大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・(37)最後の晩餐 ~~
昭和12(1937)年、
オリンピック開催決定のお祭り騒ぎに異議を申し立てる
ひとりのひねくれものがおりました。
一触即発の日中関係と平和の祭典…。
国防費のためにと国民に我慢と緊張を求める一方で
オリンピックというお祭りを開催するという…。
相反する二つに対して説明できないのであれば、
オリンピックを開催する資格はない!
かの河野一郎氏であります。
7月7日、北京・盧溝橋で起きた、
日本軍と中国軍の衝突をきっかけに
日本と中国の全面戦争がはじまります。
戦争が始まっても、
オリンピック関係の準備は進められたのですが、
国立競技場で行うか神宮外苑で行うか揉めにもめます。
「紀元2600年の祭典、真剣にやらんと赤っ恥かくぞ!」
この年、黒坂辛作の妻・ちょうが
この世を去りました。
増野りくや金栗四三一家、それに小松 勝も一緒なので
寂しくならずにすんでいます。
8月になっても戦火は収束するどころか拡大する一方で、
ついに副島直正は独断で、近衛文麿首相に対し
オリンピック開催の危機を訴えます。
「なんてことをしてくれたんだキミは!」
東京オリンピックは何が何でも開催するという嘉納治五郎と
直前になってからの撤退では他国での開催すら間に合わず、
東京での開催は今後一切不可能になってしまうゆえに
今のうちに名誉ある撤退をしたい副島が言い争いになります。
万歳を聞きながら中国に何千と出征していく若者がいる。
方や派手なユニフォームを着て飛んで跳ねている若者もいる。
何が精神総動員か!?
「認めたくはないが、河野の言う通りなんです」
でも、スポーツは矛盾だらけなんです。
なぜ走るか? なぜ泳ぐか? 誰にもこたえられません。
しかし、戦争で勝つのではないんです。陸上で、水泳で、勝つのです。
12月、日本は南京を占領します。
さらに戦争に突き進む日本は、世界から非難を浴び
孤立を深めていきます。
オリンピック東京大会を疑問視する声が世界中で高まる中、
治五郎は、エジプトカイロで開かれるIOC総会に出席します。
IOC委員の副島とはいっしょに行くつもりはありません。
追い詰められたら“お返しします”と泣きつくのが落ちです。
とはいえ、競技場もいまだに決定せず、報告すべき何物もなく
まさに『徒手空拳』、手ぶらであります。
しかし、必ず開催できるという信念のもとで、
正々堂々押し切る、しかありません。
「返上するなら同行します」
開催するなら行きません、そういうまーちゃんこと田畑政治は
こんな国でオリンピックをやってはオリンピックに失礼だ、と
土下座して訴えます。
そして、それができるのは、治五郎しかいない、とも。
治五郎は、それでも最後まで望みを捨てませんでした。
IOC総会では針の筵に座らされているような四面楚歌、
各国の委員たちからの猛抗議に返す言葉がありませんが、
政治とスポーツは無関係というのを東京で証明する、と頭を下げたのです。
昭和13(1938)年・春、
東京開催が改めて承認されました。
まーちゃんはため息交じりに嘆きます。
手ぶらで行ってオリンピックを持って帰ってくるって、あの人…。
カイロからカナダを経由して帰国の途に就く治五郎。
出発の時に、平沢和重と日本への航路を共にします。
3日目までは元気だった治五郎は、大きなしけに出くわし
体調を崩してしまいました。
それでもなんとか治まり、乗客の前に元気な姿を現しました。
しかし、昭和13年5月4日、
治五郎は太平洋上で、帰らぬ人となりました。
遺体は棺に納められ、日本に帰着しました。
生前、田畑に渡してくれと預かっていたストップウォッチを
平沢はまーちゃんに手渡します。
棺は閉じられ、五輪の旗にくるまれます。
※このドラマは、史実を基にしたフィクションです。
作:宮藤 官九郎
音楽:大友 良英
題字:横尾 忠則
噺(古今亭志ん生):ビート たけし
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[出演]
阿部 サダヲ (田畑政治)
中村 勘九郎 (金栗四三)
綾瀬 はるか (池部スヤ)
麻生 久美子 (田畑菊枝)
桐谷 健太 (河野一郎)
三浦 貴大 (野田一雄)
杉咲 花 (増野りく)
仲野 太賀 (小松 勝)
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森山 未来 (語り)
神木 隆之介 (五りん)
荒川 良々 (今松)
川栄 李奈 (知恵)
小泉 今日子 (美津子)
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星野 源 (平沢和重)
きたろう (牛塚虎太郎)
松重 豊 (東 龍太郎)
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リリー・フランキー (緒方竹虎)
三宅 弘城 (黒坂辛作)
皆川 猿時 (松沢一鶴)
塚本 晋也 (副島直正)
薬師丸 ひろ子 (マリー)
役所 広司 (嘉納治五郎)
──────────
制作統括:訓覇 圭・清水 拓哉
プロデューサー:家富 未央・吉岡 和彦
演出:井上 剛
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『いだてん』
第38回「長いお別れ」
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