プレイバック信長 -KING OF ZIPANGU-・(10)骨肉の争い
【アバンタイトル】
信長は、守護代を排除することで、
事実上 下4郡を制することになったが、
その実情は複雑であった。
下4郡の領地すべてを完全に支配できたわけではなかった。
領内には、貴族所有の領地、寺や神社のもの、
そして土着の地侍・豪族たちの土地が混在していて、
それぞれが、領地内の農民や商人などを支配していた。
信長は、まだ大名にはなっていないが、
一般的に守護大名はそれら領地所有者から税を上納させていて、
直接、農民や商人から税を徴収していたわけではなかった。
そのために、大名の領国経営は複雑であり、
経済面からも多くの不安定要因を抱えていた。
その結果、大名の権力が衰えれば、
下からの力によって倒されたのである。
信長はいま、
尾張の小勢力の中で一歩抜きんでてはいたが、
完全な支配体制を確立するためには、
まだほど遠いものがあった──。
斎藤道三が子の斎藤義龍の攻撃にあって
あえなく討ち死にしてしまったことは、
その娘・帰蝶にとってはこの上ない不幸であって、
毎日毎日をふさぎ込んで暮らしております。
気性の荒い信長にしては珍しく、風そよぐとか、山鳩の巣がなどと
帰蝶の気持ちが晴れるように思いやって言ってみますが、
そんな言葉面で動くような帰蝶ではありません。
「もう一度会わせてくださると仰せでしたね…お恨み申し上げます」
末森城の様子が少しおかしいように感じ取れますが、
その火種がどこなのかははっきりとは分かりません。
末森城から来た佐久間盛重によれば、信行は
信長に命を奪われるかもしれない、とおびえている様子で
林 通勝の那古野城と頻繁にやり取りがあっているとのことです。
やはり信光暗殺、喜六郎殺害が信長の命で行われたことと信じているようで
熱田港のことも、信行に譲れば総領家が立ち行かなくなると
母・るいを通じて断ったはずですが、それが、信行の領地をすべて
召し上げられるかもしれない、という不安になっているようなのです。
優しいお言葉をおかけくだされ、と頭を下げる盛重ですが、
池田恒興は、信長に自ら末森城に出向いて話をせよというのか、
かといって疑念しかもっていない信行が清洲城に来るとでもいうのか、と
矛盾点をズバリ指摘して盛重を怒らせてしまいます。
「あー、心沸き立つことはないものか!」と
信長は鷹狩の用意をさせて出かけていきますが、
今は、その休憩地点として利用している生駒屋敷の
しのに会うことだけが、唯一の楽しみです。
信長の命により末森城に入った加納随天ですが、
信行はいいカモが来たと、随天の命を奪って血祭りにあげ、
信長との直接対決に持ち込むつもりでいます。
母・るいはそれを察知し、信行対面の時を待っている随天を仏間に案内します。
しかしそれも時間の問題で、信行は仏間に押しかけてきました。
随天は、もし領地が欲しいのであれば他国を攻めればいい、
信長と仲直りして母上を大事になされよと伝えますが、
今や随天殺しが目的の信行は全く聞く耳を持ってくれません。
随天が死ねば母も死ぬと言い出したるいに、
汚らわしい…!! と軽蔑した信行に、何度も何度も殴りつけるるいです。
「この母に、生きながらえて兄弟の殺し合いを見よと申すか!
そなたたちをこの世に産みしは、殺し合わせるためではありませぬ!」
この全世界において共通なのは、母親の子どもへの愛情でしょうか。
貧しく暮らしていた母親は、それでも子供の自分を14歳の時に神に捧げてくれました。
ルイス・フロイスは、そんな母親や家族から離れ、欲を捨て、
今はインドのゴアで、神にすべてをささげる毎日を過ごしていました。
慈海も、貧しかった幼いころに親に捨てられ、
今は宣教師や修道士たちと行動を共にしています。
月夜に誘われ外に出てみると、赤子が捨てられていました。
「神様…この子をお助け下さりませ。この子の母親をお許し下さりませ」
守山城城代を任せていた弟の織田信時が、家老に斬られて絶命します。
信長はそれを信行の差し金と思い込み、
信行はそれを信長の差し金と思い込み、
もはや兄弟対決は避けられない様相になってきました。
信行の家臣たちも信長のもとにはせ参じ、信行軍は崩れつつあります。
信行を打ち取れ! 首上げよ! と信長が目前に迫る中、
林 通勝は撤退を進言しますが、聞き入れてもらえず。
この戦いで、通勝の弟・林 美作守を失います。
通勝と柴田勝家で信行を引き戻し、撤退の合図を撃って末森城に逃げ帰ります。
この戦いは、信長の圧勝でした。
ほどなくして、末森城から信行の助命嘆願に
るいと通勝、勝家が清洲城に入ります。
原作・脚本:田向 正健
音楽:毛利 蔵人
題字:渡辺 裕英
語り:ランシュー・クリストフ
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[出演]
緒形 直人 (織田信長)
菊池 桃子 (帰蝶)
高橋 惠子 (るい)
的場 浩司 (池田恒興)
滝田 栄 (柴田勝家)
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高木 美保 (しの)
稲川 淳二 (慈海)
本郷 功次郎 (佐久間盛重)
フランク・ニール (ルイス・フロイス)
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仲村 トオル (藤吉郎)
柴 俊夫 (滝川一益)
宇津井 健 (林 通勝)
平 幹二朗 (加納随天)
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制作:八木 雅次
制作著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:渡辺 紘史
制作協力:NHKアート
:NHKテクニカルサービス
演出:小松 隆
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