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2020年3月31日 (火)

プレイバック信長 -KING OF ZIPANGU-・(25)野望

【アバンタイトル】

当時、都の人たちにとって、織田信長という田舎大名は知る由もない人物だった。
その信長が、東の方から数万の軍勢を率いて、いきなり上洛してきたのである。
上から下まで大騒ぎになったようだ。
家財道具をもって逃げ出す者も多かったという。

朝廷からも信長軍に「上洛するらしいが、洛中で略奪暴行が起こらぬよう、
くれぐれも軍規を引き締めなさい」という命令書が発せられた。
正親町天皇も、祈祷を行ったほどである。

信長軍は、上洛すると本陣を東寺に置き、足利義昭は清水寺に陣を敷いた。

東寺は京の都、いわゆる平安京の入り口あたりに建てられたものであるが、
信長がそこを本陣としたのは、都を背に、大坂方面の敵を見渡すためであった。
当時、この寺は都のはずれで、その先はもう田畑の広がる田園地帯であったようだ。
信長にとってその景色は、まさに天下からの眺めであったに違いない──。

織田信長が上洛し、当時を本陣としたことは、
遠く堺の今井屋敷で居候となっている帰蝶の元にも知らせが届きます。
帰蝶にしては珍しくパアッと表情が明るくなり、
信長に書状をしたためるなど大喜びしています。

信長は上洛するや、三好三人衆を追うべくそのまま摂津へ攻め込み、
半月ほどで敵を破ってことごとく四国へ追い払うなど功績を上げます。
松永久秀に関しては三好攻めで織田方に味方し、政治にも通じているので
信長自身は久秀を味方に引き入れようと考えています。

報告を聞いた足利義昭は、信長の功績を褒めたたえつつも、
久秀の処遇についてはイマイチ納得できません。
なぜなら久秀は、義昭の母と兄を殺害した張本人であり、久秀を滅ぼしてこそ上洛の意味があるのです。
義昭は信長に、早い段階での久秀討伐を命じます。

昨日まで無名の尾張の田舎大名が、新将軍を奉じて上洛したとあって
近隣の商人たちはこぞって信長と面識を得ようと集まってきます。

堺の今井宗久もその一人で、帰蝶の紹介状を持って挨拶に赴くことにしますが、
せっかく挨拶に行くのなら、ほかの商人たちよりも良い評価を得たいと
信長の好きなものは何か、とリサーチをかけます。
しかし帰蝶は「真心じゃな」となぞかけのような答えだけ出しておきます。

信長のもとに、久秀が挨拶に訪れます。
信長が久秀と会うのは実は二度目であり、一度目は
信長が尾張統一をなし上洛した時に、前の将軍足利義輝の家臣として対面しています。
その時には着物の派手さまで大げさに褒め、信長に赤っ恥をかかせてくれました。

そして今回、織田方に味方すると表明した久秀には、信用を形で示してもらうべく
近隣の土豪たちで従っていない者たちがいるので、それらをことごとく制圧せよと命じて
話はそれからだ、と皮肉で返します。

久秀は詫びの印に、高価な茶器「九十九髪(つくもがみ)」を信長に献上しますが、
おぉ九十九髪…と信長は顔色変えずに、特段驚きもせずにそれを受け取ります。
久秀は信長の元を辞したとき、信長がいかにもあっさりと受け取ったので
知ったかぶりをして値打も知らない田舎侍が、と蔑んでいます。

久秀を許す形となったことで、立腹したのは義昭です。
余があれほど言ったのに、と、怒りは久秀へから信長へと変わっていきます。
義昭が征夷大将軍の任を受けるという時に、そのきっかけをつくった信長と事を構えては
義昭にとっては不利だと、細川藤孝は義昭に、おとなしくしているように諭します。

松島という壺と貞応茄子という茶入れをもって宗久が信長のもとへ参上しました。
信長が宗久に、久秀から献上された九十九髪について、
二つとない一品だと教わって初めて、その値打ちを知ったわけですが、
改めてその高級さに驚愕する信長です。

10月中旬、義昭は信長とともに上洛し、天下に立つことになりました。
義昭は朝廷から征夷大将軍に任ぜられ、第15代として将軍の座につきます。

その義昭の横顔を見ながら、信長はのほほーんと座る義昭に呆れ
織田家重臣たちを集めて今後のことについて決定する会議を開きます。
佐久間信盛・丹羽長秀・木下藤吉郎・明智光秀の4名は都に残り、
秩序を守って幕府を助けるように命じられます。

義昭は、功のあった信長に管領職、副将軍職をちらつかせますが、信長は断ってしまいます。
使者となっていた藤孝は、信長に高い位を用意せねば秩序が乱れてしまうと困り果てますが、
信長はその代わりに堺、大津、草津の港を信長の支配下に置くことを求め、承諾されます。

自身の栄達を望む上洛ではない、というのが、管領職、副将軍職辞退の表向きの理由なのですが、
信長の本心は、幕府など無用の長物だ、というところです。

名指しされた堺では、宗久が「信長ごときの所領になってたまるか」と
戦の準備を始めます。
そして将軍は…信長の真意を測りかねています。
それぞれの思惑が渦巻く中、信長は軍勢を率いて美濃に戻ります。


原作・脚本:田向 正健
音楽:毛利 蔵人
題字:渡辺 裕英
語り:ランシュー・クリストフ
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[出演]
緒形 直人 (織田信長)
菊池 桃子 (帰蝶)
高橋 惠子 (るい)
若村 麻由美 (なべ)
的場 浩司 (池田恒興)
滝田 栄 (柴田勝家)
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仲村 トオル (木下藤吉郎)
勝野 洋 (細川藤孝)
マイケル 富岡 (明智光秀)
橋爪 淳 (前田利家)
杉本 哲太 (丹羽長秀)
清水 ?治 (松永久秀)
田中 健 (佐久間信盛)
篠田 三郎 (稲葉良通)
柴 俊夫 (滝川一益)
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中山 美穂 (ねね)
佐藤 慶 (今井宗久)
宇津井 健 (林 通勝)
平 幹二朗 (加納随天)
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制作:八木 雅次・加藤 郁夫
制作著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:渡辺 紘史
制作協力:NHKアート
NHKテクニカルサービス
演出:岡田 健

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