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2019年3月31日 (日)

大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・(13)復活 ~国境越えた友情! 青春編が今夜完結~

金栗、敗退──。

 

大日本体育協会には、金栗四三の
ストックホルムオリンピックでの結果が
新聞記者・本庄からもたらされ
衝撃の、棄権という報告となりました。

 

日射病でした。
北欧であるストックホルムでも、日影でも30度の灼熱地獄。
68人中34人が途中棄権したわけです。

 

敗退から数時間後、ダニエルと共にマラソンコースを歩く。
レース中のこと、全く身に覚えなく、奇妙なり。

 

折り返し地点までやって来て、少しずつ記憶を思い出します。
教会の鐘の音、ラザロと競い合ったこと。

 

そして17マイル地点の運命の分岐点で、
幼い頃の四三少年の幻想と出会い走って行く方向へついて行ったのが、
コースとは違う方だったのです。
どうりでラザロは追いかけて来なかったのです。

 

コースを間違えたままフラフラ走る四三は
市民の、今まさにパーティが開かれていた家の庭に入り
後ろからついてきたランナーたちには正しいコースを教えつつ
四三だけは大きな木のそばで倒れてしまいます。

 

パーティをしていた市民たちは、慌てて
そこにあったレモネードを与えパンをくわえさせます。
そして木のそばで寝かされたまま、
ダニエルたちに発見されるのです。

七月十五日、大敗後の朝を迎ふ。
終生の遺憾のことデ心うづく。
余の一生の最も重大なる記念すべき日なりしに
これ日本人の体力の不足を示し、技の未熟を示すものなり。

 

大会翌朝の新聞で、13位までの選手がオリンピック新記録と聞き
あの灼熱地獄でも耐えうる強靭な体力に笑うしかない四三ですが
四三と競い合ったラザロは、意識不明で病院に搬送され
日射病による髄膜炎のために亡くなったとのことです。

 

「ストックホルムの悲劇だよ。君も危なかったね」
三島弥彦は、落胆した様子で四三に語りかけます。
あの別れ道で、ラザロと同じ道を走っていたら
もしかしたら四三もラザロと同じだったかもしれません。

 

四三の心の中に、正しい道を走って亡くなったラザロと
間違えた道を走って助かった自分の
どちらがよかったのか、という答えのない疑問を抱えます。

 

 

日本の新聞は、四三のレース結果を伝えます。
そして同じころ、大日本体育協会、東京高等師範学校、
金栗家、池部家に、2週間前にしたためられた
四三からの手紙が届きます。

 

ここまでこれたことに対する感謝の気持ちと、
大会に向けての意気込みがつづられていて、
そのマラソン大会の結果が分かっている人々は
さらに表情をくもらせ、悲しみます。

 

 

初高座を迎える当日の三遊亭朝太は
屋台で安い牛めし、ワニラを食らっています。
食にありつきたい犬が睨んでいるので、
ワんがニラむ、ということでワニラです。

 

俥屋の清さんは、播磨屋の黒坂辛作が
初高座の朝太のために着物を縫ったらしく
それを持って激励に来てくれます。
持つべきものは友だな、と朝太はつぶやきます。

 

着物を届けてハッパをかけてきた清さんは
客席にたどり着き、待ち合わせをしていたらしい
遊女の小雪と、美川秀信と合流します。

 

いよいよ、高座が始まります。
しかし。
朝太が出てきません。

 

「うそでーす。飲んでまーす」
怒らないから言ってごらん、と師匠の橘家円喬に言われ
最初はシラを切っていましたが、ついに白状します。
金はないのですが、もらった着物をそのまま質に入れたのです。

 

しかも演目は「富久」と言うではありませんか。
暮れでもないのに、しかも初高座で「富久」!?
円喬はあきれ果てますが、それ以上は何も言いません。

 

ふらふらのまま高座に上がり、噺を始めますが
ふっと顔を上げると、40〜50の眼がこちらを睨んでいます。
それに圧倒されて頭が真っ白になり、次の言葉が飛んでしまいます。
裏で、あっちゃー、という顔の円喬。

 

「あっ、あっ、真面目なんだけど、えー、酒癖が悪いのが玉にキズ!」
そう開き直った朝太に、清さんが思わず
それはお前じゃねえか! と突っ込みます。
たちまち沸き起こる爆笑の渦。

 

朝太の脳裏に、円喬の教えが降ってきました。
噺はね、耳で覚えちゃいけないよ。足で覚えるんだよ──。

 

何往復もした道をふと思い出すと、
自然とつぎの言葉が出てきます。
臨場感あふれる語り口と、テンポのいい話し方で
客の心を魅了していきます。

 

しかし、まさにヤマ場に入ろうとしたその時
バタッと倒れた朝太。
「すいやせん……頭痛いんで、今日はここまで」
えーっ!! というどよめきを受けながら、下がります。

 

 

ラザロが倒れた場所に、花が供えられます。

 

クーベルタンは、初めてのオリンピックでの死者を悼み
義援金を募って遺族に送ることにします。
ポルトガルの代表は、彼を捧げるために
4年後のオリンピックでもマラソンを続けるように求めます。

 

人 笑はば笑へ。
ストックホルムにて重任を全うすること あたはざりし口惜しさ
死してなお足らざれども 死は易く、生は難く
その恥をすすぐために粉骨砕身して
マラソンの技を磨き、もって皇国の威をあげん。

 

嘉納治五郎は、次のオリンピックに戻って来るという強い意志で
だからこそ閉会式を待たずに帰国することにします。
四三と弥彦は帰国にあたり、兵蔵に挨拶して帰りますが、
兵蔵は、再び日本の地を踏むことはありませんでした。

 

そして四三はスウェーデンで、
"Missing Japanese"(消えた日本人)と呼ばれるようになります。

 

スウェーデン滞在、実に四十八日目。
我、ついに水の都に別れを告げる。
いざ、ベルリンへ。

 

1916年オリンピック・ベルリン決定──。

 

 

※このドラマは、史実を基にしたフィクションです。

 


 

作:宮藤 官九郎
音楽:大友 良英
題字:横尾 忠則
噺(古今亭志ん生):ビート たけし
──────────
[出演]
中村 勘九郎 (金栗四三)
綾瀬 はるか (池部スヤ)
生田 斗真 (三島弥彦)
永山 絢斗 (野口源三郎)
勝地 涼 (美川秀信)
──────────
森山 未来 (美濃部孝蔵(語り))
橋本 愛 (小梅)
峯田 和伸 (清さん)
松尾 スズキ (橘家円喬)
──────────
中村 獅童 (金栗実次)
宮崎 美子 (金栗シエ)
──────────
杉本 哲太 (永井道明)
シャーロット・ケイト・フォックス (大森安仁子)
古舘 寛治 (可児 徳)
竹野内 豊 (大森兵蔵)
役所 広司 (嘉納治五郎)
──────────
制作統括:訓覇 圭・清水 拓哉
プロデューサー:家冨 未央・吉岡 和彦
演出:井上 剛

 

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

 

NHK大河ドラマ『いだてん』
第14回「新世界」

 

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
BS4K:午前9時〜

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