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2020年7月17日 (金)

大河ドラマ春日局・(05)忍ぶ宿

【アヴァン・タイトル】

三条西実謙(さねのり)さんは、香道御家流の家元で
元公卿・三条西家の第19代当主です。

香道は、茶道や華道と並ぶ芸能のひとつです。
その作法は、まず折々の香の席に相応しい和歌を選び
それに合った数種の香木を用意します。

そして一つずつを香炉で焚いて参加者に順に回していき
それぞれがその香りを嗅ぎ当てることで、
その和歌の雰囲気を楽しむのです。

この香道を確立したのが、室町時代後期
当代随一の文化人と言われた三条西実隆です。
実隆はお安の曾祖父に当たる人物です。

三条西家は大臣家に位する公卿で、
古今集の伝授者として一世を風靡しました。
しかし戦国末期の当時は経済的にかなり厳しい状況でした。

荘園制は実質的に崩壊していて、低収入は滞る一方。
公家の中には、銀作のつけとして、蹴鞠や連歌といったお家芸を
経験を地方武士に出稽古するのもいました。

見かけの優雅さとは違って、公家の暮らしぶりは
多かれ少なかれ窮乏していたのです──。


お安とおふくは、京の公家・三条西家に
身を寄せることになりました。

当主の三条西公国とは従姉妹同士だというのに
通された部屋が蔵で、お安親子を案内して来た
海北友松は納得がいかないという表情です。

お安親子を預かるのは三条西家にとっても迷惑な話で、
特に公国は権大納言で身分が高いので、
たとえ親類であっても、謀反人ゆかりの者と
対面することは今後一切ありえないわけです。

お安には三条西家と無縁の、
下働きの女として働いてもらう。
公国の妻の三条西時子は冷たく言い放ちます。

公国からは、お安の母(公国の叔母)と父(稲葉一鉄)には
いろいろ面倒を見てもらっているので粗末にしないように、と
時子に言いますが、であれば三条西家にもっともっと
気を遣ってもらわなければとイヤミが入ります。

そしてお安の下働きが始まりました。

下働きのチーフ・おせいが取り仕切る現場ですが、
子連れの奉公ということで、お安には
人の倍働けと言って大笑いされます。
キッとおせいを睨みつけるおふく。

お安の下働きを、おふくは率先して手伝います。
やはり笑い者にされた反発心が、少しでも手伝いを
という気持ちになったのでしょうか。

お坊さんの托鉢に顔を上げると、利宗です。
無理を言ってちょくちょく屋敷裏方を通りかかっていましたが、
ようやく会えたと親子で喜びます。
でも、そんな幸せな時間は長くは続かず。

織田信長の滅亡と明智光秀の天下取り、
光秀の滅亡と羽柴秀吉の台頭、逃避行、隠れ家、三条西家と
お安とおふくにとって怒濤の天正10(1582)年がようやく終わり、
天正11(1583)年の春になりました。

三条西家のふすま絵を描きに、
友松と弟子のふたりが屋敷にやってきます。
弟子、というのは恐らく出来丸のことでしょう。
お安はそれを聞き、笑顔をほころばせます。

奉公のちょっとした合間に、
作業をしている部屋を親子でのぞいて
出来丸とも会えることが出来ました。

一族が会えないといっても、こうして
たまに会える時が一番の幸せの時です。

ただ、天下の形勢は秀吉に傾いているので、
秀吉の配下についた一鉄の元に戻れるのは
まだまだ先になるかと思われます。

秀吉は、前田利家を先頭に
北ノ庄城の柴田勝家を囲んでいました。

秀吉は、お市の方と茶々・お初・お江与の三姉妹を救出せんと
勝家に話を付け、その到着を待っていましたが、
4月24日、勝家は天守に上り城に火を放ったそうです。

お市の方は、勝家とともに滅びましたが
三姉妹だけ、救出されました。

お初とお江与は、秀吉の庇護を受けることだけは嫌だと
涙ながらに茶々に訴えますが、
この乱世では、仇と憎むものの世話になる屈辱も
耐えなければ生きていけないと妹たちを諭します。

ただし、自分たちは信長の血を引くので
その誇り高さだけは失わぬように、と
悔しさをにじませます。

半年後の秋、お江与は茶々とお初とともに
秀吉が新しく築城を始めた大坂城に移ります。

大坂城は、秀吉の盟友・池田恒興の居城でしたが
秀吉が望んで譲り受けた城です。
その交換条件に、恒興には大垣城と岐阜城が与えられます。

美濃の一鉄にとっては、このことが不運につながります。
恒興は国境を越えて美濃に侵入しているようで、
カーッと頭に血が登った一鉄は、兵を出そうとします。
しかしそれは、稲葉重通に引き止められます。

止め立ては無用! と暴走しかかったとき、
秀吉からの書状が届きます。
池田とのいさかいでの弁明をせよ、と命じる書状です。
弁明なきときは稲葉を取り潰す、と半ば脅しの命令です。

「……わしが行く」
命を亡くすことを畏れて、乱世は生きられません。
稲葉のことを心から信じていない秀吉は、
いろいろと難癖を付けて稲葉を潰したい意向なのです。

決死の覚悟で大坂城に入った一鉄は
秀吉と対面がかない、稲葉は領地を守っただけと主張。
しかし恒興に弓引くことは秀吉に弓引くことと言う秀吉には
一鉄の訴えなど届きません。初めから聞く気がないのです。

己の腹の内をお見せ仕る、と一鉄は片肌脱いで
死装束姿で切腹しようとしますが、
ここで腹を斬られたら迷惑だ、と秀吉に止められます。

一鉄は自分以上の人たらしだ、と笑う秀吉は
秀吉が池田と稲葉の間を取り持ち、境界線を決めると言います。
秀吉が仲裁し、境界線を決めてくれるのならそれに従うと
一鉄には無論、異存はありません。

美濃は天下の要、頼りにしておるぞ、と笑う秀吉は
急に表情を変え、一鉄に挑むような顔を向けます。
「確か斉藤利三に嫁いだ娘御がおったの。いかがいたした」
途端に慌て出す一鉄。

亀山城とともに滅んだらしいと報告して、
秀吉はひととおり納得はします。
一鉄の大事な娘ではありますが、光秀ゆかりの者なので
生きていては稲葉の大事になる、と言うのです。

お江与には、佐治与九郎との縁談話が出てきました。
お江与と与九郎は母同士が姉妹という従兄弟同士なので
秀吉はふたりはお似合いだと言うのですが、
寧々は、お江与がわずか11歳で嫁ぐので反対なのです。

しかし与九郎は知多水軍を擁する尾張大野城主なので
それを早く手中に入れて、来たるべき徳川家康との戦に
備えておきたいという思惑なのです。

案の定、茶々は猛反発しますが、
お江与は、どこの誰とも知らぬ武将に嫁ぐより
血のつながった従兄弟に嫁げるのを幸せとし、

かつ秀吉に逆らっては
姉たちの今後にも差し障りがあるかもしれないと
黙って嫁がせて欲しい、と姉に懇願します。
そこまで妹に言われては、茶々も頷くしかありません。

晩秋、お江与は大坂城を去ります。

天正12(1584)年の春、
徳川家康が織田信長次男・織田信雄を擁して
反秀吉の兵を挙げます。

稲葉にも、秀吉から出陣の命が下されます。
一鉄は、秀吉に稲葉の働きを見てもらい
自分たちを信じてもらえる好機だと
出陣の触れを出します。

今回の戦いには、稲葉正成が初陣です。
正成は、稲葉と拮抗する美濃の豪族から得た人質で
重通の養子となっています。
一鉄は、稲葉一門として恥ずかしくない働きを求めます。

正成は、後におふくと深い関わりとなるわけですが、
このときのおふくは、まだ三条西家の暮らしが続き
ようやく6歳に成長していました。

三条西家で世話になって二度目の春となり、
おふくが暮らす蔵前の庭には、桃の木が花を付けています。
その花の枝に手を伸ばしますが、なかなか取れません。

すると、枝をポキンと折って
おふくに渡してくれる男子がいました。
この屋敷の子・三条西実条(さねえだ)です。

お安が庭に出ると、おふくと実条が向かい合っています。
お安は、おふくが実条に何か粗相でもしたのかと
慌てて駆け寄りますが、どうやらそうではないらしく、
誰にも見られずにひっそりと咲く桃の花を見に来たようです。

お安は、実条の身分の者が
自分たちのことに関わるのはよろしくないと
おふくの手を引いて蔵に入ってしまいますが、

実条は母・時子に、幼い娘が不憫だと訴えれば
二度とあの者たちのことは口にするな、と叱ります。
実条は、何も出来ない無力さに空を見上げます。

おふくと実条とは、祖母が姉妹という血縁関係ですが
今はあまりに違いすぎる身分の差があります。

庭の外で、チリーンチリーンと托鉢の合図です。
この辺りでの托鉢は、つまりは利宗です。

利宗は、おふくには桜餅を差し入れに持ってきまして、
お安には、家康と秀吉の戦が始まるという
情報を持ってきます。

仮に秀吉が敗れれば、秀吉を気にして
忍ぶ生活もしなくてよくなるかもしれません。
「今しばらくの辛抱にございます」

天正12(1584)年3月末、
徳川家康は尾張を一望に見渡せる小牧山に陣を構え
秀吉は小牧山に対して楽田に城塞を築いて
両軍が対峙します。

小牧・長久手の戦いです。

一鉄は2,500の兵を率いて秀吉軍に味方します。
秀吉に認められ、娘たちを引き取るには
そうするより他に道はなかったわけです。


天正11(1583)年4月24日、
前田利家を先鋒とする秀吉の軍勢に包囲され、
柴田勝家はお市夫人とともに自害する。

寛永6(1629)年10月10日、
おふくが上洛して昇殿し「春日局」名号を賜るまで

あと46年5ヶ月──。

原作・脚本:橋田 壽賀子 「春日局」
音楽:坂田 晃一
語り:奈良岡 朋子
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[出演]
佐久間 良子 (お安)
大坂 志郎 (稲葉一鉄)
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吉 幾三 (海北友松)
織本 順吉 (稲葉重通)
川津 祐介 (稲葉貞通)
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香川 京子 (寧々)
藤岡 琢也 (羽柴秀吉)
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制作:澁谷 康生
演出:富沢 正幸

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