大河ドラマ麒麟がくる・(11)将軍の涙 ~今川織田和睦の為 光秀は将軍のもとへ~
天文18(1549)年 11月。
尾張の織田信秀のもとに人質として置かれていた三河の松平竹千代は
駿河の今川義元のもとへ送られることになりました。
今川方に捕らえられていた信秀の息子・織田信広との人質交換のためです。
この人質交換は、一進一退を続けていた東海地区の覇権争いに大きく影響するものでした。
城を奪われた武者として、満身創痍で帰ってくるべきものを
信広は無傷で帰ってきたことに、信秀は非常に腹立たしく
自分も肩の古傷がもとで弓を強く引けない身体になってしまったことをふがいなく感じています。
一方、駿河館に入った竹千代は、今川義元の歓待を受けますが
「私は三河へいつ帰していただけるのでしょうか」との竹千代の疑問に
義元と信秀が争う現状ではいずれ三河は滅びると太原雪斎は竹千代を見据えます。
三河国内を鎮めるまでの辛抱、と義元に言われて竹千代は一礼します。
翌 天文19(1550)年・夏、義元は尾張の知多半島を制圧し、
信秀の非力ぶりが明らかとなってきました。
信長-帰蝶の婚姻による美濃と尾張の盟約は、
迫りくる義元の脅威に今にも崩れようとしています。
斎藤家の家臣団はみな、美濃、あるいは斎藤家が危うくなれば
稲刈り時であっても稲葉山城にはせ参じるつもりでおりますが、
織田の援軍としてであれば集まる兵はひとりもいない、と鼻で笑います。
実際、義元との戦いを前に平手政秀が利政宛に援軍の要請を求めてきていますが、
兵糧米は送れるが援軍の兵は送れないと返事するしかありません。
その使いとして、利政は光秀を利用します。
援軍が遅れないことを知ると、てっきり大軍を得たと考えていた政秀は
その当てが外れて言葉を失い、力なく対面場を後にします。
その場に残された帰蝶は、自分はもう尾張を去るべきか光秀に尋ねますが、
切り札である帰蝶をむざむざ美濃に帰すことはあるはずもなく。
後から現れた信長は、ここは前戦となっている城を譲り渡す条件で
今川とは和議に持ち込むしかない、と考えています。
帰蝶は、かつて光秀が将軍家の家臣とよしみを通じたことを思い出すと、
帰蝶のためにもここは思案のしどころぞ、と信長も大きくうなずきます。
美濃に戻った光秀でしたが、仲介手数料がかなりかかるとかで
利政はびた一文も支払わぬと光秀の要求を突っぱねます。
光秀は仕方なく、嫡男の高政に頭を下げ、戦を止めさせるのだと説得し、
土岐頼芸に会わせてほしいと頼み込みます。
事情を理解した頼芸でしたが、そもそもは織田と盟約を結ぶという
種をまいた高政が仲介手数料を支払うべきだと思うのに、
それを自分が支払うのは納得ができません。
特に、稲葉良通の情報によれば、高政は頼芸を追い出して
美濃の守護の地位を欲しているという話まで持ち上がっています。
そんな相手に自分がここまでやってやらねばならないのか、と考えると
どうも納得できない部分が出てきてしまうのです。
そのころの京は、権勢を誇っていた管領の細川晴元に不満を抱く
家臣の三好長慶による内紛が起きていました。
長慶による下克上は将軍足利義輝さえも巻き込み、
義輝は近江国朽木に落ち延びざるを得ませんでした。
将軍のいない京、そして近江の一帯は、長慶による取り締まりが厳しく行われていました。
偶然に細川藤孝と再会した光秀は、頼芸の書状を持参して何とか義輝に拝謁を願い出ます。
義輝は、将軍たるもの武士の鑑として、争うなと命じて平定せねばならないのに
それができず、権力闘争に利用されてしまっている己の立場を無念だと感じています。
強い子になれ、声は大きく、よい耳を持ち、よく学べ。
そうすれば立派な征夷大将軍となれる。世を平らかにできれば、麒麟がくる。
義輝の父・義晴の教えですが、義輝は自らの立場を鼻で笑います。
「わしは、その麒麟をまだ連れてくることができない。無念じゃ」
作:池端 俊策
脚本協力:岩本 麻耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
西村 まさ彦 (明智光安)
谷原 章介 (三淵藤英)
向井 理 (足利義輝)
眞島 秀和 (細川藤孝)
尾美 としのり (土岐頼芸)
伊吹 吾郎 (太原雪斎)
村田 雄浩 (稲葉良通)
上杉 祥三 (平手政秀)
山路 和弘 (三好長慶)
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川口 春奈 (帰蝶)
伊藤 英明 (斎藤高政(義龍))
片岡 愛之助 (今川義元)
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高橋 克典 (織田信秀)
本木 雅弘 (斎藤利政(道三))
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:大原 拓
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