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2019年7月 5日 (金)

連続テレビ小説おしん・自立篇(157)~(162)

酒田の米問屋・加賀屋の大女将のくにが旅立ちました。
8〜16歳まで世話になってきた大恩人なので
くにの葬儀を手伝い、せめて初七日までそばにいたいおしんに
加代が酒田で商売をしないかと噺を持って来たのです。

最初こそ、おしんは田倉家の嫁だと遠慮していた清太郎も
おしんが田倉家を飛び出して実家に帰っていることを加代が打ち明け
その実家でもおしんの存在はないがしろにされていることを伝えると
考えが少しずつ変わり始めます。

人の二倍も三倍も苦労し続けて
得たお金はそっくり実家に送金していたというのに、
その恩を忘れておしんの稼ぎを未だに期待する兄というのにも
みのは呆れてものも言えません。

ともかく、空き倉庫を改造して
飯屋を始めて見ることにしました。

……という内容の手紙を山形の母・ふじに送ったおしん。
しばらくは山形に戻ってきそうにないことを知り、
目の前が真っ暗になりつつも、
娘を察してやる母の姿がそこにありました。


加賀屋の援助で、おしんは一膳飯屋を出すことになりました。
大正13(1924)年の晩春に佐賀の田倉家を出てから
目まぐるしい変遷を経て後にたどりついた
おしん25歳、大正14(1925)年の暑い夏のことでした。

飯屋の名前は「加賀屋」、
くにの教えを忘れないようにしたいとの気持ちをくんで
大旦那・清太郎の許しも得たそうです。

みのが仕立ててくれた「めし 加賀屋」ののれんに意気込んで
初日から全力で呼びかけを始めますが、誰一人としてきません。
昼間は米を握って白米弁当を売りに通り筋まで出て行きますが
それでも一個も売れず、職人に話を付けてもらってもらいました。

加代は、際限なく援助はするものの、
貸したものはしっかりと返してもらうから
返してもらうまではこの商売を辞めることは
絶対に許さないからな、と言い置いて出て行きます。

何をどうすれば客に来てもらえるのか、
何をどうすれば客に買ってもらえるのか、
負けず嫌いなおしんは意地になって考えています。


翌日から3日間、店を休業したおしんは
その間にビラを数百枚と書き
電柱や壁に貼って周り、街道筋で配って回ります。

3日目の夕方、5時から開けることにし
その準備に勤しむおしん。
再起のおしんに加代は加勢して応援します。

さっそく6人が入って来ました。
どうやら朝、握り飯を配ってまわった
あの時の男たちが来てくれたようです。

加代の帰りが遅いため、心配したみのが
おしんの店ではないかと丁稚に呼びに行かせますが、
加代は、ちょうど良かった、と丁稚にまで手伝いをさせます。
賑わいを見せるおしんの店です。


ようやく最後の客が帰り、初日が終わりました。
結果的には加代も丁稚もいてくれて助かったわけですが、
おしんはこれから、これを一人で
切り盛りしていかなければならないわけです。

しかし加代は、そんなのはしばらくは無理だと
おしんの店を手伝うつもりでいます。
それが恩人・おしんへの恩返しにもなるし
くにもきっとそう言ったであろうと。

仲の悪い夫・政男にも、そう伝えています。

翌朝も加代は不在でした。
清太郎は、おしんが店をやっているから加代がつけあがると
今すぐ行っておしんに店を辞めさせようとしますが、
そうすることでも加代の気持ちは変わらない、と政男は言います。

加代はいま、くにを亡くし
政男がよりを戻して戻って来たことで店への口出しも出来なくなり
恐らくは心にポッカリと穴が空いたような寂しさに打ちひしがれ
誰かの役に立ちたいともがいているのではないか、というのです。

政男は一度加代を裏切った男でもあるし、
ここは黙って待つしかないでしょう、と。


というわけで、翌朝も加代は手伝いに来ていました。
たくさん押しかける割にはもうけが出ないことに
不満を持っていた加代は、なんとか儲ける方法を考えていますが
なかなか思いつきません。

そんな時、酒を望む客がやって来て
はじめは飯だけだと断っていたものの、
加代が1杯15銭で注ぎ出したものだから
それがまた大きなもうけになって返って来ました。

地道に進もうと思っていたおしんの店ですが、
開店当初から変わろうとしていたのです。

その日、加代はおしんの店に泊まりました。


翌朝、政男がおしんの店を訪ねます。

加代を無理に引き止めて手伝ってもらったと
おしんは政男に弁明をしますが、
政男は、生き生きと働いている加代を見るのが新鮮で
しばらくはここで働くといい、と許可を出します。

たまには家に帰ってきて顔を見せて欲しいし
無理し過ぎて身体を壊さないことを約束させます。
そんなに優しくしてもらったことのない加代は
とても幸せな気分で、飯の支度にかかっています。

おしんは、夜間はなるだけ加代を加賀屋に帰すようにし
早朝の仕込みはおしんの係となり
加代は昼前になっておしんの店にやってくるようになりました。


夜、やくざ風の男がふたり脅かしにきました。
しかしそんな脅しに屈するおしんではありません。
店内で散々やり合った後、おしんは男に怒鳴ります。
「表出ろさっさと出てこ!」

表では、いつか健に習った仁義を切ります。

お控えなすって。
手前 生国を発します、山形にござんす。
縁持ちまして中沢一家がおります。中沢 健、妹分にござんす。
姓発します。姓は田倉、名はしん、いずこいずかたに参りましても
ご一途さんお世話なにがしもんの粗相もんにござんす。
以降、お見知りおかれまして、万端お頼み申しますッ!

偶然、男たちの所属する組の本家が中沢一家でありまして
男たちはあやうく、本家の息のかかった妹分に
危害を加えるところでした。


雄がはしかにかかり、
医者にかからない代わりに飯屋は休業して
懸命に看護に当たることにしました。

看病の間にも、加代はつきっきりのおしんに
食事を用意してサポートしています。


おしんは竜三に手紙を送ります。

どれだけ送っても届かないので、
これが多分最後の手紙になる予定です。

飯屋を始めてようやく一家が食っていけるだけのもうけになったから
佐賀から酒田に来ないか、という手紙だったわけですが、
清はその手紙を読むやいなや、くしゃくしゃに破ってしまいます。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
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[出演]
田中 裕子 (おしん)
泉 ピン子 (ふじ)
東 てる美 (加代)
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小林 千登勢 (みの)
高森 和子 (清)
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制作:岡本 由紀子
演出:望月 良雄

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