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2019年10月 4日 (金)

連続テレビ小説おしん・再起篇(226)~(231)

【再起篇】

4年後・昭和25(1950)年。
魚を届けるためのオート三輪に乗る
練習をするおしんは50歳を迎えていました。

この4年で働きに働いて、ようやく田倉商店という店を
出すまでに漕ぎつけたところでした。

仁は大学を諦め、田倉商店を手伝い、
絵が上手な希望は、店の中から吊り下げる商品札を描いています。
中学を卒業する禎は、高校に進学せずに店を働くと言ってくれていますが、
おしんは、どうしても禎には大学に通わせたいと考えています。

ひさの家から田倉商店に引っ越しをします。
ひさの家を出る前に、浩太にも挨拶を済ませておきたいおしんです。
おしん一家が今から暮らすことになる田倉商店の物件を
安く紹介してくれたのが浩太だったのです。

ただ、多感な時期を迎えた息子、娘たちがいる手前、
父親以外に初恋の相手だった男性の世話になったなどと知れたら
母親がどう思われるか分かりませんので、
表向きはひさが斡旋したということにしています。

たとたん、卸屋が商品を引き上げていったのだそうです。唖然とするおしんでした。

 

三人で昔話に花を咲かせていたとき、
娘同然に育て、雄の妻にと考えていた初子から封書が届きます。
相変わらず送金が途絶えることなく、
かといって発送先を書かずにいて、
こちらからは連絡が一切とれていません。

おしんは、初子との再会を目標に頑張り続けます。

 

開店準備に追われながら、仁は「もっと広かったらなぁ」とか
「狭さに対して商品の量を持ってきすぎたぞ」などと
文句ばっかり言っていまして、
デパートみたいに言うなよ、と希望に笑われますが、

仁はあながち嘘ではなく、
デパートのような大きなお店を扱っていきたいと考えているのです。
でも、幼いころは引っ込み気味だった希望には、ひどく馬鹿にされます。
「この店をつぶさないことを考えるほうが先じゃないのか」

 

初日を迎えた結果、思ったより稼ぎが少なかったようです。
仁は、魚屋と八百屋でやっていくには厳しすぎると休憩しますが、
田倉商店は魚屋! 八百屋! とイメージつけさせなければ
やっていても意味がない、とおしんは考えます。

おしんは仁に、まずは本気で魚のさばき方をマスターしろと言いますが、
魚屋になるつもりはない仁には、時間がもったいなさすぎてたまりません。

 

初子が見つかりました。
東京にいる健に依頼していたのです。
健は始め、初子を大阪に連れていくところで田倉に奉公に入ってもらった
という経緯があるので、見間違いのしようがありません。

実の娘のように育っていった初子です。
存在が分かったら、迎えに行くのが当然の話なのです。

おしんは、開店したばかりの田倉商店を仁たちに任せ
東京に向かうことにしました。

東京に到着すると、おしんはひとまず髪結いのたかの店に向かいます。
20年ぶりの、東京でした。
再会したおたかと健は、真っ白な髪の毛でしたが、とても元気そうでした。
再会を大粒の涙で喜び合います。

それで、初子の消息を訪ねるおしんですが、
なぜかかたくなに口をつぐむ健に、おしんは不安を抱えます。
「初子はもう、昔の初子じゃござんせん」

 

おしんが健に連れられてきたのは、駐日アメリカ兵を相手にしたバーでした。おしんはともかく、健も初子はここらしいという不確かな情報なので、まずは健が店に入って確かめてから、おしんを呼ぶことにします。
「久しぶりだな、初っちゃん」その声にギョッとして顔を上げる初子ですが、日本人は相手にしないんだ、とつぶやいて店を出ると、そこにはご恩あるおしん母さんの姿がありました。
必死に逃げる若々しい初子を、60歳の健が追いかける図式はなかなかに厳しいものがありますが(笑)、ともかくいずれは健に捕まってしまいます。
「初子は雄さんと一緒に死んじまったんだ!」と意地を張る初子に平手打ちし、きれいにお化粧を落としてやります。
初子は雄と死に別れて、人の知らないところで死にたかったのですが、死にきれずにここまで流れ着いてしまいました。だから伊勢に帰って仁や希望、禎とは会えない女になってしまった、と寂しそうに語ります。
おしんは、初子が毎月少しずつお金を送ってきた分を全額持参していて、これを使って借金をなくし、お世話になった人には礼をし、伊勢に帰る支度を促します。
初子のアパートの退去などで5日ほど東京に滞在し、おしんは初子を連れて伊勢へ帰ってきました。しかし、田倉商店には商品が並んでおらず、がらんとしています。
仁に聞けば、売れなくて支払いが滞っ仁からあらかたの話を聞いたおしんは、ケタケタと笑っています。おしんは、初子のことで気が急いて、ついつい問屋に払わなければならない支払日のことを忘れていたわけです。
仁は、これからの長い付き合いを重要視したいようですが、今日まではよくても明日になったらわからない、というのがおしんの考え方です。問屋の行動ももっとも、と責める気にもなりません。
今すぐ問屋に行って商品戻してくれよ、という仁に、もう踏ん切りがついたろ、と、日用品は撤収することにしました。魚屋と八百屋だけで充分やっていける田倉商店です。

 

翌日から売場に立つ初子です。昔なじみの客も初子のことは覚えてくれていて、とんとんとんと話がすぐにまとまります。「これからもよろしくお願いいたします!」
そんなとき希望が、焼き物を習いに行きたい、と言い出します。これまでにも焼き物の先生にコンタクトを取り、今回ようやく弟子入りがかなって、まずは来てみなさいというところまで話が運んだわけです。
希望はこれまで従順で、おしんにとっては素直な子というイメージだけに、おしんがうけたショックはとてもとても大きなものでした。これまで家の手伝いをさせたのは、希望は酒田の加賀屋の跡継ぎとして商売上手になってもらわなければならないのです。
大事な跡継ぎをお預かりしている以上、焼き物などにうつつを抜かすようでは、おしんは佳代や大奥様たちに顔向けができません。おしんは、希望の告白を聞かなかったことにします。
しかし、希望の背中を押したのは、意外にも仁でした。こんなところにいても仕方ない、窯元に弟子入りしたけりゃすればいい、と。母ちゃんには俺から話しておく、と。

 

行商から帰ってきたおしんは、希望が弟子入りしたことを知ります。弟子入り先の収書を頼りに、母親としてのあいさつをしておかねばならないと赴いたのです。
師匠の栄造と話をしてみて、おしんは希望を引き取ることより、預ける方向へ考えが変わっていっているのに気が付きます。ここまで希望が思い詰めていたとはしりませんでした。
「先生に、かわいがっていただくんだよ」希望はついに、おしんから巣立っていきました。

 


 

作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
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[出演]
乙羽 信子 (おしん)
田中 好子 (初子)
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ガッツ 石松 (健)
渡辺 美佐子 (たか)
大友 柳太郎 (栄造)
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制作:岡本 由紀子
演出:江口 浩之

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