大河ドラマ麒麟がくる・[新] (01)光秀、西へ ~若き明智光秀の旅がいま、始まる~
室町時代末期・天文16(1547)年──。
武家の棟梁である将軍足利氏は、家臣たちの権力闘争と
足利家の内紛により力を失っていた。
幕府は弱体化し、争いは各地へ伝染していった。
京から40里離れた美濃国にも、戦乱の波は押し寄せていた。
ここ明智荘では、子どもたちが元気よく追いかけっこいかけっこをし、
あるいは農作業を手伝う子どもたちの声が響き渡る、
お宮の鳥居をくぐって走っていった先には
広い田畑がどこまでもどこまでも続いているような平和な土地です。
そんな田畑の真ん中に立っているのが、明智十兵衛光秀。
実り多く、満足げに田畑を見渡していますが、
何かを感じ取ったか、駆けていって戦闘態勢に入ります。
農作物を強引に奪っていく、夜盗です。
家来の藤田伝吾の報告では、15騎以上はいそうだ、とのことですが
光秀は特に加勢は頼まず、いつもの訓練通り屋敷や蔵に身を潜めて、と指示して
さっそくその準備に入ります。
やがて、夜盗たちが姿を現しました。
「かかれ!」頭領の号令一下、夜盗たちは田畑めがけて駆けますが
光秀たちは、隠れた場所から夜盗たちに弓矢で応戦。
米を何俵か奪われながらも、徐々に敵を追い詰めていきます。
「おい!」という頭領の声に振り向けば、頭領は
なんだか見たことのない、長い筒状のものを構えていて、
次の瞬間、光秀の肩越しにいた与八がうめいて倒れそうになっています。
夜盗はそれで引き上げていくのですが、
光秀は戦況よりも、自分をかすめて与八の方に飛んでいった
頭領が持っていた武器に心を奪われます。
夜盗たちの忘れ物、といいますか、
三河で捕らえられて連れまわされていた農民をひとり捕まえました。
菊丸というその男は、近江あたりで売り飛ばされるという話だったようで、
逆に言えば、夜盗たちとはぐれて運よく助けられたわけです。
光秀は菊丸に、頭領が持っていた武器について尋ね、
それが鉄砲というものだと初めて知ります。
「堺でしか手に入らないそうです」
光秀の中には、いくら追い払ったって夜盗たちはまた来るし
何度戦えばこの明智荘を守れるのか、と自問自答しています。
それだけに、勝ち戦です、と言われても
心に悶々とするものが残ったままです。
作:池端 俊策
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
テーマ音楽演奏:NHK交響楽団
テーマ音楽指揮:広上 淳一
和太鼓演奏:林 英哲
題字:中塚 翠涛
脚本協力:岩本 真耶
時代考証:小和田 哲男
風俗考証:佐多 芳彦
建築考証:三浦 正幸
民事考証:星野 卓之
古文書考証:大石 泰史
殺陣武術指導:久世 浩
所作指導:花柳 寿楽
馬術指導:田中 光法
芸能指導:友吉 鶴心
庭園指導:北山 安夫
鉄砲指導:広瀬 一實
書道指導:金敷 駸房
兵法指導:木崎 俊造
:家村 和幸
双六指導:伊藤 拓馬
資料提供:小和田 泰経
取材:菅 將仁
衣装デザイン:黒澤 和子
特殊メイク:江川 悦子
タイトルバック映像:多田 琢
:井口 弘一
:稲垣 護
音楽プロデューサー:備 耕庸
撮影協力:岐阜県
:滋賀県
:京都府
:岩手県奥州市
:茨城県常陸大宮市
:栃木県塩谷町
: 壬生町
:千葉県匝瑳市
:林野庁 関東森林管理局 茨城森林管理署
[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
門脇 麦 (駒)
岡村 隆史 (菊丸)
石川 さゆり (牧)
西村 まさ彦 (明智光安)
谷原 章介 (三淵藤英)
村田 雄浩 (稲葉良通)
徳重 聡 (藤田伝吾)
綾田 俊樹 (質屋店主 牛蔵)
片岡 京子 (小見の方)
本宮 泰風 (頭領)
春田 純一 (長井秀元)
やべ きょうすけ (竹造)
安藤 聖 (ミキ)
鈴木 信二 (与八)
植木 祥平 (佐助)
大塚 明夫 (宗次郎)
本田 大輔 (三上)
生越 千晴 (常)
水野 智則 (木助)
川口 春奈 (帰蝶)
伊藤 英明 (斎藤高政(義龍))
一本気 伸吾 (僧侶)
針原 滋 (職人風の男)
細井 学 (初老の男)
苑美 (ウメ)
田中 乃愛 (駒(幼少))
天乃 大介 (頭目)
白畑 真逸 (武士)
鎌田 薫水
望月 太左幹
望月 左喜十郎
藤田 和也
梅原 喜三郎
藤間 貴景
翁家 勝丸
張 海輪
若柳 杏子
藤間 眞白
泉 秀彩霞
吾妻 君彌
久世七曜会
若駒プロ
JAE
劇団東俳
テアトルアカデミー
Yプロダクション
宝映テレビプロダクション
劇団ひまわり
クロキプロ
クラージュ
エンゼルプロダクション
麗タレントプロモーション
キャンパスシネマ
舞夢プロ
古賀プロダクション
グループエコー
レプロエンタテインメント
湘南動物プロ
TANIMOTO HORSE RANCH
グローバルアニマルアクト
奥州市のみなさん
高橋 克典 (織田信秀)
吉田 鋼太郎 (松永久秀)
堺 正章 (望月東庵)
本木 雅弘 (斎藤利政(道三))
制作統括:落合 将
:藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
美術:犬飼 伸治
技術:増田 徹
音響効果:畑 奈穂子
撮影:清水 照夫
照明:中井 智行
音声:久野 裕大
映像技術:浜田 惇
VFX:西垣 友貴
CG:佐藤 法子
助監督:野村 裕人
制作担当:石田 友寛
編集:佐藤 秀城
記録:加賀見 佳子
美術進行:峯岸 伸行
装置:須藤 保
装飾:小林 昭浩
衣装:竹林 正人
メイク:清水 愛
かつら:野崎 徹
演出:大原 拓
光秀は今回の野党との戦いで気づいたことを、
殿(=斎藤利政)に進言してみようかと考えていますが、
明智城を預かる明智光安は大反対。
光秀は「くわっ!」と地団駄踏んで悔しがります。
ただ、黙っていられないのが光秀の気性。
美濃稲葉山城下まで来てはみます。
鷹狩に出かけている利政の帰り道に、
偶然を装ってお会いしよう、という光秀の魂胆なのです。
しかし、利政は鷹狩を中止にしていました。
利政の妻で光秀の叔母にあたる小見の方の病状がよくないのです。
だから城下で光秀がどれだけ待とうが、利政は通りかからないのですが、
運よく、嫡男の斎藤高政が通りかかります。
高政と光秀とは机を並べた学友でして、
事情を察した高政は、光秀を城の中に導きます。
希望通り利政と対面することができた光秀は、
夜盗の頭領が持っていた鉄砲について話し、
今後の美濃がどうあるべきか、都のことや堺のこと、鉄砲のことも
美濃から出て勉強をしたいと願い出ます。
利政は自分の得にならないことには出費しない男なのですが、
名医を京から連れてきて小見の方を看てもらうことを提案すると、
手のひらを返すように賛成してくれました。
光秀は何でも勉強、と、垂井宿で職人風の男に刀についての情報を聞き、
琵琶湖を渡る船から、世間の広さを実感します。
比叡山では僧たちから通行料を強奪され、
民百姓が縄につながれ、連れていかれる場面にも遭遇します。
堺にたどり着いた光秀は、いろいろなものが並べられて
にぎわっている活気あふれる店をいくつも見ます。
「なんだここは」と舌を巻くのも無理はありません。
さんざん探し回った挙句、光秀は
職人風の男に教えられた、辻屋にたどりつくことができました。
そこで鉄砲を売っているかどうかを尋ねると、
不都合なのか、ごにょごにょととぼける有様です。
「鉄砲にご興味がおありかな」
声をかけてくれたのは三淵藤英という将軍家奉公衆です。
藤英は、鉄砲を試し打ちするというので、光秀に
ついてまいられるがよろしかろう、と勧めます。
鉄砲の球を放って的を射るまであっという間です。
しかし、筒を掃除し、球を込め、用意をしていたのでは
はるか弓矢の方に軍配があがります。
藤英も、さほどすすめるような品物ではない、という印象です。
帰っていく藤英に、バチバチと火花を散らして睨みつける男がいました。
松永久秀です。
鉄砲商人・宗次郎に、久秀が来ると知りながら
“あの連中”(=藤英)などを客に呼ぶのはどういうことかと詰め寄ります。
不穏な空気が屋敷内を包む中、光秀の方を振り返った久秀は
光秀が美濃から来たと知っているらしく、険しい顔がパッと笑顔になります。
この松永久秀、美濃国も美濃の人も大好き、と公言してはばからないわけです。
それは、すべて斎藤山城守利政の国であるから、という一言で収まります。
どうやら久秀に気に入られたらしい光秀は、
半ば強引に飯屋に連れていかれます。
そこで、先ほどの藤英ら将軍家奉公衆のことを教わるのですが、
いわば、久秀の首を狙っている者たち、とでもいいましょうか。
光秀も、勧められるままにどんどん酒が進んでいき、
主君利政をケチだと言ってみたり、好きにはなれないと言ってみたりで
かなりすれすれのところの暴言を吐きますが、
最終的には久秀の膝の上で、酔って寝てしまいます。
しめた、という顔の久秀です。
翌朝、目が覚めた光秀は、懐の銭がないことに気づきます。
枕元には「また會ハむ 久秀」の置手紙と、鉄砲。
ひゃっ! という、聞いたことのない声で驚くのも無理はありません。
光秀は、飛んで跳ねて堺の町を後にします。
京の都まで戻った光秀は、目の前に広がる光景に愕然とします。
かつては誰もが憧れる美しい都であったはずなのですが、
屋敷が焼かれ、人々は住むところを追われている有様。
都は今や、貧しい者たちの巣窟となっていたのです。
光秀は、利政との約束通り、京で一番の名医を探し歩きますが、
将軍ですら近江へ逃げているという現状、
名医は京にはいないだろう、という声もあり。
光秀は肩を落としつつ、それでも探し続けますが、
六角堂の近くに望月東庵という名医がいるらしい、
という炊き出し中の僧侶からの情報を得て
まずは教えられたところに向かってみます。
「東庵先生はいません。お借りしたお金なら返せません」
東庵の治療院から出てきた助手の駒が教えてくれました。
借金の肩代わりとして薬一式をごっそり持っていかれ、
それがなくては治療することすらできない、と。
光秀が京の名医を美濃にお連れする役目を負っていることを
知った駒は、そのまま東庵の家に連れていきます。
しかし東庵は、説得よりも先に金では動かないと言い出します。
「100貫だろうが1000貫だろうが、美濃へは行かぬ」
金は欲しい、金に余裕があれば薬をたくさん仕入れて
道具も新しくしてもっとたくさんの患者を診れる。
金のない民の病気も診てやれる。
しかし東庵は、ある時から公家や大名の脈をとるのはやめようと決めたのです。
いくら名医とはいえ、犬の治療をしてくれと言われてもできません。
東庵には東庵なりのプライドがあったわけです。
光秀の死んだ父親も、誇りは失うなと教えてくれていました。
「これ以上は申しませぬ。お気持ち腑に落ちました」
一礼し、出ようとしたとき、家周辺は火の海となっていました。
盗賊が火をかけて回っているのです。
酒屋の娘・ウメが家の中に取り残されていると聞いた光秀は、
駒と一緒に酒屋に急ぎます。
水をかぶった光秀は、父親とともに中に入り、
ウメの上に倒れている大木を持ち上げて救出します。
駒も、幼いころの戦の火事で両親を失ったみなし児でした。
駒を助け出した男は、いずれ戦は終わると励まします。
いずれ誰かが戦を終わらせてくれる、と。
「麒麟を連れてくるんだ」
麒麟というのは、穏やかな国にやってくる不思議な生き物で、
麒麟を呼べる人が必ず現れるからもう少しの辛抱だ、と。
その話を頷きながら聞いていた光秀は、つぶやきます。
「どこにも…麒麟はいない。誰かが変えなければ麒麟は来ない」
駒と入れ替わりで現れた東庵は、光秀の前で
恥ずかしそうにうろうろしています。
家が焼け、治療ができない。直すには金がかかる。
「いっそ、美濃にでも行くか。善は急げと申すからな」
そのころ、尾張の織田信秀が大軍を率いて
隣国美濃へ攻め込む構えを見せていました。
利政の娘・帰蝶は、その軍に加えてもらおうと急いで馬で稲葉山城に戻りますが、
利政にはあっけなく断られてしまいます。
戦支度にかかろうとする明智光安を呼び止め、
光秀は息災かと尋ねますが、
まだ旅から戻ってないことを教えられます。
「旅!?」
天文16年、冬まぢか──。
※通常の大河ドラマシリーズであれば、主人公の大きな出来事に軸を合わせ
「あと〇年」といった表現でカウントダウンをしていくのですが、
今回は池端俊策先生(脚本担当)より「本能寺から逆算はしないでほしい」という
お達しがあり、その流れにのっとってカウントダウンはしないこととなりました。
あしからずご了承くだされ。
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『麒麟がくる』
第2回「道三の罠」
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