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2019年5月19日 (日)

大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・(19)箱根駅伝 ~感動 第一回箱根駅伝は五輪に通ず!~

日光から東京まで130kmを20時間ぶっ通しで駆け抜けた韋駄天、
“もう日本に走る道は無か”とつぶやきます。
そんな韋駄天・金栗四三が次に何を考えたかというと──。
「次はアメリカ横断ばい!」
 
太平洋を渡り、サンフランシスコからロッキー山脈を走って越え
中部農村地帯を横切り、ニューヨークまで4,000km!
たまたま四三の部屋に居合わせた野口淳三郎は四三に
冷静になれと言いますが、四三は先ほどからいたって冷静です。
 
4,000kmともなれば、四三の足を持ってしても一人では無理なので
予餞会を開き、駅伝方式でつないでいけばいいわけです。
ただし、ロッキー山脈を越えて走るコースの予選会を
平地でやっても仕方ありません。
 
今ではすっかりお正月の風物詩となった箱根駅伝、
元はアメリカ横断の大駅伝レースの予選だったわけです。


四三はさっそく大日本体育協会の嘉納治五郎に提案に行きます。
治五郎はもちろん、可児 徳も大賛成でありまして、しかも
四三自ら協賛させて欲しいというスポンサーを見つけてきては
予算は? と目くじら立てる岸 清一も文句は言えません。
 
一方、治五郎にも四三への嬉しい知らせがあったのです。
クーベルタン男爵からの親書です。
その親書には五輪マークがプリントされています。
来年、1920年・夏、アントワープオリンピックを開催する、と。
 
待っとってよかった……諦めんでよかった……。
ストックホルムから8年が経過していたのです。
しかし、治五郎がかけた“正月返上”の言葉に
四三の頭は一気に冷静になります。
 
いい加減、愛妻・スヤの待つ熊本に帰らなければ
スヤはもちろん、大きく成長した正明もいることだし
何よりも池部幾江がうるさく、その幾江に虐げられている
実兄実次も実母シエも、早く熊本へ、と言いたいわけです。
 
前回のストックホルムオリンピックの渡航費1,800円は
国や教会からの援助は一切ありませんで
高等師範学校生たちの寄付と、実次が田んぼを売った金で
どうにか工面できたわけです。
 
今回もどうせ自腹に違いない。
池部家の財産を当てにするより他に無い。
四三は水を浴び、冷静に考えています。
 
熊本に帰った四三を囲み、新年の宴となりましたが
みんなが喜んでくれると信じて発表した
次期オリンピック開催を
手を叩いて喜んだのは実次とスヤぐらいなもので、
 
幾江を含むあとの者たちは大きなどよめきとなって
四三は正直戸惑います。
 
 
そのころ大日本体育協会では臨時会議が開かれておりました。
オリンピックからマラソン競技が外されてしまったのです。
 
8年前のストックホルムオリンピックでは、日射病の犠牲となった
ポルトガルの代表・ラザロが倒れた場所に花が供えられました。
オリンピック初の死者を悼み、義援金を遺族に送る決定をし、
 
ポルトガルも、彼の死を無駄にしてはならないと
彼を捧げるためにも4年後のオリンピックでも
マラソンを継続するように訴える演説がなされていたのです。
 
 
東京に戻って来た四三は、近づいて来る予選会の箱根駅伝に向け
有力選手たちとともに練習に励みます。
 
往路5区間、箱根山を一周して復路5区間、計217km。
これだけの距離を一日で走り切るのは無理があるので
早朝に東京有楽町を出発し、箱根で一泊する予定です。
 
2月14日(土)、午前8時にスタートと決まったのですが
授業を休むのは言語道断! と永井道明や二階堂トクヨの横やりが入り、
午前中はおのおのが授業を受け、午後1時スタートとなったのでした。
 
大正9(1920)年2月14日、有楽町報知新聞社前より
記念すべき箱根駅伝がスタートします。
アントワープオリンピックのマラソン選手の候補を探すべく
四三は運営として車に乗り込んで伴走します。
 
4区地点で、1位明治、2位東京高師、3位早稲田、4位慶應。
1位と2位の差は8分に開いておりました。
 
5区をトップで走る明治の沢田は、箱根の山に下見に向かい
あちこちに近道の目印をつけてきたわけですが
昼1時スタートのせいか日が落ちてあたりは真っ暗になり
その目印が見つからないわけです。
 
そんなとき、突然鉄砲の音が!
地元青年団が、猪が出るので人が通るときに空砲を鳴らすとのことで
おまけに地元の中学生が松明を手に道案内を買って出てくれたおかげで
近道はさほど役立たず、午後8時、芦ノ湖にゴールします。
 
 
2日目、四三が目にしたものは一面の銀世界。
昨日から降り出した雪で、箱根の山は積雪6cm。
気温はマイナス4度──。
 
大会本部から、復路の中止を提案してきますが
昨日の青年団、地元中学生、さらには湯治客まで加わって
総出で雪かきをして準備を始めてくれていました。
この人たちがこれだけしているのに、中止になんかできない!
 
とはいえ、雪道を走ると滑って大変危険です。
四三は、新品の足袋の裏面に溝を掘り
応急処置的に滑り止めに仕上げます。
 
四三の執念で駅伝は続行され、
しかも伴走車が動かないと分かると
四三は選手たちとともに走っているという有り様で。
 
8区では、再び降り出した雪でペースダウンするところを
沿道の観客たちが傘をサッと掲げて
トンネルを作ってくれたという逸話も残っています。
 
駅伝の始めの頃には、四三に会わせる顔が無いと
大会本部の面々はみな事務局にこもっていましたが、
レースが最終区間に突入する頃には
みな事務局からゴール地点に向かっていました。
 
最後の最後までトップを守ってきた明治の西岡ですが
ラストの報知新聞社前の右折で転倒し、
そのすきに東京高師の茂木がゴールを果たします。
記録は15時間5分16秒!
 
東京高師の逆転優勝に沸く中、ただひとり
転倒した西岡に間近で声援を送り続けたのは
大日本体育協会の会計担当、岸でした。
 
それが、大学関係なくエールを送り
ゴールを称えるという感動の物語に──。
 
 
<strong>親愛なるクーベルタン男爵殿
来たる第七回アントワープオリンピックにおいて
マラソンレースが正式種目から除外されている件、
甚だ残念でならない。</strong>
 
<strong>我が国に於いて、マラソンは今や国民的スポーツで
世界に通用するランナーの育成に全力を注いでおり、
韋駄天を筆頭に、メダルを狙える選手が育っておる。</strong>
 
岸は、治五郎に握手を求めながら
必死に頭を下げ、懇願します。
 
嘉納さん……マラソン、やれませんかね……。
やれんのかなぁ……やるべきでしょう!!
こんな……感動的なレースなら……絶対やるべきです!!
日本が勝つとか負けるとか、そういう問題じゃない。
アントワープでやるべきだ!! これを!

「直訴しましょう嘉納さん!」
 普段は冷静沈着な岸の、興奮冷めやらぬ様子を見て
治五郎は岸の背中をポンポン叩いて賞賛します。
 
<strong>マラソンの起源は、古代ギリシャのマラトンの戦い。
マラソンの歴史は、すなわちオリムピックの歴史である。
ご一考されたし。</strong>
 
マラソンの無い、オリンピックなんて……。
 
 
※このドラマは、史実を基にしたフィクションです。
 
<hr />
 
作:宮藤 官九郎
音楽:大友 良英
題字:横尾 忠則
噺(古今亭志ん生):ビート たけし
──────────
[出演]
中村 勘九郎 (金栗四三)
綾瀬 はるか (池部スヤ)
杉咲 花 (シマ)
永山 絢斗 (野口源三郎)
勝地 涼 (美川秀信)
──────────
森山 未来 (語り)
神木 隆之介 (五りん)
荒川 良々 (今松)
川栄 李奈 (知恵)
池波 志乃 (りん)
小泉 今日子 (美津子)
──────────
中村 獅童 (金栗実次)
宮崎 美子 (金栗シエ)
──────────
杉本 哲太 (永井道明)
三宅 弘城 (黒坂辛作)
古館 寛治 (可児 徳)
永島 敏行 (武田千代三郎)
岩松 了 (岸 清一)
寺島 しのぶ (二階堂トクヨ)
大竹 しのぶ (池部幾江)
役所 広司 (嘉納治五郎)
──────────
制作統括:訓覇 圭・清水 拓哉
プロデューサー:岡本 伸三・吉岡 和彦
演出:大根 仁
 
 
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
 
NHK大河ドラマ『いだてん』
第20回「恋の片道切符」
 
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
BS4K:午前9時〜

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