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2019年5月10日 (金)

連続テレビ小説おしん・試練篇(109)~(114)

大正12(1923)年新春、

田倉家は明るい話題が絶えませんでした。

1月14日、おしんが無事、長男を出産したからであります。

田倉竜三は、その子を「雄」と名付けます。

 

雄のお七夜の祝いで、髪結いのおたかをはじめ

喫茶アテネの染子たち、

それに出店で世話になった健も駆けつけて

田倉家で執り行われることになりました。

 

彼らは陰ひなたなくおしんを助けてくれた人たちであり、

おしんの苦労を知っている人たちであります。

そんな人たちに囲まれて、おしんは幸せいっぱいです。

 

ふじは、地主の三男坊で会社社長の妻になったのだから

苦労もなにもあるわけはないと思っていましたが、

話に聞けば、苦労に苦労を重ねてきたわけです。

とはいえ、すべてが竜三のせいというわけではなく

不景気という情勢も大きくかかわっています。

おしんは、このまま山形に帰っても
兄貴夫婦と折り合いがつかないのだから
せっかくなら東京で暮らせばいい、と助け船を出しますが
居候ではいやだ、と山形に帰る選択肢を選びます。
「母ちゃん山形の家で頑張るから」
いつでも帰ってこい、お前の実家なのだから、と
ふじはつぶやきます。
ふじが山形に帰る日、
日本橋から上野へ人力車を手配し
ふじは帰っていきました。
ふじが帰って間もなく、今度は
佐賀の実家から大五郎がやってきました。
雄の誕生をとても喜んでくれます。
ただ、母の清はいまだにおしんをよく思っていないようで
竜三はそれに対して文句をたらたらと言いますが、
清には清で竜三の許嫁として夢があったのだ、と
大五郎は代弁します。
竜三も、母親に認めてもらいたいという気持ちが
人一倍強いのだろう、と笑います。
だからこそ、大五郎の竜三への資金援助は
おしんは断りを入れます。
大五郎は、竜三を男にしてやりたいと思っていて、
その意味でおしんに協力を仰いでいるわけです。
30台のミシンで製品を作れるような
工場の敷地が見つかります。
近々競売に出されるそうですが、
何としても競り落として見せる、と鼻息荒いです。
そんな間でも、糸子がミシン針で
指を縫ってしまう事故が発生し、
糸子を病院に運んでいる間、
おしんがその代わりとしてミシン台を扱って縫い続けます。
そんな時、酒田から加代がやってきました。
竜三もおしんも、加代との再会はそこそこに
糸子の処遇について口喧嘩を始めてしまいます。
働けなくなったのだから、治療費も田倉商会が持つべきだし
働けない間の給料だってしっかりと払っていきたいおしんに対し
けがをしたのはあくまで糸子であって、自業自得なのだから
働けない間の面倒も見れないし、クビが当たり前だという竜三。
おしんには、製紙工場でぼろ布になるまで働かされて
病気になったらクビになって手当もなく、病院にもかかれずに
亡くなってしまった姉のことが念頭にあったのかもしれません。
それを言い出してしまうと、竜三が折れるしかないのですが、
ふたりは、加代を放ったらかしで
夫婦喧嘩をしてしまっていました。
ごめんなさい、つい、と弁明するおしんですが、
加代は、夫婦喧嘩をできるふたりがうらやましくもあります。
加代の前から姿を消した安田浩太も同じことを言っていました。
働く者には、働く者の人権を守るように要求する権利があるし
使用者にはそれを守る義務がある、と。
そもそも加代は何の用事で上京してきたのか。
雄の出産祝いは単なる口実で、
何か言いたいことがあったからではないのか。
加代を知り尽くすおしんには、そんな気がしています。
その不安は的中するわけです。
好きでもない男と一つ屋根の下に暮らすのはもうごめんだ、と
加代は上京して、東京で働くつもりなのです。
腐っても鯛、腐っても帝国大出身の男です。
いまや加賀屋は、あの旦那がいなければ
動かない家になってしまいました。
旦那がそとで子供を作っても、加代は我慢を強いられるのです。
「おしん……浩太さんの消息が分かったんだよ」
農業組合を全国に作ってきた浩太は
いま、東京の実家に戻っているそうです。
しかし今は、加代の立場というものが違います。
昔は美術を習う学生の身分であっても、
今や加賀屋の女将という立場です。
おしんがそれを指摘する前に、加代は飛び出していってしまいます。
朝早く、加代は浩太がいる高倉家へ電話を入れます。
まだ休んでいることを知ると、折り返しの電話を依頼するのです。
加代は浩太に会うと言っているのです。
竜三はおしんに、加代についていってあげなさいと言います。
加代が前後の見境がなくなっている以上、
分別がつくおしんが一緒のほうがよさそうです。
会わさないほうがいい、というのはもっともなのですが、
浩太が東京に帰ってくる前に酒田に向かわせたのはおしんですし、
加代のアパートに浩太が帰ってきても、
それを加代には伝えなかったのもおしんであります。
浩太への思いが大きくなった今、その責任の半分は自分にあります。
おしんは、浩太と会わせてやりたいという気持ちになっています。
やがて浩太から折り返しの電話があり、
待ち合わせのために加代は出かけていきました。
おしんは、自由奔放に動ける加代をうらやましく思っていました。
それに引き換え、一般の家庭人として子供のおしめを干している
自分が妙に情けなくなっているのも確かです。
もともと浩太は自分と結ばれるはずであったのに
加代に奪われ、今またよりを戻そうとしています。
おしんは、言い知れぬ嫉妬心を加代に抱いています。
加代は、今の生活のすべてを捨てて
浩太のために、と考えていますが、
浩太が求めているのはそんなことではないらしいです。
浩太は、加代にお詫びを言いたかったのです。
浩太にとって、加代は
青春のかけがえのない思い出ではありますが、
二度と加代を不幸にすることはできないのです。
帰宅した加代は、おしんには何も語らず
ただひたすらに布団をかぶって寝ていました。
ただその異常さが、加代のショックを物語っていて
おしんは下手に言葉をかけることさえためらっていました。
しばらくたつと、加代は階下に降りてきて
酒田に帰って加賀屋のために子供を産む、と言い出します。
亭主が生ませた妾の子ではなく、自分が生まなければ
やるせないのです。
おしんは、夫婦の大切さについて痛感していました。
もしだめなら、一から出直せばいいんだ、
そう思って、竜三悲願の作業工場作成にとりかかります。
8月末、工場の新築祝いは9月1日になりそうです。
当日、竜三の執念のような努力が実り
田倉商会裁縫所が完成しました。
工場で祝賀会があった後、
工場内で祝宴が開かれる予定です。
源右衛門は雄をだっこしたまま
ひとまず留守番として田倉商会へ戻ることにします。
田倉商会では、髪結い長谷川のおたかや
染子たちが一足早くお祝いに駆けつけてくれましたが、
おしんと竜三は、田倉商会の子供服切り替え後
1周年ということもあって、その準備で工場のほうです。
工場のほうでは、祝宴の準備が着々と進んでいます。
そんな中、突然東京の街を大地震が襲います。
関東大震災です。
招待客も、ひとまず建物の外に避難をし
気絶しているおしんは、竜三とたかが運び出します。
そして家のほうが心配だからと
竜三とふたりで自宅に戻るおしんです。
おしんは、ふと我に返りながら
この地震がただ事ではないことにようやく気付きます。
田倉商会は、倒壊していました。
悲鳴を上げるおしんは、
竜三が止めるのも聞かずに中に入りますが、
倒れている柱の奥に、雄の手が見えました。
そして源右衛門が、雄を守って
亡くなっていました。
昼時ということもあり、各所で火災が発生していまして
風下に当たるこちらの地区への延焼が見込まれる中、
広場に避難することにします。
おしんは、いつまでもいつまでも
源右衛門のそばを離れませんでした。
この世の地獄を、ただ歩いている竜三とおしん。
ふたりを奈落の底に突き落としたのは
さらに後のことでした。
<hr />
作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
──────────
[出演]
田中 裕子 (おしん)
泉 ピン子 (ふじ)
並木 史朗 (竜三)
東 てる美 (加代)
今福 将雄 (源右衛門)
──────────
渡辺 美佐子 (たか)
北村 和夫 (大五郎)
渡瀬 恒彦 (浩太)
─────────
制作:岡本 由紀子
演出:小林 平八郎

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