大河ドラマ麒麟がくる・(13)帰蝶のはかりごと ~土岐頼芸、追放!~
天文21(1552)年、縁側で大の字になって昼寝をしている明智光秀ですが、
「何ゆえわしが殺されなければならんのだ」という斎藤利政の声と
「わしは土岐様を守る。父上と戦う」という斎藤高政の声が
頭の中をこだまして、よく眠れません。
利政も高政も、光秀の力を借りたいと思っていて、
間に立たされた形の光秀は、むくっと起きて腕を組んで考え込みます。
新妻の熙子は、部屋から一歩も外に出ず、食事にもほとんど手を付けない光秀が心配ですが、
牧からは、放っておくように言われます。
光秀は利政の元に上がり、土岐家と戦う迷いを正直に思いを打ち明けます。
光秀にとってはどちらかといえば嫌いな利政ですが、京や大坂へ見聞を広めたい折、
鉄砲について勉強したい折、利政は必ず理解してくれて送り出してくれました。
ご恩を感じる利政ゆえに、光秀は弓引けるわけはないのですが、利政が土岐と 戦うのが悲しいのです。
光秀の決死の涙を見て、利政は戦をしないと約束してくれますが、
戦をしないというだけで、無条件で他国へ追放するつもりです。
鷺山の土岐頼芸の館では、鷹狩の準備で大忙しですが、
鷹匠が青ざめた顔で腰を抜かしています。
頼芸が丹精込めて育ててきた鷹たちがすべて、無残な姿で発見されたのです。
頼芸のためにはせ参じた高政は、この館を本拠地に
利政と一戦を交えたいつもりで平伏しますが、頼芸はもう逃げ出したくてたまりません、
「わしは…ここを出る!」
結果的に取り残された哀れな忠義者となってしまった高政は、
鷺山から稲葉山城に戻ってもその怒りは収まらず、
深芳野のところで遊んでいる利政のところへ。
「そうさせたのはお前ではないか!」という言葉に、利政は表情をさっと変え
言葉は刃物、気を付けて使え、と高政を睨みつけます。
父親と信じて疑わない土岐頼芸を失って正気を無くしている高政に、
実の父である利政は「わしじゃ」と言っても聞き入れてくれず。
そろそろ隠居を考えていた利政だけに、高政に家督を譲るのは時期尚早と思われるだけでなく、
利政自身の高政に対する信頼度も、一気に無くしてしまう形になってしまいます。
息子を頭領に、とひそかに願っていた深芳野の願いも、もろくも崩れ去ります。
織田信秀の死を好機と読んだ今川義元は、尾張に攻め入るべく浜名湖畔を進軍中でした。
尾張から駿河へ向かう望月東庵と駒は、その軍勢とすれ違う形で遭遇しますが、
進軍の音とは別に、どこからかぶつぶつと男の声が聞こえてきます。
駒は、声を発している男をじっと見ていましたが、あっという間に男が駆け寄ってきます。
「これ、何と書いてあるのだ? わし字が読めぬので」と
なれなれしく話しかけてきた行商人姿の男は、藤吉郎。
後の木下藤吉郎、豊臣秀吉のことであります。
駒が書物につづってある文を読んでいくと、藤吉郎は「なるほど、こういう意味じゃな?」とか
「こうたしなめておるわけじゃな?」と、意味に関しては即座に飲み込んでいきます。
それよりも、今川の軍勢を見て藤吉郎が、今川事情や織田事情を詳細に語ってくれるあたり、
ただ者の行商人ではないな、と駒や東庵は感じ取ります。
天文22(1553)年 閏正月、織田信長の家老であった平手政秀が自害します。
ここのところの織田家は内紛が続いておりまして、
織田信秀が亡くなったと分かったとたんに、清洲城の織田彦五郎や
岩倉織田家が、寄ってたかって信長に戦を仕掛けてきていました。
「身内ほど当てにならぬ者はない」という信長の言葉には、
そんなつまらない家督争いを経験した信長なりの重さがあるのです。
平手は、自分が腹を切ることで信長に賛同してほしかったようですが、
切腹ぐらいで心を開くような連中ではありません。
那古野城に戻ってきた信長に、帰蝶は一通の文を手渡します。
斎藤利政が信長と対面したいという内容のものでした。
このまま織田家と和睦状態を続けるのかどうか、または
全くの新しい考えがあるのか、信長はフル回転で利政の考えを読み取ろうとします。
もし和睦状態を解消するならわざわざ会うまでもないでしょう。
であれば、直接会って殺害して、尾張をそっくりいただく、とか?
会いにはいかぬ、という信長に帰蝶は、それこそ和睦が消えうせると進言、
何とかして会わせようと信長を説得します。
信秀という男は、旅芸人一座の座長・伊呂波太夫をよくかわいがっていました。
紀伊の根来衆などあちこちの国衆と縁が深く、
根来の強い兵や鉄砲兵などを容易にかき集めてくるので、
戦となったら伊呂波太夫、とずいぶんと頼りにしていたようです。
翌朝帰蝶は、古渡の城下で信秀追悼の興行中である伊呂波太夫に会いに、
一角にある一座の楽屋を訪問します。
そこで、急ぎで強い兵を集めたい、鉄砲の数もたくさん揃えたい、と伊呂波太夫に発注します。
最初は「高うつきます」と微笑みがえす伊呂波太夫でしたが、
帰蝶の本気度を感じ取り、とまどっていると、さらに帰蝶はとんだ行動に出ました。
銭をどんどんと高く積み上げ、黄金をまき散らします。
「ふふっ。手付じゃ」
利政は、10日後に信長と、尾張と美濃の国境にある聖徳寺で対面することにします。
利政は、信長に会ったことがあるという光秀に供を命じます。
利政は、もし自分が信長であれば、舅は自分に毒入りの盃を勧めるかもと思いますが、
大事な娘の婿に、そんな大それた真似はできません。
しかし現在の信長は危機的状況であることもまちがいありませんで、
実際に、清洲城の尾張守護代織田彦五郎の名代として河尻秀隆が美濃にやってきて
信長を殺して以前のように清州と美濃で同盟関係になりたいと言ってきたのです。
どちらにしても10日後に信長にあってから、と態度を保留しておきます。
4月、信長との対面に向けて利政は稲葉山城を出発し、
尾張富田・聖徳寺の近くで信長を待ち伏せすることにしました。
作:池端 俊策
脚本協力:岩本 麻耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
門脇 麦 (駒)
木村 文乃 (熙子)
石川 さゆり (牧)
西村 まさ彦 (明智光安)
尾美 としのり (土岐頼芸)
村田 雄浩 (稲葉良通)
上杉 祥三 (平手政秀)
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川口 春奈 (帰蝶)
伊藤 英明 (斎藤高政(義龍))
南 果歩 (深芳野)
尾野 真千子 (伊呂波太夫)
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佐々木 蔵之介 (藤吉郎)
堺 正章 (望月東庵)
本木 雅弘 (斎藤利政(道三))
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:深川 貴志
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