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2020年4月 5日 (日)

大河ドラマ麒麟がくる・(12)十兵衛の嫁 ~ついに光秀が身を固める~

天文20(1551)年、近江へ避難中の将軍・足利義輝の元から戻った明智光秀。
屋敷に戻ってからというもの、何も言わず、ただひたすらに薪を割り続けます。
何かふさいでいる光秀に、こういう時こそ嫁が必要という光安に、
母親の牧は、力なく肩を落とすばかりです。

光安の子・左馬助は明日、藤田伝吾たちと鷹狩に行くということなので、
光安は光秀も誘ってみてくれと頼み込むのですが、娶わせたい相手が妻木にいるので、
妻木で…鷹狩は…よいかもしれぬぞ? とそれとなくその方向に向かわせようとしています。
「ああ…妻木。おっほほほ」

美濃・妻木──。
鷹狩で一休み中の光秀ですが、その脳裏には、義輝の言葉が響き渡っていました。
「十兵衛…麒麟がくる道は、遠いのう」

その回想シーンを打ち破ってくれたのは、熙子でした。
鷹狩にきたものの、久々に外に出て空を見上げると澄んでいて、気持ちよくて
のんびり走らせているうちにはぐれてしまったことなど
熙子の前では照れ隠しか何でもかんでもしゃべってしまう光秀でした。

妻木館に誘われた光秀でしたが、この日は帰ることにしました。
見送ってくれるというので、ふたりでとぼとぼと歩いていたのですが、
言葉はなくても、光秀にとっては至福の時だったかもしれません。
「熙子どの…この十兵衛の…嫁になりませぬか」

人生の岐路というのに、熙子はニコニコしたままです。
もしかしたら、熙子の中でもどこかでそういう言葉を期待していたのかもしれません。
お考えいただきたい、との言葉に大きくうなずく熙子。
小鳥のさえずりの中の、光秀の求婚です。

尾張と三河の国境で戦っていた織田信秀と今川義元は、
足利義輝の仲介もあり、ついに和議を結びます。
結果、今川方は、劣勢だった織田方から
尾張に接した重要な拠点を手に入れることができました。

尾張・末森城では、病状が日に日に悪化していく信秀の容態が
いよいよ危ういものとなっていました。

信秀は万が一のために、信長、信勝をはじめとする家臣団一同に
遺言として、この末森城は信勝に与えることを伝えます。
信長にはこれまでどおり那古野城を任せ、織田家を切り盛りしていってもらいたい、と。

信長は、末森城ならいざ知らず、那古野城では力を発揮できないと不服を申し立てます。
信秀は、信長に家督を譲るべく、自ら身を引いて那古野から末森に移ったのですが、
信長は、今川の前線基地である末森城の方がいい、と言いたげです。
ここでも信秀・信長の話し合いは分裂で終わってしまいます。

信長は、あくまで信秀は土田御前の言いなりだと主張しますが、
帰蝶は信長の話を聞いて合点がいかない部分もいくつかあります。
帰蝶は、信秀の求めである望月東庵を呼び寄せることを条件に、
信秀の心の内を聞かせてほしいと願い出ます。

「尾張を任せる、強くなれ」
その言葉を引き出した帰蝶はさっそくに信長に伝え、叱咤します。
そして約束通り、京から東庵を呼び寄せるべく急ぎの手配をかけるのです。

京の東庵の庵では、丹波から流入した三好の敵と戦があったとかで、
負傷者が多数担がれて治療が続けられていました。
東庵は、戦の被害者からは薬代をもらわない主義なのですが、薬代はともかく
手伝ってくれる医者に謝礼を支払わなければならないので、金策に走り回っていたのです。

九条家へ赴き、闘鶏で金を稼ごうとしましたが、あえなく負けてしまいました。
その額40貫と聞いて、駒のみならず伊呂波太夫でさえあきれ果てる額です。
さらに賭けようとする東庵に駒は、尾張の帰蝶から届いた書状を東庵に手渡します。
「尾張へご来駕(らいが)あれば、謝礼は望みのまま」

明日までに40貫用意できなければ、屋敷をかたにとるという話なのですが、
それは伊呂波太夫が肩代わりすることになりました。その代わり
尾張で用を済ませたら、そのまま足を延ばして駿河へ向かってほしいという依頼です。
豪商の子が病弱で、見てもらえれば謝礼は100貫出すそうです。

東庵も、弱いばくちでちまちま稼ぐより、己の技術で確実に稼いでいった方が
よっぽど容量がよさそうですが、本人はなかなか気づいていない部分であります。

美濃では、守護土岐頼芸から鷹が贈られます。
頼芸が大切に大切に育ててきただけあって、非常に力強く、魅力的な鷹です。
その鷹が利政目掛けて飛んでくるのですが、
代わりに鷹を受けた近習が爪に塗られた毒にたちまち侵され、狂って死んでしまいます。

頼芸は、利政に鷹を贈るそぶりを見せながら、その実は
鷹を使って利政を暗殺しようとたくらんでいたことになり、
その本意を知った利政は、頼芸に対して激しい憎悪をにじませます。

明智家では、光秀と熙子の婚儀が進められておりました。
光安は、兄の願い通り光秀を一人前に育て上げることを使命と考えているので
いまこうして独り立ちする甥の光秀に目を細めます。

稲葉山城から緊急の招集がかかり、斎藤家家臣団が全員城に集まります。
昼の鷹の一件を伝え、頼芸と一戦交えると宣言します。
土岐家を敵とすることに異論があれば立ち去れ! という利政に、
誰一人として動こうとするものはおりません。

美濃の守護家と、戦国大名の戦い。
斎藤家家臣団は一つになったはずですが、その実は
土岐家を守ろうとする斎藤高政と、それに従う稲葉良通たち家臣団たちに
戦いを挑もうとする利政という図式となっていました。

尾張にたどり着いた東庵はさっそく末森城に上がり、信秀と対面しますが、
微動だにしない信秀を不審に感じた東庵は、信秀の脈をとります。
「…一足先に、お上がりになったか」
天文21(1551)年3月、信秀はその生涯を閉じました。


作:池端 俊策
脚本協力:岩本 麻耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
門脇 麦 (駒)
木村 文乃 (熙子)
石川 さゆり (牧)
西村 まさ彦 (明智光安)
向井 理 (足利義輝)
尾美 としのり (土岐頼芸)
間宮 祥太朗 (明智左馬助)
村田 雄浩 (稲葉良通)
上杉 祥三 (平手政秀)
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川口 春奈 (帰蝶)
伊藤 英明 (斎藤高政(義龍))
片岡 愛之助 (今川義元)
檀 れい (土田御前)
尾野 真千子 (伊呂波太夫)
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高橋 克典 (織田信秀)
堺 正章 (望月東庵)
本木 雅弘 (斎藤利政(道三))
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:佐々木 義春

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