 (正助)
片桐 尚美 (こう)

藤原 良司 (村の男)
諸石 茂 (村の男)
萩尾田 善道 (村の子供たち)
片桐 尚三郎 (村の子供たち)
堀越 太郎 (村の子供たち)

永山 純一 (進)
 ─────
鳳プロ
劇団いろは

大橋 吾郎 (圭)

伊東 四朗 (作造)

乙羽 信子 (おしん)

──────────

制作:岡本 由紀子

美術:田坂 光善
技術:白石 健二
  :小出 侊
効果:水野 春久

照明:増田 栄治
カメラ:沖中 正悦
音声:近藤 直光
記録:佐伯 和枝

演出:江口 浩之


お前が何か言ったんじゃないのか、と
仁に何かにつけて人のせいにされてしまう妻・道子は
これでも我慢に我慢を重ねて、腫れ物に触るようにすごしてきたと
日ごろから溜まっていた鬱憤を爆発させます。

母親の死後、おしんに育ててもらった八代希望(のぞみ)は
親戚同然に過ごして来たものの、スーパー経営を手伝わず
道楽で陶芸などを好きに作っている暮らしがあって
道子は希望を毛嫌いしています。

こういうときには式典には呼ばれず、希望は
帰るぞ、と息子の圭に声をかけ、帰っていきます。


おしんは、北に向かう列車に乗っていました。
どこへ、何をしにいくのか。
それはおしんだけにしか知らないことです。

圭は突然思い立ち、父親に10万を貸して欲しいと言い出します。
旅をしてきたいという圭の真意を、希望は計りかねていました。
「しょうがないやつだ」
ニッコリ笑う希望です。

希望には、少し気になることがありました。
17店舗目出店の商店街に、大手スーパーが土地を買い上げ
乗り込んで来るらしい、と。
だからおしんはこの出店に反対していたのではないか、と。

いくらスーパーたのくらとはいえ、中堅スーパーが
大手スーパーに立ち行きできるわけがありません。
仁もそれを知っているはずでしょうが、
希望はそこが気になっています。


式典も終わり、家に帰って来た仁や道子ですが、
さっきからおしんの我がままっぷりを責め立ててばかりいて
おふくろを心配する家族はいないのか! と仁は声を荒げます。

とはいえ、道子は
ワガママ勝手をやったのはおしんのほうだから
心配する必要もない、と開き直っています。


おしんがたどり着いたのは、雪深いある銀山温泉街です。

翌朝、タクシーを呼んで待っていると、
後から追いかけて来た圭が合流してきました。
「おはようございます」

誰にも知らせず、奥深い山形の温泉に
どうして圭が現れたのか、おしんにはただ不思議でした。
ただ、思いがけない圭の出現は、おしんには心強かったことです。

圭は、おしんの部屋にいて想像を働かせていた時
圭が若い頃から、いや、希望が若い頃からあった
銀山温泉のこけしが部屋に置いてありまして、
それがヒントになってここに向かってみたのです。


圭が気を利かせて、希望に電話をして
おしんと合流できたこと、
どこにいるかは口止めされていることを伝えます。

そしてタクシーに乗って出かけるおしんに
せっかく発見できたのにここで逃げられてはたまらんと
タクシーに同乗してついていきます。

そのころ田野倉家では
おしんと圭が会えたことに始まり
せめて安否連絡は希望ではなく仁にするべきじゃないのかと
それはそれで大問題に発展しているのですが、

道子はすべて自分のせいにして、言いたい放題です。
いっそずっと帰ってこなければいい、とまで言って
仁に怒られます。


おしんは、雪深い道をたどって村まで歩こうとしますが
タクシー運転手はそれを止めます。

雪道は慣れているし、村までの道は知っているのだから、と
言うおしんですが、その村は廃村になってしまい
誰も住んでいないと聞いて、おしんはひどくがっかりします。

まずは出直して、それなりの準備を整えて
翌日再チャレンジすることにします。

とはいえ、翌日の雪深さも大して変わるものではなく
長靴はいて挑みますが、おしんでも諦めようかという
気持ちになるほどの雪の量です。

圭は約束通り、おしんをおぶって雪道を進みます。
彼は学生時代に登山部で、40kgぐらいの荷物をしょって
何度も登山してきているので、
おしんをおぶっても大したことはないのです。

「あ! ほら! 見えた見えた! 見えたよ!」
おしんが指さすその方角には、
確かに人が住んでいた建物の跡がありました。

「ここがおばあちゃんの家なの?」
圭の問いにおしんは答えず、
ただ涙を流しているおしんです。


おしんは、自分の生き方が間違っているのではないかと
自分を責めています。
仁がああいうふうに育ってしまったのは、
自分の育て方が悪かったと思い込んでいるのです。

仁のようなスーパー経営をしていたら、
今にスーパーたのくらはつぶれてしまう。
身から出た錆、と開き直りつつも
そういう仁に育てた自分が悪い、とどこかで思っています。

どこが悪かったのかを発見するために、
いま思い出さなければ一生分からないままになる。
そういったおしんの焦りが、旅へと駆り立てたのかもしれません。
「おばあちゃん、あそこから歩き始めたんだよ」


暖房器具なんてなくて、いろりの火だけだったけれど
おしんは暖かい家族がいて大好きな家でした。
おしんに、父さん母さん、兄ちゃんが1人、
姉ちゃんが2人、弟と妹が1人ずつの9人家族です。

おっとその前に、圭が気を利かせて希望に電話すると言い出します。
今回の旅、ちょっと長くなるよ、と。
電話が終わって、圭はおしんに一緒に温泉に入ろうと提案します。

遮二無二走り続けて来た人生の途中で
生きるために削ぎ落とし、失って来た大事なものが
いま、思い出を辿って拾い集めてみたいというおしんの言葉に、
圭は感動していました。

物語は、おしんが満6歳(数えで7歳)のころに遡ります。
おしんは明治34(1901)年、山形の最上川上流の寒村で産まれます。
生家は小作で、貧しい農家でした。

働き手は父親・作造と母親・ふじで、祖母・なかが
折る布によってわずかに現金収入が得られる程度でしたが、
祖母がリウマチに冒されてからは、その収入も途絶え
なかなか厳しい懐事情が続いていたのです。

おしんが初めて貧しい暮らしを知ったのは
おしんが7歳のころであります。

おしん、ちょっと来い、と作造が呼び出し
おしんに奉公に出るように言い渡します。
川を下った所にある大きな材木問屋で
飯もちゃんと食わせてくれるとおしんに話します。

しかしおしんは、学校に上がるからとその話を断ります。
作造はおしんをどなりつけますが、父母のそばにいたいだけなのです。
外に出て行かない兄のように、畑仕事を一生懸命に手伝うからと
涙ながらに訴えるおしんです。


そこまで一気に圭に話したおしんは、
今度は最上川の上流に行ってみようかねえ、とタクシーを呼びます。
この川にも、おしんにとって忘れ難い思いが秘められているのなら
きっと辛く悲しい思い出に違いない、と圭はいたわる気持ちです。

子どものころのおしんは、村の少年たちと魚釣りをやっていまして
見事に魚を釣り上げたおしんでしたが、釣り竿はオレのだ、と
魚ごと少年に持っていかれてしまいます。

飯に手をつけないなかに、何としても食べてもらいたい。
そんな気持ちからそういう行動に出たのですが、
おしんが腹一杯に食えば、なかが1食に削らなければならない
そんな貧乏であることをおしんは身をもって感じ取ります。


おしんは、最上川にひとり入って行く人を見て追いかけます。
母のふじです。
ふじのお腹には7番目の子を身ごもっていましたが
あまりの貧乏に、冷たい川に入って流産しようとしたのです。

「みっともねえ」とつぶやいた作造に
女の苦しさなんか分かってたまるか、となかは怒鳴ります。
貧乏で、なかの、そしてふじの苦しさを知ったとき
おしんは奉公に出る決意を固めます。

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