連続テレビ小説おしん・完結篇(286)~(291)
仁が出店するスーパーたのくらの17号店が
浩太の並木食料品店のある商店街に建つ計画を知ったおしんは
浩太が田倉にとって大恩ある人物であることを説明しますが、
感情と商売は別、情におぼれていては
商売はやっていけない、とおしんの懇願を突っぱねます。
「道子の耳には入れないでほしいな。母さんみっともないよ」
翌朝、記者を集めて大々的に発表し、
地方紙では扱わない新聞社がないほどでした。
仁は満足げでしたが、ふと見せる複雑な表情が不安を誘います。
翌朝、おしんは朝食も取らずに浩太を訪ねます。
なんと詫びたらいいか分からないおしんですが、
スーパーたのくらも次の代に移っているし、
並木食料品店も子供に譲っているので、
次の世代のことは感知するものではない、と言ってくれます。
しかしその日以降、おしんは
新しい店のことには口を挟まず
部屋に閉じこもりっぱなしの暮らしが続いていました。
昭和58(1983)年3月、スーパーたのくらの17号店が完成し
あとはオープンを待つばかりとなりましたが、
そんな時、浩太から呼び出しの電話が入ります。
おしんは不吉な予感を感じつつ、出かけていきます。
浩太の情報では、スーパーたのくら17号店が建つ駅前の
さらに駅寄りのところに大手スーパーの出店計画があるそうで
並木食料品店を営む浩太の子供も
土地を売却して大手スーパーのテナントとして入ることを決意したのだそうです。
この情報はまだ仁にも伝わっていないはずだから、
おしんにはとりあえず早くお知らせしたとのことですが、
これはスーパーたのくらと並木食料品店の立場が逆転したどころか
スーパーたのくらにとっては浮沈にかかわることであります。
翌朝、17号店オープンの日、そのもやもやを抱えたまま、
おしんは朝早くに家出します。
おしんが家出して1ヶ月が経ち、
山形、酒田、東京、佐賀、伊勢と歩き続けた
おしんの旅も、ようやく終わろうとしていました。
「ひと月以上も連絡もしてこないで、こんなバカにした話ありますか!」
道子は案の定、たいそうご立腹ですが、
連絡を受けて帰ってきた仁は、ホッと一安心です。
仁は、圭と禎に席を外させ、並木家へ行ってほしいと頭を下げます。
どうやら並木食料品店は土地の売却を渋っているようで、
今ならまだ間に合うかもしれません。
昔のよしみで何とか、と懇願します。
仁に車で送ってもらい、おしんは浩太の庵を訪ねますが
土地売却の調印を渋っている浩太の息子の思惑が計り知れず
おしんは戸惑っていました。
「待ちくたびれました」
実は並木食料品店の持つ土地の中に、
浩太名義のものが残っていて、
調印を渋っているのは浩太であったのです。
浩太はおしんの本心を知りたいのですが、
おしんの考えは変わりません。
スーパーたのくらは身分不相応に大きくなりすぎたと考えています。
山形から佐賀への旅を終え、
どん底を再び経験することも、
どん底から這い上がる自信もできそうな気がします。
翌朝、浩太が土地売却の調印に応じたとと一報が入ります。
「何のために並木家へ行ったんですか!」と仁は怒鳴りますが
こうなった以上は戦うしかないんだ、と諭します。
もしそれでだめだったら裸一貫になればいい。
何度も店を立ち上げ、何度も店をつぶしてきたおしんの言葉です。
大手スーパーが駅前に店舗を構えたのはその年の暮れ。
スーパーたのくらなど足元にも及ばぬPRの中で、
おしんは、仁たちが何とか乗り切ってくれることを願っていました。
しかし…
「私の見通しの甘さで、たのくらをつぶすことになりました」
申し訳ありません、と仁は頭を下げます。
作:橋田 壽賀子
音楽:坂田 晃一
語り手:奈良岡 朋子
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[出演]
乙羽 信子 (おしん)
大橋 吾郎 (圭)
野村 万之丞 (希望)
佐々木 愛 (初子)
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浅芽 陽子 (道子)
高橋 悦史 (仁)
渡瀬 恒彦 (浩太)
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制作:岡本 由紀子
演出:小林 平八郎
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