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2019年2月 1日 (金)

連続テレビ小説おしん・少女篇(25)〜(30)

酒田へ奉公に行くと決まって、
おしんは作造にもなかにも黙って
母・ふじが働いている銀山温泉を訪ねていました。

2年の年季奉公ではしばらく母には会えないので
どうしても母親の顔を見たかったわけです。
その夜は、親子で一つの布団に入って一緒に休みます。

てっきり家に帰るものだと思っていた女将は
おしんがこれから酒田へ奉公へ出されることを知って
こんな年端もゆかぬ子が……と悲しそうな表情を浮かべますが、
食べてけろ、と少量のお菓子を餞別に渡します。

人に親切にされたら、人に親切にしてあげなさい。
そんな母の教えを胸に、いよいよ出発です。

「これ、母ちゃんにそっくりだな」
優しい表情のこけしに母を思い浮かべたおしんに、
ふじは女将に掛け合って、こけしを渡します。
これを母だと思って、がんばれ、と──。


荷馬車を乗り継いで酒田ゆきの船に乗り
ようやく奉公先にたどり着きます。
道案内してくれた男が、ここだよと指さす先には
大きなお店が構えてありました。

「米問屋の加賀屋」です。

しかし、大奥様の八代くにが、
奥の奉公の話をしたのではあるまいね? と問いつめると
奥様のみの、旦那の清太郎は気まずそうな表情で
奥に下がります。


作造となかは、奉公が決まったというわけではなく
おしんに奉公に出る気はあるのか確認したかったわけで
実際にその返事を聞いて加賀屋に
斡旋に行こうととしていたことを知ります。

おしんが帰宅しないところを見ると
すでに酒田に発ったと見るのが妥当ですが、
加賀屋にたどり着いた時、その場で断られる可能性もあるわけです。


ずっと待っていたおしんに、みのは
この話はなかったことにしてもらいたい、と
ここまでの船賃、ここからの船賃、今日の宿賃を渡しますが、

「帰るとこねえんだ。ここさ置いてけろ」
お願えするす。そう言って食い下がります。

食い下がる様子を見ていたくには
あの子どもを置いてやろうか、という気持ちに変わります。
米が取れなかった中、自分が奉公に出なければ
病気のおばあちゃんや幼い弟妹たちにもひもじい思いをする。

置いてみようじゃないか、と提案します。
あの子どもがどんなに喜ぶか、とみのも明るくなりますが、

この噺はお前から言い出したことにしておけば、
あの子の恩義はきっとお前に向くからと
くには時分の提案であることを伏せさせます。

今日からここで働いてもらうぞ、とみのに言われた時
今まで沈んでいた表情が、パッと明るくなります。
「ありがとうございます!」

大奥様のくに、旦那の清太郎、長女の加代を紹介されるおしんです。
加代とは同い年らしいのですが、加代には主の娘というプライドか
使用人のおしんには大して反応を示しませんが。

ともかく、主一家も奉公人・きくとウメもみんな人がよさそうで
どうしても前の奉公先と比べてしまうのですが、
その全てに於いてこちらの方がいいし、進んでいます。

ランプがある部屋で布団を並べて眠れる、
着物も、加代のお下がりだけどと断った上で
おしんに提供してくれる心の広さです。

後々分かることですが、番組の始めに
おばあちゃんになったおしんとともに山形を旅している圭は
この加代の孫ですが、
おしんが加賀屋に恩義を感じていた下が分かりますね。


翌朝も夜明け前から起き出して、釜で飯を炊きます。

始めこそ、子守りに来たんだから余計なことには手を出すなとか
子どもが炊けるわけねえと高をくくっていたうめですが、
それはそれは上手に飯が炊けるので感心しきり。

しかし前の奉公先の常識が、ここでは通らないこともあり
おしんはとまどう一方です。
赤子のおしめの洗濯を、前の奉公先に倣って川ですませると
洗濯物は井戸水でやるんだ、と言われてしまいます。

そして小学校に通う加代に、ウメがついていく現状に
小学校に通えるだけでも幸せなことなのに
別世界の何かを見ているような印象を受けるおしんです。


お守りをしながら蔵が立ち並ぶ辺りまで歩いて来てしまいました。
ここは危ないから下がりなさい、と旦那に咎められますが、
大奥様のくには、おしんに流通のことを教えます。

おしんの父が作り、地主に収めた米を
米問屋が買い取って、一時的に蔵に入れておく。
その説明に、いちいちたまげるおしんですが、

ひもじい思いをしながら米を作る小作人よりも
米を作らない米問屋が米を食らい、
奉公人でさえも麦飯を食える。
「おらは、米など作らねえ商人になるンだ」


今日も朝早くから飯炊きに勤しむおしん。

くにはおしんと話して、ここの奉公が初めてではないこと
そして小学校に行きたかったものの、
小作の娘では奉公に出るために行けなかったことを知ります。

そんなとき、加代は小学校に行きたくないと言い出します。
男の子たちからいじめられるからだと言うのです。
両親が加代を甘やかすから我慢を知らない子どもに育つんだと
くにはおしんの話をします。

小学校に行かないのなら膳下げろ、と言うくにに
負けず嫌いの加代は、小学校に行く闘志メラメラです。
そして今日から、ウメに付き添ってもらうことも止めます。

道中何があるか分からんからと付けた付き添いですが
加代にそう言われては、旦那の清太郎は立場がありません。
「オッ母さんが……余計なことを言うから……」
トホホ顔です。


おしんがお守りをしている間、
加代の部屋に入ってしまったおしんは
机の上から本をちょっと拝借します。

いずれ小学校から帰って来た加代が
大切にしている本がないと大騒ぎし、
疑いの目をおしんに向けた時、
おしんは確かにその本を持っていました。

帰すつもりでいたと弁明するおしんですが
言い訳は聞きません。

盗人と同じことだと言われ、加代にも
良くしてくれたみのにも、奉公人のきくとウメにも
そんな情けないことをするような子とは思わなかったのです。
「見損なったぞ」


みのは加代とともにくにのところに赴き、
こういうことが起こった以上、この家には置いておけないと
事態が酷くなる前に暇を出すことを提案します。

おしんを呼び出したくには、この事件が起こった敬意を聞き取り
字が読めないのになぜ? と疑問が湧き上がります。
しかしおしんは、これぐらいの本なら読めるす、と言うのです。

「読んでみろ」
くには、加代が手にしている本をおしんに渡させます。

あるひのことです。
すなはまでこどもたちがおおきなかめをつかまえて
いじめていました。
たろうはこどもたちにこづかいをやり
かめをたすけてうめへはなしてやりました──。

くには、おしんが本当に本を読みたくて借りたという主張を認め
今回のことは不問に付します。

ただ、人に疑われるような真似はするな、と忠告しておきます。
とかく奉公人は色眼鏡で見られることが多いから
人の何倍も気をつけなければならない、と。

くにの狙いは、おしんを認めるというよりも
同い年の女の子が勉強したがっているのに
跡取りの娘は勉強もしないで本を並べたままと言うことで
負けず嫌いの加代におしんを張り合わせて強くさせることでした。


おしんの里の近くで地主をやっている者からの情報で
おしんは前の奉公先を逃げ出して、脱走兵と半年近く暮らした挙げ句
脱走兵は憲兵に射殺され、おしんも憲兵にしょっぴかれた、と。

「それがどうした」
くには、おしんの過去を調べる暇があるのなら
さっさと店に出て仕事をしろ、と怒られます。
もう、何も言い返せません。


飯炊きの時、ふとハーモニカを吹いていたら
加代がこれをくれ、と言って来ました。
おしんにとっては単なるハーモニカではなく
俊作のハーモニカなので、誰にも譲るつもりはありません。

こんなもの! と土間に投げつけ、踏みつけられると
おしんでもカッとなって加代を突き飛ばすわけですが、
打ち所が悪く、加代は気絶してしまいます。

愛娘の姿に狼狽える清太郎とみのの傍らで
くには、頭を打っただけだからと
湯を頭のぶつけたあたりにかけ、意識を取り戻させます。


またも事情を聞かれるおしんですが、
行き倒れているところを脱走兵であった俊作に助けられ
一緒に暮らしていたときに読み書き計算を習ったわけで、
俊作は悪い人とは到底思えないのです。

ハーモニカはそんな俊作の形見なので、
くれと言われても渡すわけにはいかなかった、と弁明。

清太郎は、家に帰る準備をするんだな! とご立腹。
今回のことで、さすがのくにも、
おしんの味方にはなれそうにありません。
「やっぱしおめえはここ出てったほうがええな」


くにが、おしんの次の奉公先を紹介するまでは
おしんを加賀屋で預かることにしますが、
待機の間、おしんはせめてものつぐないに
みみづくの人形を加代にプレゼントします。

おしんは何でもできるんだなぁと感心していた加代ですが
おしんが暇を出されてしまうことをウメに聞きます。


くには、新しい奉公先を見つけて来てくれました。
回船問屋の河田屋というところですが、
おしんの話をし、二つ返事で受けてくれたわけです。

分かる人には分かるんだ、
分からず屋の主のところで働くよりはマシ、とつい皮肉が出ます。

そこに、安静にしているようにと言われていた加代が飛び込んできます。
「なんね。おしんをどこにも連れてっちゃなんね」

おしんに突き飛ばされたのは、加代が無理言っておしんを怒らせたからで
そのそもそもの原因は私にある、と白状したのです。
加代にとっておしんは、ライバルであり大好きな友だちであり
取っ組み合いのケンカはしたものの、それが嬉しかったのです。

その言葉に、うれし涙を流すくにです。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
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[出演]
小林 綾子 (おしん)
小林 千登勢 (みの)
石田 太郎 (清太郎)
志喜屋 文 (加代)
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長岡 輝子 (くに)
伊東 四朗 (作造)
乙羽 信子 (おしん)
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制作:岡本 由紀子
演出:小林 平八郎

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