連続テレビ小説おしん・完結篇(280)~(285)
おしんの心配をよそに、
強引な手法で支店を次々と増やしていく仁のやり方は
高度経済成長の余波に乗って順調に推移し、
スーパーたのくらは、急速な伸びを見せていました。
昭和43(1968)年の秋には6号店をオープンさせ、
何もかも順調に進んでいるように見えた田倉家でしたが、
思いがけないところに田倉家高度成長のひずみが出始めていました。
どうやら、仁の長男・剛が警察沙汰を起こしたそうなのです。
保護者が迎えに来れば帰すということでしたので
道子が迎えに行き、引き取ってきたのですが、
おしんには、仁と道子の家庭内不和を心配しています。
仁の説明では、パチンコで大金をすってしまったらしく
名古屋の繁華街を歩き回っているところを
警察に補導されたということです。
仁は道子や剛たちに何不自由ない生活をさせているから
父親の役目を立派に果たしていると主張するし、
道子はいまだに仁と百合の関係を裏切りだと根に持っていて
その味方として剛を私物化しているきらいがあります。
剛は、家に帰れば仁と道子の夫婦喧嘩を見ることになるし
道子からのプレッシャーもあり、
むしゃくしゃして自分から友達を誘ってやったことだと言い出します。
おしんは、仁にも道子にも言いたいことを言えずに帰ってきますが
仁は女遊び、道子は寂しさのはけ口に剛を捕まえるという
夫婦ともに愚の骨頂だ、とあきれているのも事実です。
おしんの立場としては、何も言えないのが今の時代なのかもしれません。
仁と道子がよくよく話し合った結果、子供たちの教育のためにも
おしんと同居することにしたのですが、
もう高齢だからそれがいい、という周囲の賛成をよそに、
まっぴらだ、とおしんは断ります。
しばらく考えさせてもらう、と仁と道子には返答し、
一旦はこの話は終了したのですが、
おしんは、仁夫婦が言い出した今だからこそ
話に乗るのがいいのか本気で迷っています。
ただし初子は連れていくつもりはありません。
連れて行ったところで道子のいいように使われるだけだし
仁と道子が本気で初子の処遇について心配することはあり得ないからです。
初子も、仁夫婦の世話になることをよしとはしません。
しかし、おしんが亡くなったとしたら
真っ先に路頭に迷うのは実子ではない初子です。
おしんは、せめて自分が生きているうちに
初子の幸せを見届けておきたい、という強い気持ちがあるのです。
いつまでもおしんについていく、と泣く初子でしたが
これを機に独立しなさい、というおしんの強い勧めで
手芸の店を開くことにします。
出店に当たっては、仁が何から何まで手配してくれました。
それは初子が、戦後に家出して魂を売って身を削ってまで仕送りを続けたことを
仁は忘れていないからです。
初子の功績を知らない道子や禎、そして社員たちが文句を言っても
仁は私財を投入してでも初子を守り切るつもりなのです。
とらがまた、田倉家へやってきました。
嫁にいびり出されてきたというのです。
最初こそ、やれやれという気持ちで聞いていたおしんでしたが、
母親(ふじ)に、ことあるごとにおしんと比較され、
とらはとらなりに苦労して過ごしていたんだな、と
不憫に思えてなりませんでした。
仁には「人が良すぎる」とあきれられながらも、
おしんはしばらくとらを離れで預かることにします。
そしてとらを庄治が迎えに来て引き取り、
2日ほど観光した後、山形へ帰っていきました。
おしんの一抹の不安をよそに、
仁の半ば強引な経営手法が功を奏し
昭和57(1982)年の夏には、三重県下に16店舗を有する
中堅企業にまで発展していました。
おしんは、満81歳の誕生日を迎えていました。
仁は、おしんへの誕生日プレゼントとして、
17店舗目となる新店オープンを発表します。
しかしその出店先が、並木食料品店という浩太の店であることに
おしんは反発し、出店に反対してしまいます。
作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
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[出演]
乙羽 信子 (おしん)
高橋 悦史 (仁)
浅芽 陽子 (道子)
野村 万之丞 (希望)
佐々木 愛 (初子)
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制作:岡本 由紀子
演出:竹本 稔
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