« 敗者復活戦 | トップページ | 診断書 »

2019年9月22日 (日)

大河ドラマいだてん 東京オリムピック噺・(36)前畑がんばれ ~運命の決選投票! 東京開催なるか?~

「がんばれ! がんばれ! 前畑がんばれ! 」

まーちゃんこと田畑政治の激励も、もしかしたら
前畑秀子にはふざけて聞こえたのかもしれません。
うんざりしてまーちゃんをプールに突き飛ばします。
頑張って取れるんやったらロサンゼルスで取っとるわ!

しかし、本人の頑張りとは別に
新聞記事で世界新記録への期待をあおられたら
金メダルを取ってくるまで帰ってこれません。
この時ほど、世界新記録を取ったことを悔やんだ日はありませんでした。

 

1936(昭和11)年8月1日、ベルリンオリンピック開幕。
朝晩、平和の鐘が鳴り響き、歓声が上がり、国旗が風になびき
聖火は夜も灯り、そして前畑は…眠れません。

10分の1秒、10分の1秒、10分の1秒…。

ベルリン大会における日本人選手の活躍には
目を見張るものがありました。
メダルを取るたびに日の丸が揚がり、
マラソンと三段跳びでは「君が代」が高らかに奏でられました。

水泳だって負けてられません。
前畑最大のライバルは、ドイツのマルタ・ゲネンゲル。
記録会では3分2秒7の世界新記録を出し、
その3日後、前畑が10分の1秒早い3分2秒6を出しました。

数日おきに互いの記録を破りあい、迎えた今日の予選。
前畑は世界記録を大幅に更新する3分1秒9で1位通過!
「あ~もうあかん! これが決勝やったらよかったのに!」
そんな前畑に、まーちゃんもえらく気を遣います。

翌日の準決勝、前畑は1位通過するも、
タイムを3分3秒に落としてしまいます。
「なーにやってんだよ前畑! 顔洗って出直して来いバカ野郎め!
いいか? 決勝は頑張っ…あっ…い? な? な?」

一方のゲネンゲルは3分2秒8と、調子を上げてきました。
そんな切羽詰まった前畑に、金栗四三は電報を打ちます。
ツラカトキハ オシバナガヨカ カナクリシソウ
「カナクリって誰やねん?」ww

隣の部屋ではヒトラーが応援に駆けつけていました。
「金メダルを期待しているよ」
「統帥のお言葉でがんばれます」

 

ラジオの前に詰めかける日本人たちですが、
なかなか放送が始まりません。
ドイツの午後4時は、日本時間の午前0時なのです。
「切らないでください! スイッチを切らないでください!」

ベルリンの午後4時、日本の午前0時、
本日は水泳場すなわち、プールのスタンドにマイクを移動いたしまして
大歓声に取り囲まれながらのフィールドからの実況放送をお送りします。

我が前畑嬢は白の帽子、黒い水着、胸には日章旗が燦然と輝いております。
強敵は、スタートのよいドイツのマルタ・ゲネンゲル。
始め抜かせて、後でぐんぐん詰めるのが我が作戦であります。

早くも号令、ただいまスタート地点に上りました。
いよいよスタートだ!
大日章旗を掲げるか掲げないかの境目です。
スイッチを切らないでください!

「10分の1秒…10分の1秒…」
「今度こそ…勝たせてください…」

前畑嬢、じーっと水面を眺めております。
自分のコースを眺めております。

「Ready...」
パン!

飛び込みました! 一斉に飛び込みました!
飛び込みました! ゲネンゲルはまだ潜っております。
飛び込んだ時はまだ前畑と同じ、
各選手並んでおります。各選手並んでおります。

これは我が前畑嬢とゲネンゲルの競泳でございます。
第2コース、オランダのワールブルグが前に出ましたが
前畑嬢、わずかにリード!
オランダのワールブルグが前畑嬢と並んでおります。

イギリスのストレー選手も出てきた。
我が前畑嬢、35メーター、35メーター。
ドイツ ゲネンゲルと並んでおります。
第1コース、イギリスのストレーも出ております。

大部分、各選手は並んでおります。
非常に心配であります。非常に心配であります。
イギリスのストレー、まず最初のターン。
続いて前畑もターン。ドイツのゲネンゲルもターン!

我が前畑嬢、第2位! しかし
我が前畑嬢、悠々たるペースを保って続いております。
ドイツのゲネンゲルも続いております。
ゲネンゲルと前畑嬢、折り返し40メートル続いております。
折り返し45メートル続いております。

イギリスは遅れました。前畑嬢リード!
前畑とゲネンゲルの接戦です。
前畑ひとかきリード! 前畑リード! 前畑リード!
前畑ひとかきリードです。前畑リードしております!

前畑リードしております! 接戦であります。
前畑リードです! 前畑リードです。
ゲネンゲルよりはひとかきリードしております。
あと5メートルで100のターン、あと5メートルで100のターン。

ただいま前畑ターン、
続いてゲネンゲル続いております。
続いてゲネンゲル続いております。
わずかにひとかきリード、わずかにひとかきリード。

まさに大接戦、火の出るような大接戦!
まことに心配でございます。まことに心配でございます。
わずかにリード、わずかにリード、
ゲネンゲルも強豪! 強豪ゲネンゲル続いております。

125! 125! 125!
我が前畑嬢、わずかにリード、わずかにリード!
地元ドイツの応援は、盛んにゲネンゲルに声援を送っております。
ほかの選手はだいぶ遅れました。前畑とゲネンゲルふたりだけの競争!

あと10メーターで150、あと10メーターで150!
あと2メーター! 前畑頑張れ! ターン!
前畑頑張れ! 頑張れ頑張れ! 頑張れ頑張れ! 前畑頑張れ!
頑張れ頑張れ、前畑頑張れ! 前畑リード、前畑リード!

頑張れ頑張れ! あと40! あと40! あと40!
あと40! あと40! あと40!
前畑頑張れ頑張れ、前畑頑張れ頑張れ!
前畑頑張れ、あと25! あと25!

ゲネルゲン※も出ております。ゲネルゲン※も出ております。
ゲネンゲル…前畑頑張れ!
頑張れ! 頑張れ!

「秀ちゃんがんばれ!」
「頑張れ! 頑張れ! 頑張れ! 頑張れ! 頑張れ!」

前畑リード! 前畑リード!
頑張れ! 頑張れ! 前畑頑張れ! 前畑頑張れ!
前畑頑張れ! 頑張れ!
あと5メーター、あと5メーター!

あと4メーター、4メーター!

あと3メーター!

あと2メーター!

あと…ああっ!

「ヒデコ・マエハタ ヤーパン」

やった…勝った! 勝った勝った!
勝った勝った! 前畑勝った!
前畑勝った! 勝った勝った!
勝ちました!
(※ゲネルゲンは河西アナウンサーの実際の言い間違い)

 

「また一緒に泳ぎましょうね」
「ぜひ」
前畑とゲネンゲルは、お互いのレースを称えあいます。

そしてレース後。

前畑優勝です! 日章旗を揚げました!
前畑ありがとう! 前畑優勝しました!

女子平泳ぎ200m決勝、前畑秀子金メダル。
3分3秒6。
ロサンゼルス大会の記録を10分の1秒どころか、
3秒も縮めました。

熱狂のうちに閉幕したベルリンオリンピック。
閉会式では、4年後の東京大会に向けてこんな文言が躍りました。
1940 SEE YOU TOKIO

 

豪放な嘉納治五郎は、
どこか消えてしまったように思えてなりません。
もしかしたら東京オリンピック開催にむけ
人一倍プレッシャーを感じているのかもしれません。

治五郎はさっそく、組織委員会の組閣に着手します。
その人選は体育協会や市にとどまらず、
軍人、政治家、各界の大物が顔を揃えます。

しかし人が集まればもめごとも増えるわけで…。
招致の際には何も協力しなかった体育協会が
招致が決まった瞬間にしゃしゃり出てくるなら、と
東京市はへそを曲げて撤収すると言い出すし、

軍部は軍部で、単なるお祭り騒ぎでは困ると
質実剛健、すべて日本流でやってもらいたい、と口をさしはさみます。

副島直正は、最近の治五郎の主張には
賛同しかねるとまーちゃんに訴えます。
日本の精神を世界中に知ってもらいたい、というのは
ドイツやナチスに置き換えれば一目瞭然なのです。

「ベルリンも悪くなかったな」
そう感じるまーちゃんも、
4年後にオリンピックが開けるのかどうか
不安で不安でたまらないのです。

 

昭和12(1937)年7月8日、追い打ちをかけるように
よからぬニュースが大陸から届きました。
日中戦争が勃発したのです。

北京・盧溝橋で起きた日本軍と中国軍の衝突をきっかけに
日本と中国の全面戦争が始まったのです。

 

※このドラマは、史実を基にしたフィクションです。


作:宮藤 官九郎
音楽:大友 良英
題字:横尾 忠則
噺(古今亭志ん生):ビート たけし
──────────
[出演]
阿部 サダヲ (田畑政治)
中村 勘九郎 (金栗四三)
桐谷 健太 (河野一郎)
斎藤 工 (高石勝男)
三浦 貴大 (野田一雄)
大東 駿介 (鶴田義行)
上白石 萌歌 (前畑秀子)

杉咲 花 (増野りく)
仲野 太賀 (小松 勝)
──────────
森山 未来 (語り)
神木 隆之介 (五りん)
橋本 愛 (小梅)
荒川 良々 (今松)
峯田 和伸 (清さん)
川栄 李奈 (知恵)
──────────
トータス 松本 (河西三郎)
きたろう (牛塚虎太郎)
イッセー 尾形 (永田秀次郎)
──────────
リリー・フランキー (緒方竹虎)
三宅 弘城 (黒坂辛作)
皆川 猿時 (松沢一鶴)
塚本 晋也 (副島直正)
薬師丸 ひろ子 (マリー)
役所 広司 (嘉納治五郎)
──────────
制作統括:訓覇 圭・清水 拓哉
プロデューサー:岡本 伸三・浅沼 利信
演出:井上 剛

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『いだてん』
第37回「最後の晩餐」

|

« 敗者復活戦 | トップページ | 診断書 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 敗者復活戦 | トップページ | 診断書 »