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2020年9月13日 (日)

大河ドラマ麒麟がくる・(24)将軍の器 ~光秀と義昭 運命の出会い!~

「夏は終わった…わしの夏は…」
求めてもだれも上洛しようとせず、失意の将軍・足利義輝は
永禄8(1565)年5月、三好義継によって住まいの二条御所に襲撃を受けます。
京を揺るがす前代未聞の大事件でした。

世にいう「永禄の変」です。

敢(あ)えて暴虎(ぼうこ)せず、敢えて馮河(ひょうが)せず、
人は其(そ)の一を知るも、其の他(ほか)を知ることなし──。
「戦戦兢兢(きょうきょう)、深き淵に臨むが如く、薄氷を履(ふ)むが如し」
義輝は刀を手にして立ち上がり、襲撃の兵たちに立ち向かいます。

しかし多勢に無勢、あっという間に敵兵に囲まれ、くし刺しにされます。
「麒麟が来る道は…遠いのう…」
室町幕府第13代将軍・足利義輝は、30年の生涯を閉じました。

その知らせは、明智光秀のいる越前にももたらされます。
「将軍が…義輝公が…二条御所にてお討ち死にあそばされたと!」
朝倉家からその知らせを受けた明智左馬助が急ぎ知らせてくれたのです。
何ゆえじゃあ! と光秀は天に向かって叫びます。

「永禄の変」で義輝が亡くなったことにより、将軍の座は空位となりました。
義輝暗殺を引き起こした三好一派は、義輝の後継者と目される弟・覚慶を幽閉し、
自分たちの意のままに操れる、義輝の従弟の足利義栄(よしひで)を擁立します。
ここに、三好一派の義栄と、幕府奉公衆たちが推す覚慶の継目争いが始まります。

なんてことをしてくれたんだ! と怒り心頭の松永久秀は、
三好一派により興福寺一乗院に幽閉されていた覚慶を尋ね、
義輝討ち死にのお悔やみを述べるとともに
覚慶に将軍になる覚悟があるかどうかを確かめます。

跡目争いを避けるために足利家の決まりとして6歳にして仏門に入れられた
覚慶は、もちろん刀や槍などを手にしたことはまったくなく、
そんな自分に武家の棟梁が務まるはずもないとつぶやきますが、
久秀が言うには、そんな謙遜はもはや通じないとバッサリ。

つまり、同じ将軍の弟、僧侶という立場でありながらも覚慶は傷一つ負わず、
末弟の周暠(しゅうこう)は、容赦なく討たれてしまいました。
覚慶がどれだけ時期将軍後継者と目されていたかが分かるというのです。
「お聞かせください。このままここで座して死をお待ちになりますか」

久秀の意を受けた細川藤孝は、覚慶の身柄を押さえて
一乗院から脱出させ、覚慶を三好一派の手の届かぬ所へ移します。
ここに幕府奉公衆たちによる覚慶擁立に向けて動き出すわけです。

越前の朝倉館では、光秀が朝倉家家臣の山崎吉家に大和行きを懇願します。
その話を聞いた朝倉義景は、光秀の大和行きを認めますが、
それは光秀が美濃を追われて越前で寺子屋に甘んじていながらも
京と頻繁に行き来して将軍の覚えめでたい光秀の力量を図りかねていたのです。

大和国多聞丸城に向かった光秀を、久秀はいつも通りに迎え入れます。
「一乗院覚慶、この名前に聞き覚えがあるか?」
一条院門跡さまとして徳の高いお坊さまになったはずの覚慶も
もしも世俗に戻ったら時期将軍に最も近い人物、と光秀に説明するのです。

そして義景から久秀に書状が届いており、
覚慶が将軍にふさわしい人物であるならば越前で身柄を引き受けてもよい、とのことで、
光秀が来たら、甲賀の和田惟政の館に行くように勧めてほしいとありました。
行くかどうかは光秀の気持ち次第で、と。

光秀はこのまま越前で世が変わっていくのを座して見守るつもりなのか、
武士の世が変わろうとする曲がり角をどう過ごし、
武士としてどう切り開いていくのか──。
「お主もワシも正念場じゃ」

駒が作る丸薬の注文を伊呂波太夫が次々と取って来てしまいます。
望月東庵は、自分のケガが治るまでという約束で丸薬作りを認めたものの
みるみる注文が増えていくことに目くじらを立てますが、
腕を負傷して診療できない身とあっては、あまり強くも言い出せません。

駒としては米も味噌も買えたし、もう充分なのですが、
商いという意味では伊呂波太夫が一枚上手です。
ひょっとすると、大きな仕事になるかもしれないよ? と駒の耳元でささやくと、
やはり丸薬作りの助っ人を雇おう! と今や薬屋の主人気分です。

伊呂波太夫の幼馴染である関白の近衛前久に目を付けた三好一派は
時期将軍選びを有利に運ぼうとしていました。
その前久はそのことで、伊呂波太夫を探し回っていたのです。
そしてようやく探し当て、相談を持ち掛けます。

三好一派は四国にいる義栄を将軍にしろと圧力をかけてきますが、
実際に将軍宣下を行うのは天皇で、天皇はその前に政所に義栄について意見を求めるでしょう。
政所の意見をまとめるのは前久で、前久自身は血筋から言っても覚慶と考えているので、
義栄を推挙することに迷っているわけです。

覚慶でしょと主張すれば反対され、いずれは斬るとまで言われているのです。
ただ、太夫はじめ民衆たちは誰が将軍になろうが痛くもかゆくもありません。
「いいたいのはね、私も前さまも、武士ではないってこと。それだけのこと」
“姉”は、“弟”をポンと突き放します。

甲賀の和田屋敷にたどり着いた光秀は、覚慶の人となりを探っています。

死ぬのが怖い、人を殺すなど恐ろしい、そんな自分は将軍の大任を果たせるか?
そうつぶやく覚慶に、まごうことなき足利の血が流れ、
すでに還俗することが決まっていると話す三淵藤英と細川藤孝ですが、
光秀は、無言のままです。

覚慶を還俗させ、帝から将軍宣下を賜り、征夷大将軍とするとなれば
単独では不可能に近く、各国の諸大名の力が必要なのも
藤英も藤孝も充分に分かっているのです。
くれぐれも朝倉さまにはよしなにと、ふたりとも光秀に頭を下げます。

越前に帰った光秀は、さっそく義景の質問攻めにあいますが、
光秀は、覚慶は将軍の任にあらず、と答えるわけです。
その答えに「そうか」とうろたえる義景と吉家でしたが、
そうとしか申せませぬ、と言った以上は、光秀は何を語ろうともしません。

京の内裏では、前久が時期将軍に義栄の名前を出します。
藤英・藤孝ら幕府奉公衆は、三好一派に先を越される形となりました。


作:河本 瑞貴・池端 俊策
脚本協力:岩本 真耶
音楽:ジョン・グラム
語り:市川 海老蔵
題字:中塚 翠涛
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[出演]
長谷川 博己 (明智十兵衛光秀)
門脇 麦 (駒)
谷原 章介 (三淵藤英)
向井 理 (足利義輝)
眞島 秀和 (細川藤孝)
間宮 祥太郎 (明智左馬助)
本郷 奏太 (近衛前久)
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ユースケ・サンタマリア (朝倉義景)
滝藤 賢一 (覚慶)
榎木 孝明 (山崎吉家)
尾野 真千子 (伊呂波太夫)

坂東 玉三郎 (正親町天皇)
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吉田 鋼太郎 (松永久秀)
堺 正章 (望月東庵)
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制作統括:落合 将・藤並 英樹
プロデューサー:中野 亮平
演出:佐々木 義春

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