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2019年3月22日 (金)

連続テレビ小説おしん・青春篇(67)〜(72)

加代の祝言の日。

 

その日、おしんは
精魂込めて加代の文金高島田(まげ)を結います。

 

「今日からは加賀屋の人間として
 ご恩に報いられるよう精一杯努めます」
手をつく加代に、くには病床で涙を流します。

 

東京の加代の部屋に、浩太が帰ってきたことは
おしんはついに口にはしませんでした。
その加代への裏切りがおしんには重かったですが、
これでよかったのだと自分を納得させていました。

 

「加代には不憫なことをしたと思っとるんだ」
加代の男のことをおしんに尋ねつつ、
加賀屋の娘に生まれてしまったばかりに
余計な苦労を背負わせたとくには後悔します。

加賀屋の奥に、ふじや作造のことをよく知る
おりきが祝言の手伝いに入っておりまして、

 

おりきが言うには、ふじ宛てに送った郵便為替も
作造にたちまち存在を知られることになり、
20円は取り上げられることになってしまったのだそうです。

 

ふじの立場が哀れだと思ったおしんは
もうすぐ村に帰るというおりきとともに
里帰りしようかとも思いましたが、
やめとけ、と止められます。

 

おしんはおしんで知らん顔して
自分の道を歩いたほうがいい、と。
今家に帰っても父や兄に何をされるか分からないし
何より母のふじ自身が喜ばないよ、というのです。

 

であれば、母を東京に連れて行く、とおしんは宣言します。
ふじを東京に連れてきたって大丈夫なほど
かせげるようになったのです。

 

実家に戻るおしんですが、兄の庄治には
借金だらけの家のことは押し付けて自由気ままに髪結いか、とか
長男に生まれたばっかりに朝から田んぼで働いて、とか
日ごろたまっているうっぷんをすべておしんにぶつけます。

 

そして未だにおしんの仕送りを当てにしている父と兄に
おらが承知しないからな、とふじは噛みついていますが、
それで兄が家を出ていき、ふじは作造に暴力を振るわれます。
必死に止めるおしんの声も届きません。

 

やはり母親はここには置いておけない。
東京に連れていくんだ、とおしんは固く決意します。
「母ちゃん……一緒に東京さ行ぐべ。一緒に暮らそ」

 

ごめんだな、とふじはつぶやきます。
そもそもこの村に骨を埋めるつもりで嫁に来たし、
田んぼで農作物を作っているのが何より癒しなのです。
おしんの足手まといになるのもいやなのです。

 

ふじは、自分が母親らしいことは何一つしてあげられないのに
おしんは一人でしっかりと自立して生きている。
それだけで何よりの親孝行だ、とおしんを諭します。

 

おしんが東京に戻るとき、作造と約束します。
これからはなるだけ仕送りするから早く借金をなくしてくれ。
その代わり、母ちゃんを大事にしてくれ、と。

 

 

おしんが久々にアテネに戻ってきました。
染子たちは待ちわびた様子で
でも今までと同じようにおしんを出迎えてくれます。

 

加代の部屋に立ち寄ったおしんは
浩太に後ろから口を押えられます。

 

浩太はカーテンを少し開けて外の様子を伺います。
最近では何かちょっと活動をすると
刑事にすぐにマークされてしまうのです。

 

加代に、東京にある荷物は
すべて捨ててしまってくれと依頼を受けているおしんですが
浩太が隠れ家として使用するなら、
しばらくこの部屋をそのままにと提案しますが、

 

もうすぐに東京を発つ浩太には必要ないことです。
おしんとももう会えないかもしれません。
おしんは浩太のことを忘れたつもりでいましたが、
何か未練のようなものを感じずにはいられませんでした。

 

浩太のために朝早くに弁当をこしらえたおしん。
加代の部屋に届けると、浩太はすでに出て行った後でした。
万年筆とともに置き手紙があります。
『僕が使っていた万年筆です。使ってください』

 

その直後、男が二人部屋に押し入ってきます。
おしんには二人が刑事であることはすぐに分かりました。
刑事たちが浩太を追っているのだと理解すると同時に
おしんはとんでもない立場にさらされていると悟ります。

 

 

昨日はあんなに酔っぱらっていたおしんおばあちゃんですが、
おしんにも面倒くさいという気持ちがあるようで、
着物をバッチリと着て食堂でいただくのはもううんざりしていまして、
今日は少し贅沢して、朝食を部屋に運んでもらいます。

 

そのサインをした万年筆は、まぎれもなく浩太が使っていたものです。
いつ、どんな時にでもその万年筆を肌身離さず持っていたおしん。
現在ではもっと手軽に、便利に使える万年筆があるというのに
ずっと使い続けています。

 

幼いころに助けてもらった俊作にもらったハーモニカと
浩太にもらった万年筆は、
おしんにとってはかけがえのない思い出なのです。

 

圭は、浩太がどうして警察に追われていたのか不思議ですが
当時は治安警察法という法律によって
ストライキを起こしたり労働組合を作ったりすることはご法度で
国家の平和を脅かす不穏分子だとして検挙されていたのです。

 

 

おしんは警察署に連行されます。

 

出髪を待っていた染子たちですが、
いつもは時間ぴったりにやってくるおしんが
今日に限って連絡もよこさずに来ないというのはおかしいです。

 

染子がおしんの下宿先に行ってみると
大家のおばあちゃん曰く、
おしんは早朝出て行ったきり帰ってきていないし
調べたいことがある、と刑事が二人駆け上がって
部屋の中をひっくり返していったそうです。

 

 

朝連行されたおしんは、夜に釈放されます。
おしんが口を割ったわけではなく
身元引受人がやってきて、
浩太とは無関係であることが証明されたのです。

 

「一日棒に振ったんです。どうしてくれるんですか!!」
と刑事に訴えますが、軽くあしらわれ
取調室を出てみると、迎えてくれたのは田倉竜三でした。

 

おしんの下宿先で聞いた内容を元に
恐らく警察に連行されているらしいことをつかんだ染子が
竜三に泣きついて、竜三は警察に掛け合ったようです。

 

帰り道、徳屋で牛鍋をいただくおしんは竜三に頭を下げますが、
この青年を不思議な人だと思いました。
押しつぶされそうな気持ちが、竜三の笑顔を見ているとなぜか和み
今日一日の悔しさ腹立たしさも何でもないように思えてきます。

 

竜三に勧められるまま、牛鍋を食べるおしんです。
こんなおいしい肉を食べたのは初めてです。

 

しかし、このことがきっかけで
下宿先を追い出されてしまう結果になりました。

 

 

一方、竜三ですが
世話役の源右衛門が苦々しい顔をして
竜三の帰りを出迎えます。

 

染子のような女を店先に近づけるような
竜三の心構えについて説教する源右衛門ですが
竜三には、その声は全く届いておりません。

 

それよりも、竜三の女遊びは母親も心配するところでして
母親は竜三へ見合い話をもってきているようです。
源右衛門が顔をほころばせながら写真を見せると
「自分の嫁は自分で探す」と写真を見ずに返します。

 

 

おしんは翌朝、厄介をかけたお礼に
酒を持ってお礼に伺いますが、
下宿先を出されたことを知った竜三は
これを機会に自分の店を持ったらどうだ、と勧めます。

 

田倉商会が出資し、
もうけの中から少量ずつでも返済してくれれば
竜三としてはそれでいいのですが、
出髪が性に合っているとおしんは断ります。

 

 

忙しい毎日は矢のように過ぎて
大正8(1919)年も暮れて
大正9(1920)年、おしん20歳の春です。

 

久々に加代から手紙が届きます。

 

加賀屋では、婿養子が仕事と称して
毎日毎日芸者遊びにうつつを抜かしているようで
婿養子だからと多少は目をつぶっていたくにやみのも
だんだんとうっぷんがたまってきておりました。

 

しかし加代は、加賀屋の仕事をしてるんだからと
大して気にも留めません。
しかし夫は、芸者を抱いてきたのに
嫉妬すらされない男なのかと逆上するありさまです。

 

 

加代からの手紙はいつも穏やかで
それなりに幸せであると信じて疑わなかったおしんですが、

 

加代に浩太を会わせたほうが
やっぱり加代にとって幸せだったのかもと、
おしんおばあちゃんは考えています。

 

 

おしんが家を出て行ったきり帰ってこないためか
社長の仁が、今や白髪のおじいさんとなった浩太に
挨拶に参上します。

 

スーパーたのくらがこの町に店舗を出店するにあたり
その考えと相反する立場の浩太ではありますが、
いわば敵である仁があいさつに来たいというので
受け入れたまでです。

 

スーパーたのくら17店舗目がオープンしたばかりですが
大手スーパーがこの町の駅前に出店をもくろみ、
商店街や土地を買収し始めている動きがあり、
小規模たる自社は廃業の憂き目にあうのは必定なのです。

 

仁が浩太を訪ねたそもそもの目的は
浩太が率いる並木食料品店に
その大手スーパーに土地を譲渡しないでほしいと言うのです。

 

「せっかくだが、私には何もしてあげられません」
もうすでに隠居の身で、何も力を持っていないし
行使しようとも思っていません。

 

おしんがこんな大事な時に
家を空けて旅に出ているのも、
それを分かっているからだ、と浩太は言います。

 

 

おしんおばあちゃんは、圭とともに
田倉商会の思い出をたどっていました。

 

あのビルの辺り……とあちこち歩いてみますが
今は風景ががらりと変わり、全くわかりません。

 

 

おしんは、いつものように
染子たちから代筆を頼まれます。
その中にはもちろん、竜三に宛てたものも含まれまして、
竜三の元には同じ筆跡の便せんが何通も届けられます。

 

竜三は、その手紙の内容を読まずに破り捨てますが
不景気になった今、竜三は
喫茶店めぐりもそろそろ飽きてきたそうなのです。
そうとは知らずにおしんは手紙の代筆を続けます。

 

 

竜三の母・清が上京してきました。

 

源右衛門が竜三にそろそろ嫁御をと考えて
清に打診したところ、器量も家柄も申し分ない娘がいるそうで
その娘との見合いをしてもらうために佐賀から出てきたのです。

 

自分の嫁は自分で見つける、という竜三ですが
一人で大きくなったと思ったら大間違い、だの
親の顔をつぶすことがないように、だのと言われれば
聞かずん坊の竜三でも、言うことを聞かざるを得ません。

 

髪結いを呼んでくれ、と言われて
出髪をしてくれる人なら知ってるよ、と
竜三はおしんに使いを走らせます。

 

髪結いも終わり、東京で流行っているらしいと知って
清はとても気に入ってくれます。
髪型を気に入ると同時に、清は
礼儀正しいおしんのことも気に入ったようです。

 

「あの子と一緒になりたいんだ。あの子を嫁にもらいたいんだよ」
突然の息子の発言に、キョトンとする母親です。
おしんの知らないところで、田倉家では
嵐が吹き荒れようとしていました。

 


 

作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
──────────
[出演]
田中 裕子 (おしん)
泉 ピン子 (ふじ)
渡瀬 恒彦 (浩太)
高橋 悦史 (仁)
並木 史朗 (竜三)
東 てる美 (加代)
小林 千登勢 (みの)
高森 和子 (清)
今福 将雄 (源右衛門)
──────────
伊東 四朗 (作造)
長岡 輝子 (くに)
大橋 吾郎 (圭)
乙羽 信子 (おしん)
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制作:岡本 由紀子
演出:竹本 稔

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