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2019年3月15日 (金)

連続テレビ小説おしん・青春篇(61)〜(66)

必死に走って逃げる加代、
それを懸命に追いかけるおしん。

 

橋のたもとで、加代はおしんに追いつかれます。
思い出せば、酒田の加賀屋で一緒に暮らしていた
少女期には、よく一緒にかけっこして遊んだものです。

 

おしんは、先ほどの喫茶店で用心棒に殴られ
つき飛ばされて足にけがを負っていました。
加代は、自分の家で手当てしよう、と連れて行こうとしますが、
おしんは、加代の変わらない優しさに涙を流します。

 

 

おばあちゃんになったおしんは、
圭と喫茶店でコーヒーを楽しんでいます。

よくよく考えてみれば、おしんの東京時代というのは
圭が言うように、おしんにとっての青春時代と
言い換えることもできそうです。

 

今になって思えば、ああしておけばよかったなどと
後悔することばかりではありますが、
加代に再会できたことは、
加代の人生を大きく変えてしまったことになったわけです。

 

僕には何も関係ないよ、お加代さんなんて人のことはさ、と
圭はあっけらかんとして言いますが、
おしんは圭から目線をそらしてつぶやきます。
「会わないほうがよかったんだよね、やっぱり」

 

 

加代の部屋で手当てを受けながら
おしんは思い切って安田浩太のことを聞いてみますが、
加代はそれには答えてくれません。

 

加代は、おしんと浩太のことを知っていながら
いわば略奪するような形で酒田を出奔してしまったことを
心から詫びます。
「浩太さんには、捨てられてしまったんだ」

 

東京に出てきて初めのころは
加代の家にもしょっちゅう来てくれていましたが、
それも初めのころだけで、今では寄り付きもしません。
もしかしたら自分のことを忘れてしまったのかもしれません。

 

おしんは、今こそ酒田に帰るように勧めますが、
実家を捨てた女だから帰る家なんてどこにもない、と加代。

 

そもそも加賀屋は小夜に譲ったのだから、と気にも留めませんが、
小夜は風邪が元で去年亡くなったことを伝えると
加代は涙をポロポロ流して悲しみます。

 

おしんは、もし浩太と幸せに暮らしていたら
酒田に帰れだなんて言うつもりもありませんでしたが、
浩太のことは諦めたと言うものだから、
それだったら加賀屋の後継ぎとして戻るように勧めたのです。

 

しかし、加代にはそんなつもりはありません。
浩太のことを完全に諦めたつもりはなくて
今はたとえ会えなくても、待っていれば
いつか会えるかもしれない、と考えているのです。

 

「どんなにひどいことされたって、
 私には初めて好きになった人なんだ」
何もかも捨ててついてきた人だから待っていたい。
だから酒田には帰らないし、自分のことは黙っていてほしい。

 

加代の浩太を思う熱い気持ちに、
おしんは不思議とさっぱりとした気分になっていました。

 

 

翌日、喫茶アテネの控室に入ったおしん。
染子は、銀座でおしんが受けた暴行事件を
出髪の依頼を出した田倉竜三に聞いていまして
申し訳ないことをした、と謝ります。

 

おしんはもうこりごりしておりまして、
銀座なんかお高いところに行かなくても
ここで愛顧を受けていく、と決めました。
染子も、それがいいと賛成してくれます。

 

表に、おしんのお客さんが来たというので出てみると
加代でした。
どうしても知らせたいことがあると
おしんの出髪先を知っている人に教えてもらったそうです。

 

一度、酒田に帰ることにしたのだそうです。

 

東京の部屋はあのまま残しておき
浩太がいつやってきてもいいような状態にしておくそうです。
もし帰ってきたら、おしんが自分に代わって
浩太の面倒を見てやってほしい、という依頼でした。

 

もし何か変わったことがあればすぐに東京に戻ってくるし、
勘当の身でしょうから、追い返されて戻ってくる可能性もあります。
今生の別れではないのだから、と駅での見送りは断ります。
「私には誰よりも浩太さんが大事なんだよ」

 

おしんが店先で話していた女給について
染子たちがいろいろと話しています。
銀座の女給で、一番の売れっ子なんだとか。
山形の女学校出身で、絵も描ける。

 

加代の情報そのまんまですw
それにしても、そんな情報がダダ洩れだなんて
相当すごいのですね、加代。

 

 

店が終わり、たかに事情を話して外出の許可を得たおしんは
帰省する加代のために、手伝えることをしたいと部屋を訪れます。
加代が不在の間、この部屋の管理を申し出たおしんですが、
どっちみちたかの店を出されることになっているので、
時間はたっぷりとあるし、そのほうが都合がいいのです。

 

そこに、店を休んでいる加代を心配して竜三が訪ねてきました。
加代の無事と、横に立っているのが
先日無実のケガを負わせてしまったおしんに気付いた竜三は
加代とおしんを食事に誘います。

 

おしんには、初めて見るワインです。

 

そして、竜三との初めての出会いでもありました。
しかしおしんにとっては、全く生きる世界の違う男でした。
毎日のように方々の喫茶店に出入りしているこの男が
おしんにはばかばかしく思えました。

 

加代はその日の夜行で上野を発ちます。

 

 

酒田の加賀屋に帰ってきた加代。

 

表はかつて見た姿のままで安心した加代は
裏に回って家の中に入ります。

 

誰だ、と新参の下働きの娘に咎められて
若奥様のみのが呼ばれますが、
母と娘の数年ぶりの対面に、言葉もありません。

 

くにも清太郎も駆けつけますが、
くには加代の顔を見るなり平手打ち。
しかし加代はくにには反発しません。

 

親もおばあちゃんも家も捨てて飛び出したのだから
その親不孝の罪は甘んじて受ける、と。
しかしくにも加代も追い返すようなことはせず
まずは家に上げてやります。

 

 

おしんは出髪に赴き、空いた時間を活用して
加代の部屋の大掃除にとりかかります。
それが加代と浩太のためであると
信じて疑わなかったのです。

 

そして店に戻ればいつも通り
下働きの仕事が待っています。
もう店を出る身とはいえ、与えられた仕事はしっかりこなさないと
たかにも先輩方にも申し訳ないという気持ちだったのです。

 

たかはおしんの一人暮らしの家を見つけてきました。
おじいちゃんおばあちゃんが住んでいる2階で家賃も安く、
店からほど近いので、何かあったら相談に乗れるし
店が忙しければ手伝ってもらうこともできます。

 

引っ越し、と言っても荷物が極端に少ないおしん。
家財道具は染子たちが揃えてくれると言うのです。
おしんは恐縮しますが、今まで髪代をとらずに出髪してくれたので
その分のお礼も兼ねているのかもしれません。

 

「誰も助けちゃくれない。誰も頼りになんかできない」
おしんの腕一本で生きていくんだから、と
たかは巣立っていくおしんに声を掛けます。

 

 

間借りした家に入ると、染子たちが
部屋の掃除をしてくれていたところでした。
そして、約束した家財道具、ちゃぶ台、座布団、布団、
土瓶に湯飲み、やかん、鍋、食器、火鉢、針道具にいたるまで。

 

染子たちは、もしかしたらこの部屋で
客を取ることもあるだろうから、と
鏡台もプレゼントしようと考えていたのですが、
やはり価格が高くて手が出ません。

 

おしんはそんな染子たちに感謝しつつ
しばらくは出髪でいくつもりです。

 

 

加代は、加賀屋に戻ってきたことで、自分の予想以上に
加賀屋の後継者という、自分に対する責任のようなものを
感じずにはいられませんが、後を継ぐつもりは全くなく
絵の勉強をするために再び東京に戻るつもりです。

 

それが認められなければ
喫茶店で女給の仕事をして
生活しながらでもしていかなければ
生きていけません。

 

くには、絵の勉強というのは単なる言い訳で
おそらく東京に男がいるんだろうと考えています。

 

お年頃の加代です、それが悪いというわけではなくて
一生を添い遂げたいという男がもしいるのであれば
どうして一緒に帰ってこなかったのか、と尋ねます。
それだけの覚悟を持って女親に会いに来るべきだ、と。

 

 

おしんに鏡台が届けられました。
送り主は竜三です。

 

いきなりそんな高いものを送られても
もらう筋合いはない、と返してしまうおしんでしたが、
竜三はどうしてもこの前の詫びをしたいと
その鏡台とともにまた現れたのです。

 

しかも、大家の老夫婦にもけっこうな贈り物をしています。
おしんは、竜三が何を考えているのか分からず
スキを見せまいと平静を装っていますが、
内心はとても迷惑な人と感じていました。

 

 

加代に見合い話が持ち上がります。
大阪にある取引先の三男で、東京帝国大学を今年卒業した
加賀屋の婿としては一番お似合いの男性であります。

 

かつてくには加代にひと月ここで待てと話したことがあります。

 

それは、もし東京に加代のことが好きな男性がいたならば
その間にでも手紙をよこすなり訪ねてくるなりしたであろうと。
そしてくには、その男を加賀屋に
住まわせる覚悟までしていたそうです。

 

加代が帰ってきてからひと月、
そういう男からのアプローチがなかったために
くには、加代の見合いを断行したわけです。

 

加代は、その日のうちに酒田を発つ決心を固めますが
それを予測していたくにに引き留められ、
無理やり出ていこうとすると、くには心労で倒れてしまいます。

 

加代の東京行きは、果たせなくなりました。
お見合いを済ませはしましたが、
加賀屋の跡を継ぐ決心をしたわけではないし
浩太のことを諦めたわけでもありませんでした。

 

そのことを加代からの手紙でおしんは知ったのですが、
おしんは、加代の部屋を掃除しながら
できることなら加代がこの部屋に戻ってくることなく
加賀屋の跡を継いで幸せになってほしいと強く願っています。

 

 

おしんがたかの店を出てからひと月、
今までのお客さんが新しいお客さんを呼んでくれるようになり
一人10銭という安価で請け負っていますが、
それでも売上総額はひと月で50円。

 

当時の初任給で25円~30円が相場でしたので
19歳の娘がひとりで稼ぐには相当な大金であります。

 

そのもうけを元に、お礼も兼ねて
たかに打掛と、先輩たちにお茶菓子を買ってきますが、
たかには、自分たちに気を使う前に
お母さんに何か買ってあげなよ、と言われます。

 

むろん、おしんはそのつもりでした。
諸経費を引き、たかたちへのお礼の代金も差し引いて20円。
それを郵便為替で送るつもりだったのです。

 

子供のころに年季奉公に出された身を考えれば
20円という大金に頬もほころびます。
おしんは数年ぶりに母に手紙をしたためます。

 

 

酒田の加代から竜三に電話があり、
どうしてもおしんと話したいから
昼過ぎにまた電話するので、おしんを電話口で
待たせておいてほしい、と依頼があり、竜三が呼びに来ました。

 

おしんは田倉商会の中で待たせてもらうことになりましたが、
竜三は仕事中ですので、部屋の奥で忙しそうにしています。
田倉商会は洋服の生地を扱う問屋で、
なかなか活気がありおもしろそうな会社です。

 

おしんが感心していると、加代から電話が入ります。

 

結局は酒田で婿を取ることになり、東京には行けなくなりました。
しかし祝言の日までに浩太が帰ってくれば、
すぐにでも東京にいくから知らせてほしいと頼まれます。

 

 

その日の夜、いつものようにおしんが加代の部屋に行くと
誰か男が後ろに立っていました。
……浩太でした。

 

 

「おばあちゃんが、お加代さんの人生を狂わしちまったんだよ……」
おばあちゃんのおしんは、バーで圭と飲んでおりまして
おしんにしては珍しく、レモン割をぐぐぐっと一気飲みします。

 

どうしてあの時浩太と出会ってしまったのか。
浩太に会わなかったら、こんなに一生苦しむことはなかったのに。

 

 

思えばあの日、3年前の5月20日。
酒田の駅を降りて、待ち合わせたおしんを
東京に連れて帰るつもりだったのですが、
現れたのは、おしんではなく加代でした。

 

おしんは酒田で結婚相手が決まり、結納の日でした。
浩太は正直、それでよかったのだ、と思っていました。
労働環境改善のために動き回っている浩太には
おしんのことを幸せにしてあげられる自信がなかったのです。

 

今はそれが、加代です。
加代は祝言を挙げるまでもう幾日もありません。
今ならまだ間に合います。
酒田に電話すれば……。

 

急いで電話をしにいこうとするおしんを
余計なことはしないでほしい、と浩太は引き止めます。
加代が婿を取ると決意したなら、それでいい、と。
今から東京に出てくると言ったって、それが何になるのだ。

 

おしんは、好きな人のためなら苦労はいとわない
女の気持ちを分かっていない、と浩太を責めますが、
浩太は、加代もおしんも自分のことは忘れてほしい、と言います。
「4~5日ここにいる。一人にしてくれないか」

 

翌日、おしんは酒田に向かいます。

 

 

酒田の加賀屋に入ったのは、小夜が亡くなって以来です。
みのが、おしんが加代の祝言の祝いに来てくれたと
喜んでくれますが、くにが病床に付していることは知りませんでした。

 

加代と会ったおしんは、浩太が戻ってきたことは何も話さず
祝言の時の髪を結わせてほしいと頼みます。
それで加代の門出を祝わせてほしいわけです。

 

 

酔って圭に連れて帰られたおしんおばあちゃん。

 

もし浩太が戻ってきたことを加代に知らせて
加代が東京に戻ってきていたら
それはそれで加代の人生を変えることになる。

 

浩太のことを知らせなかったとしても
加代の人生をおしんが変えたことになりますが、
それは加代に対して裏切ったとも言え
おしんは泣き出します。

 

「浩太さんが何と言ったって知らせなきゃいけなかったんだよ」
おばあちゃんのせいだよ……と
加代の人生を狂わせてしまった自分を責め続けます。

 

圭は、おしんが愚痴をこぼしたり
弱音を吐いたりする姿を見たことがありませんでした。
それだけに圭は、おしんに隠された心の痛みの大きさを
まざまざと見ていたのです。

 


 

作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
──────────
[出演]
田中 裕子 (おしん)
渡瀬 恒彦 (浩太)
並木 史朗 (竜三)
東 てる美 (加代)
小林 千登勢 (みの)
──────────
長岡 輝子 (くに)
渡辺 美佐子 (たか)
大橋 吾郎 (圭)
乙羽 信子 (おしん)
──────────
制作:岡本 由紀子
演出:小林 平八郎

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