大河ドラマ麒麟がくる・(21)決戦! 桶狭間
永禄3(1560)年5月、駿河の今川義元が尾張に迫ってきていました。
織田方の大高城と鳴海城はすでに今川方の手に落ちていましたが、
義元本体がついに尾張との国境を越え、沓掛城まで進軍してきたのです。
向かうところ敵なしと、義元の表情には余裕ささえ感じ取れます。
今川軍の先鋒を任された三河の松平元康は、
丸根砦と鷲津砦の間を無傷で通り抜けて大高城に入ります。
義元の作戦としては、織田本体が来る前に2つの砦を落としてしまい、
その後義元本体が大高城へ入る、というものです。
その大高城では、元康が母・於大からの文をもらい、
この期に及んで今川を裏切れというのか、と迷っています。
菊丸こと水野春次は、もし元康が今川を裏切ったら三河者は三河に帰すと
織田信長が約束したことを伝えます。
ただ、松平軍と織田軍を合わせたところで、兵数は今川本体には遠く及びません。
今川を断ち切れと言いながら、実際は今川から断ち切られてしまうという元康は
とりあえず今は、義元の指示通りに動くことにします。
そして、尾張へ向かう騎馬武者が2人。
明智光秀と左馬助です。
5月19日午前4時、元康軍は丸根砦に攻め込みます。
ということは元康は未だに今川傘下にあり、水野信元の離反説得は不首尾である。
梁田政綱からそう報告を受けた信長は、清洲城での籠城を決めますが、
義元は用心深いので、地元に相当の兵を残して東側の敵に備えておく人物だ、という
父・織田信秀のことばを思い出した信長は、もう一度ゆっくりと考え直してみます。
つまり、鳴海、丸根、大高に兵を送り、かつ駿河の東側の敵に兵を残してきたとなると
20,000の兵はたちまち7,000程度に減ってしまうわけです。
それに気づいた信長は、正綱に今川の兵が現在どれぐらい残っているかを急ぎ調査させ、
清洲城の中に今川方の間者が紛れ込んでいることも考えて、籠城の方針をとっておきます。
「死のうは一定、という。いずれ人は…死ぬ」
そう信長に言われても、敗れることで信長の死を恐れる帰蝶ですが、
信長はこんな時に、2~3歳の子どもを帰蝶と対面させます。
吉乃という女性が産んだ子で、信長の嫡男・奇妙丸です。
戦を前にしての信長の思わぬ告白で、帰蝶の頭の中は大混乱でして
泣いていいやら怒っていいやら複雑な表情を浮かべますが
「わしが死んだらあの子を育ててくれ。尾張の行く末をそなたに任せる」
そう言われては、帰蝶は何も反論できなくなってしまいます。
午前8時、丸根砦と鷲津砦は陥落、今川方の勝利に終わります。
午前9時、信長は時を移さずして、全軍に善照寺砦への出陣を命じます。
同じころ、義元本体は沓掛城を出発し、大高城へ。
午前9時30分、越前から光秀と左馬助が清洲城にたどり着きました。
対面した帰蝶は、光秀の顔に安堵しつつも、来るのが遅い、と涙声です。
「会うていろいろ知恵を借りようと思うていたが、殿はすでに出陣なされた」
信長が善照寺砦へ向かっていることを聞くと、光秀たちも善照寺砦へ急行します。
午前10時、善照寺砦へ入った信長は、織田全軍が3,000程度だと確認。
そして、信長の予想通り今川本体の兵数は7,000~8,000ほどだと報告を受けます。
今川軍はいったん大高城に入って兵を集約し、一気に清洲城を攻めたいようです。
信長は、大高城に入る前に一気に片をつけねばと考えています。
今川本体の現在地は、沓掛城から大高城に向かう途中にある、桶狭間山です。
午前10時30分、砦を陥落させた元康は大高城に入ります。
しかし兵糧運びやら砦攻撃やらで一睡もしていない松平軍に、
朝廷から三河守に任ぜられた義元からの命令は、鳴海城加勢。
善照寺砦に入った信長に対抗するため、そこから近い鳴海城行きです。
兵を休ませたいとしばしの休養を要求する元康ですが、
命令はあくまでも「今すぐ」です。
日ごろから穏やかな元康ですが、心の中で何かがプツンと切れたような音がしました。
午前11時、桶狭間で小休止を取って酒を飲んでいる義元は、
信長軍300が中嶋砦に向かっていることを知ります。
鷲津砦に向かわせた朝比奈隊で賄おうとしますが、朝比奈隊は砦に残ったまま。
予め禁じておいたはずの乱取り(略奪)行為で、砦から動こうとしないのです。
「愚か者めが!」と大激怒し、舞い踊っていた者たちもとまどいつつ平伏するほどです。
義元は感情を抑えながら、やむを得ぬ、と本隊から兵を割いて織田軍を戦わせます。
午後0時、佐々勢300と、今川勢1,000が中嶋砦で戦い、
今川本隊は5,000余りに減少しました。
中嶋砦への佐々勢の派遣は、信今川本隊の数を減らす信長の策略だったのです。
これならやれる! 出陣じゃあ! と、信長はにんまりしています。
雨が降り出しました。
信長にとっては足音を消してくれる恵みの雨となりましたが
鳴海城ゆきを命じられ、そして今、桶狭間へ向かえといわれた元康にとっても恵みの雨です。
湯漬けを書き込みながら「本日はここを一歩も動きませぬ!」
午後2時、雨風をしのぐべく桶狭間の岩陰に入った義元。
その姿を山の上から見下ろす織田方の毛利新介たちは、
一気に山を駆け下り、戦いを挑みます。
じわじわと、信長軍が義元に近づいていきます。
そしてついに義元を追い詰め…。
「毛利新介、今川義元を討ち取ったり!」
その声がこだますと、信長の目がさらに丸く輝きます。
結局、元康は大高城にとどまって、桶狭間へ向かうことはありませんでした。
信長の桶狭間からの帰り道に、光秀は待っていました。
次は美濃国を取る、という信長の背中が、太陽の光もあって
大きく明るく輝いて見えました。
駿河に来ていた望月東庵は、義元が討ち死にしたことで
そろそろ潮時かと京に戻る決断をします。
元康から駒への文では、於大と16年ぶりに再会し、母子で泣き合ったと。
信長の計らいで、元康は三河の岡崎城へ戻ることができた、とありました。
京に帰る前に芳仁に会いに来た駒は、
芳仁から「何にでも効く薬」の作り方をしたためた神を渡されます。
とまどいつつもそれを受け取った駒は、
東庵の待つ寺へ帰っていきます。
作:池端 俊策
脚本協力:岩本 麻耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
染谷 将太 (織田信長)
門脇 麦 (駒)
岡村 隆史 (菊丸)
間宮 祥太朗 (明智左馬助)
ベンガル (芳仁)
金子 ノブアキ (佐久間右衛門尉信盛)
今井 翼 (毛利新介)
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川口 春奈 (帰蝶)
風間 俊介 (松平元康)
片岡 愛之助 (今川義元)
本木 雅弘 (斎藤道三(回想))
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堺 正章 (望月東庵)
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:一色 隆司
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