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2019年8月16日 (金)

連続テレビ小説おしん・太平洋戦争篇(193)~(198)

昭和10(1935)年2月、健がおしんの家を訪れます。
健にとっては遠い親戚で9歳になる
初子という女の子を連れていました。

4人兄弟の一番上で、親が畑に出ている間
小さい弟妹たちの面倒を見てきたそうですが、
なにぶん冷害でもうけがほぼなく
口減らしの奉公に出すことになったのです。

健はとりあえず50円で初子を預かり
人買いに売るわけですが、もうけたくてやってはいないので
50円ぐらいでしか売れないだろう、という計算です。

それを聞いたおしんは、
郵便局からすぐさま50円を引き出してきます。
初子の身元引受代金です。

初子を見ていると、なんだか自分の子供のころを思い出して
少しでも苦労を軽減させてあげたい気分になっていたのです。
それに、死んだ愛のような気がしてならないのです。
竜三は、母親になる覚悟があるなら、と認めます。

初子を迎え入れたおしんは、奉公人としてではなく
あくまで家族、自分の娘として迎え入れます。
小学校4年生になると聞いて、後日手続きにいく約束をしたし
坊ちゃまという初子に、兄弟として接するように諭します。

「おれ、おれ、夢みてえだ」
そういわれて、おしんも竜三もさらに張り合いが出て
家業に勤しむようになりました。

雄、中学1年生、初子、小学4年生、
仁、小学1年生、希望、小学1年生。
新たな田倉家の出発です。

ただ、おしんには新入学の準備にあたって
不安材料がひとつ頭をもたげてきました。
希望のことです。

竜三は仁にも希望にも、ケンカしないように
全く同じ文房具を買いそろえてやります。
間違えないように名前を書いておきたいのですが、

仁は「タノクラジン」としても、希望はどう書きましょう。
「ヤシロノゾミ」? または学校にうそをついて「タノクラノゾミ」?
希望の身を預かるときに田倉家に戸籍を移せばよかったのですが
希望は加賀屋のたったひとりの跡取り息子なのです。

しばらく考えさせて、と言葉を振り絞るのがやっとです。


雄の中学受験前日、初子は井戸の水をかぶって
合格のお祈りしていました。
あわてて引き留める竜三とおしんですが、
戸惑いつつも、その思いはとてもうれしい雄です。

おかげで中学受験に合格しました。

そしてその夜、おしんは仁と希望の学用品に
名前を丁寧に書き入れます。
「タノクラジン」「ヤシロノゾミ」です。


翌朝、希望に(そして仁にも)伝える時が来ました。

希望は父ちゃんと母ちゃんの子供だと伝えたうえで、
生んでくれだお父さんとお母さんは別にいる、と伝えます。
ただ、今はふたりとも亡くなっているので
父ちゃんと母ちゃんが自分の子供として育ててきた、と。

そして希望には、八代家のたったひとりの跡継ぎだから
八代という苗字をいただいたのだ、と説明されて
はじめこそショックを受ける希望ですが、

これまでも、これからも田倉家の人間だといわれて
小さくうなずきます。
タノクラノゾミだろうが、ヤシロノゾミだろうが
一緒なのです。

「ヤシロノゾミくん、と先生に呼ばれて元気よく返事できるか?」
そうおしんに言われた希望は、小さくうなずきます。
おしんはしっかりと希望を抱き止めます。

その日おしんは、希望たちを八代家の墓に連れていき
みんなで手を合わせます。


しかし、入学早々、希望は登校拒否を起こします。

直後、顔中傷だらけの仁が帰ってきたのですが、
事情を詳しく聞けば、親なき子とかいろいろ
言われようのない讒言を受けていた希望を守ろうと
仁がその主に立ち向かっていったのだそうです。

なんとなくの事情が分かったおしんが
部屋に閉じこもる希望に声をかけようとすると
いなくなっていました。

夜遅くなっても、希望は帰ってきません。
竜三は、まだ右も左もわからない幼子に
説明するのが早すぎたのだとおしんを責めますが、
母さんを責めるのはかわいそうだ、と雄がかばいます。

「希望の声がする…母さんもう少し探してみる」
おしんは、何かにとりつかれたように外に出ていきます。


探す当てもなく、八代家の墓にたどり着いたおしんは
加代に死んでお詫びしようと考えていました。

そこに希望が現れます。

おしんは希望を一発ぶちのめし
これから先、もっともっと大変なことが待っているのに
たかが言われたぐらいで逃げているなら死んだほうがましだと
ふたりで死のうとがけっぷちに立ちます。

希望は観念し、学校に行かないなんて言わない
学校で一生懸命に勉強するからと言って
おしんにようやく許してもらえます。


4人とも同じように育てているつもりでも、
すこしずつ違った成長を見せるようになってきました。

雄は親代わりのような存在ながら心優しく、なんでも許せるし
初子は要領よく、こっそりと手段を教え、しかし算術が苦手だし
仁は負けん気が強く、しかし希望が贔屓されることは嫌だし
希望はおとなしく、初子と馬が合うのかずっとそばから離れません。

そんな中おしんは、雄、愛、仁に続く
自身4人目の子供を身ごもります。

昭和11(1936)年2月26日、家族が待ち望む中で
おしんは近所の産院で無事に女の子を出産します。
名前は「てい」にしました。

この日、東京では首相官邸や政府要職の自邸が襲撃され
暗殺されるという二・二六事件が発生した日なのです。

二・二六事件は軍の意向で政府を動かすことができるという
悪例を作ってしまい
翌年7月の盧溝橋事件は泥沼のような日華事件の発端となり
日本は戦争への道を歩み始めることになるのです。

どうせ軍部の勢力争いなのだから
伊勢に住むおしんには何のかかわりもない、と竜三は笑いますが、

田倉家の勢力争いは断然として仁が強く
それを咎める雄と初子に、
仁の言うとおりになっている希望という勢力図で
こちらのほうはおしんとしては看過できない内容です。


初子が3年奉公の期間が終わり
山形に帰る日が近づいてきました。

初子の両親も、帰してくれてもいいという返事で
両親の気持ちを慮るに、ここにいれば
結局は子守りや調理だとこき使うだけで
初子の迷惑になっているのかもしれないのですが、

それでも初子はここにずっといたいと言ってくれます。
おしんは、仁が初子を蔑ろにしない条件で
奉公の延長を山形の両親に相談してみることにします。


特高警察に捕まった浩太が戻ってきています。

社会主義とはきっぱりと縁を切る、という条件で
釈放してもらったようで、
まるで人が変わったようにおびえた人間になっていました。

獄中ではひどい仕打ちを受けていた浩太ですが、
それに耐えかねて、自分の考えを捨てて転向する自分を
一番恥じて生きているわけです。
誰に会いたいと願うものでもないわけです。

おしんは今、誰も逆らえない強大な権力のような存在が
日本というカギを握っているような気がしていました。
そしてその年の暮れ、日本は南京を占領し
勝利に酔いしれた国民はちょうちん行列を作って喜んでいました。

そんなとき、竜三の次兄・亀次郎がおしんの家を訪ねてきました。
十数年前に佐賀で一度会ったことがありますが、
その亀次郎が何の用で家に来たのか
おしんには不吉な予感がして不安でした。


作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
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[出演]
田中 裕子 (おしん)
並木 史郎 (竜三)
ガッツ 石松 (健)
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赤木 春恵 (ひさ)
渡瀬 恒彦 (浩太)
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制作:岡本 由紀子
演出:小林 平八郎

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